建物が取り壊され、すっかりサラ地になった場所に。
無数の草達が育っているのに気付く。
名も知らないその草は、青々としてとても綺麗だった。
夏になったら、ここは地面が見えなくなってしまうくらい、緑一色になるんだろう。
もしかしたら、花を咲かせるやつも出てくるかも。
自分の歌も、音楽も、誰かにとってそんな風であれたらいいな。
荒れ果ててしまった心に、いつしか芽吹く雑草みたく。
『いい年して、まだそんな夢物語言ってんの?』
なんてバカにされっかな。
でも、信じてるんだよ。
自分自身が音楽に救われたように。
その力をちょっとだけ、自分のものにできたらどんだけ幸せってことを。
6月1日。
纐纈悠輔