クリスマス



クリスマスという言葉を聴くと

思い出す記憶が2つある。


ひとつめは、小学生。何年生かはちょっと定かではないのだけれど、当時の俺にはこのビッグイベントに乗じて絶対に手に入れたいものがあった。


「スーパーファミコン」だ。


当時の価格でおそらく25000円前後。お小遣いなどではいくら貯めようとしたとて到底届かない高いハードル。


そんな小学生がマリオのスターを取得し無敵状態のようになれる奇跡のイベントがクリスマスなのだった。


普段は大人しく、あまり自分の意見を言うのが苦手な少年だったように想うけど、この時ばかりはここぞとばかりに声高に自分の欲求を主張した、しまくった。


具体的に名前も出して、何度も呪文のように唱え続けた。ホシイホシイスーファミホシイ、、、ホシイホシイスーファミホシイ、、、


これだけ言ったのだから、

こんないたいけな子供の期待を裏切るような親は居ない筈だ、少年ながらにして若干腹黒い考えを持つ自分に罪悪感を感じる事もなく、胸の高鳴りを抑えきれないまま迎えた当日。


何とかプレゼントが置かれる瞬間を目撃してやろう(この時サンタクロースを信じていたかいなかったかは不明だが)と頑張って睡魔と闘っていたものの、やがて耐え切れずに就寝。


そして朝が来る。


起床して見渡すと、枕元には無事にプレゼントが置かれている。


やったぞ!ついにやった!

スーファミを手にした後のめくるめく甘美な生活を妄想し、既に心は天にも登る気持ち。



はやる心を落ち着かせ、改めてプレゼントを眺めてみる。










あれ?





よく見たらサイズが



でかい気がする。







、、、うん。




やっぱりでかいね。





この時点で心はこれから起こるであろうことを既に予想できてしまっているのだが、開けてみないと解らないだろ!一縷の望みにかけるんだ。と半ばヤケクソになりながら開封。




奇跡は、、、



起きない。



出てきたのは、、、

黄緑色の【一輪車】だった。


一瞬時間が停止し、その黄緑色をはじめとする世界のすべてのものが色を無くしたようだった。グッバイスーファミライフ。




その後親と会った時の俺の顔は、最高に複雑なものだっただろう。

あの時言った「あ、、ありがとう」は今まで生きてきた中で一番心がこもってなかっただろう。








2つめは中学生の時だ。



クリスマスの朝に起きると、枕元にはプレゼント。

ゲームボーイと、欲しかったソフト。

そして手紙。


サンタクロースだと名乗る人物からの、ワープロで打たれた手紙だった。


そこには、

世界各地へプレゼントを配らなきゃいけないから忙しいということ。



そして、



『君のお母さんはこちらの世界でとても元気にしているから安心しなさい。』




と記されていた。


中学生になってサンタクロースを信じている確率ってどのくらいだったのだろう?おそらく皆がもはや居ないことが暗黙の了解だった筈だ。



そもそも何でサンタのおじさんが、俺の身の上話まで知ってんだよ。そしてせめて手書きで手紙書けよ。


なんて生意気なことを想いながらも、その時はメソメソと静かに泣いた。




俺にとってお金で買えない最高のプレゼントを持って来てくれたサンタクロースは

確かにその時、そこに居たのです。




記憶の奥底に眠る、聖夜の話。




結局のところ何が言いたいのかと言うと、25日のオトループ アコースティックワンマンライブよろしくお願いしますってことです。