立ち飲み屋行くとほぼ100%の確率で隣のおっちゃんから声をかけられる。

どうも、オトループ纐纈です。



先日、



「オリジナル曲の作詞に初挑戦するのですが、どのように書いたら良いか皆目見当つきません。」



という相談を受け、レッスンさせてもらった内容が個人的に面白かったので、こちらでも書きます。


こういった相談をして頂くことも増えてきて、色々と自分なりに意見を言わせてもらってるのですが、修正前と修正後を比較してみると、皆さん見違える程良くなります。それを見ると自分の事のように嬉しくなる。



歌詞の書き方に正解はそもそも無いし、
前提は本当に書きたいように書けば良いので必ずしも全員に参考になる訳ではないと想いますが、



自分が作詞する上で注意しているポイントをいくつか紹介しようと想います。
That's 初めての試み。


作詞をされる方には何か1つでも気付きになれば嬉しいし、


そうではない方も、興味があれば軽い気持ちで読んでくれれば有難いです。






■何を書くか


足元を見てみたら、360度全方向に道があって、
‘好きなところへどこへ行っても良いんだよ’と言われているような状態。

とりあえずペンを手にしたは良いものの、何も思い浮かばないですよね。当たり前、作詞初めてなんですから。それで無問題。


闇雲にでも書き始めることで徐々に見えてくる場合もありますが、それは稀なケースで、どの方向に書き進めるかをまず決めることが大切です。



テーマを設定しましょう。




実際にオリジナル曲のデモを聴かせて貰ったところ、サビのM7thコードの響きが切ない印象を与えるバラードでした。



第一印象で素直に感じたのは、【失恋】


それを伝えてみた結果、相手の方も失恋がこの曲にはしっくりくる、ということだったので、テーマは今回こちらに決定して進めて行きます。





以下は余談ですが、


今回のように曲の持つ雰囲気というものがそれぞれあって、明るい曲にはポジティブなものを、切ないメロディには切ない歌詞を自然と合わせたくなります。


その相乗効果で歌が持つ力が何倍にも増す場合は勿論ありますが、


俺はここで一回いつも疑うことをしています。


今回の場合で言えば、敢えて‘陰’ではなく‘陽’のテーマを合わせてみたり、一見不自然だと想えるような組み合わせをいくつか試してみる。


[自然に感じること、というのは大多数の人が当たり前に思い付く、ということ]


というのが持論としてあるからです。



現に失恋をテーマにした切ないメロディの歌はこの世の中に恐らく25865488、、、曲くらいある。


逆に、例えば切ないメロディにひょうきんな歌詞が乗っている歌は、ぐっと数が減ります。


やってみると思ってもみなかったアイデアに出会える事もありますし、うまくいけばオリジナリティが出て、埋もれにくく、見つけてもらいやすくなる、というメリットがこの一手間にあります。



最初クールな歌詞を書いてたんだけど、途中でなんか違う、と方向転換した典型が、

【オトループ/A型症候群】








■誰を書くか■


大まかな【失恋】というテーマを決めたら、次は徐々に細かな設定を描いていきます。


・主人公の人物像は?
・現在居る場所はどこか?
・時間帯は昼か?夜か?
・失恋した相手はどんな人か?
・理由は何故か?
・今、どうしたいと想っているのか?


いきなり実際に歌詞を書き始めるよりも、
まず出来るだけ細部まで主人公の設定を考えましょう。
こうすることにより方向性が解りやすくクリアになり、後に迷ったり、ブレたりする事が少なくなります。


