~鬼の子~ 第十五話


(えっ!?収くんも?)

もっと追求しようと口を開きかけた時、

「はい!到着ー」

収の明るい声でハッと我に返り、周りに目を向けると

確かにそこは自宅前だった。

荷台から降りた千波に、収は野菜の入った袋を渡す。

帰り際、洋介が分けてくれたものである。

「ありがとう」

お礼を言って受け取った時、ふと気配を感じて振り返ると

詠士がやって来た。

「おう!詠士」

収はいつもの調子で挨拶するが、詠士は無言で2人の

側を通り過ぎていく。

千波は何故だか、収といるところを見られた事に

居心地の悪さを感じた。

「あの、安曇君、今日は本当にありがとう。お家の人にも

よろしくね」

それだけ言って、急いで家へかけ込んだ。

なんだか妙にソワソワしていて、詠士に会いたいような

会いたくないような複雑な心境だった。

(結局、安曇君には何も聞けなかったな)

ふうと大きなため息をつき、手にした野菜入りの袋を

見つめる。

(安曇君も鬼の子ってどういうことだろう。武部さんの

話では古森君と白石君の2人ってことだったけど・・・・)



翌朝、千波は迷った末、1本早いバスではなく、詠士と

同じバスに乗ることにした。

バス停に行くと、すでに詠士の姿があった。

「お、おはよう」

声をかけても、やはり返事はない。

「あ、あのね、昨日は安曇君の・・・・」

千波は昨日の事を話そうとしたが、

「俺に話しかけるなって言っただろ」

そう冷たく言われ、思わずカッとなった。

「なによ!そんなに私と話したくないの!?」

思ってることを吐き出すと、今度は涙が溢れてきた。

それを見て、詠士がうろたえる。

「な、泣くなよ。別にそういうわけじゃないし・・・・」

「じゃあなんでそんな態度とるの?」

「それは、俺と話とかしたら、お前が変な目で

見られるらだよ!」