本当にこの人ははこの場面でこう想うのか?と考える基準となる。


この作業は自分の経験のみだとどうしても限界があって素材不足になることもあるので、
妄想、想像の勝負です。


例えば異性だったり、年齢が上だったり、と自分以外のかけ離れた主人公になりきってみるのも大いにアリ。


「経験がないから、、、。」と尻込みせず、とにかくまず挑戦してみて欲しいです。


しかしここで1つ気を付けなければいけないことは、


『経験したことのない人生は、自分以外の実際に経験したことのある誰かに聴いてみること。』


です。

どうしても自分だけの判断だと、視野が広がらず都合良く書きがちになります。


そのまま勝手な思い込みで書き上げてしまった場合、全く共感出来ないものになる危険性が出てきます。


聴ける人が周りに居なければ、ネットで検索してそれにまつわるブログを読んでみるのもいい。



女性目線に挑戦した歌

【オトループ/Ah Hold Me Tight】






人はいつも、都合良く事実を美化しがちだ

、ということは常に覚えておく必要があります。









■キーワードを拾う■


設定を決めていく流れの中で、歌詞の肝になるキーワードを拾い上げていきます。サビの頭に置く事で印象的になったり、聴き手に画をイメージさせ易くする効果となります。


生徒さんとディスカッションする中で、俺がひっかかったのは、


「渋谷駅前」「早朝」という2つ。


時間、と場所、を歌詞に組み込むことは、聴き手の想像を膨らますのにとても有効です。


例を挙げるとすれば、



・森高千里さんの[渡良瀬橋]


‘渡良瀬橋で見る夕日をあなたはとても好きだったわ 

綺麗なとこに育ったね ここで住みたいと言った。’



実際にその橋を知らなくても、それぞれが見てきた「橋」を頭の中で想い浮かべる筈です。



・BUMP OF CHICKENの[天体観測]


午前2時 フミキリに望遠鏡を担いでった’



これも冒頭に置くことで、1発で曲の世界観をイメージしてしまいますね。深夜の街が静かに眠っている中でワクワクしながら天体観測に向かう少年がそこに。


※ちなみに、日本で1番歌詞で歌われている時間は、「午前2時」だそうです。




無くても成立はしますが、このように具体的なキーワードを書くことによって、各々がそれぞれしてきた経験に照らし合わせて、置き換えて解釈し易くなります。








■『有機』『無機』を組み合わせる■



テーマは【失恋】
キーワードは【渋谷駅前】【早朝】


ここまで決まりました。


何故キーワードとしてこの2つが自分の中でひっかかったのかと言うと、テーマとの共通点があるのでは?という考えからでした。


渋谷駅前=都会、騒がしい、ごみごみした、人が多い。


早朝=静か、人が少ない。



恋愛中=2人、胸が高鳴る、毎日のように会いたい。


失恋後=1人、孤独。




人間が行う有機的な活動【恋愛】

駅前という無機的な【場所】



この


違うベクトル上にあるけれど、同じ性質を持つ2つを組み合わせると、グッとくる歌詞になり易くなる、


というのが俺の今までの経験から得たテクニックです。






『恋愛』と『マップ』を組み合わせた

【オトループ/アリカ】









以上のポイントを踏まえた上で、実際に肉付けをしていきます。

俺が今回レッスンの最後に例として書かせてもらった歌詞が、こちら。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

■渋谷駅前

道路脇に捨てられた ゴミにカラスが群がる
昼間の喧騒が嘘みたいに静寂の中

化粧も上手くなったし 口下手ではなくなった
一通り恋だって 味見してみたりもした

道玄坂をくだらない話しながら降りて行く
「また今夜ね」って仲間と別れた後
ひとりしゃがみ込んで

渋谷駅前 思い出の中でだけ
私はあなたとずっと生きている
どんなに東京に染まろうとしても
こころはあの日のまま

朝日とともに、動き出す街
私はまだ 動けないまま


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



1番だけですが、
東京に出てきたけれど、地元で別れた彼氏のことがずっと忘れられない女性を書きたい、

と今回俺は想いました。



生徒さんも、無事に参考になった様子で一安心。
自分も、考えを整理出来てすごく良い時間でした。




楽しくなってちょっと長くなってしまいましたが、歌詞は少し工夫するだけで見違える程良くなることがあります。

今回は基本編なので、応用編はまた書こうと想います。

参考になればありがたき幸せ。


もっと詳しく知りたい、という方はご連絡下さい。