そういえば、心から笑ったのっていつだったっけ?
もう1年近く本気で笑ってない気がする

子供が生まれる前は毎日くだらない話で盛り上がって、妻はB級映画の真似が得意でよく笑わせてくれた。俺の話を馬鹿にせずよく笑ってくれて、妻も面白い話をしてくれて、妻の笑った顔が大好きで結婚した。

子供が生まれて病院にいる時も、隣の人が楽しそうですねって言うくらい凄く笑い合った。赤ちゃんが生まれたことに二人共嬉しくて笑いが止まらなかった。ベッドシーツにしみが付いているから、妻が飲み物かなにかこぼしたんだと思って「誰ー!こんなところで漏らした人はー!(笑)」って冗談で言ったら、妻が「しー!(笑)」って笑いながら言って、本当に妻のおもらしだったという(笑) たぶん、これが俺と妻が心から笑った最後のシーンだと思う。これが幸せの絶頂期だったなんて、この時は思いもよらなかった。

前にも書いたけど、ほんのちょっとだけ他の子より泣く子で、ほんのちょっとだけ他の子より寝付きが悪い子で、ほんのちょっとだけ妻の母乳の出が悪かった。それだけで、俺達の関係はボロボロ崩れ去ってしまった。妻が実家に戻ってからは笑顔を見た記憶がない。いつも不安がって、どうしたらいいか悩んでいた。

俺もどうしたら良いのかわからなくて、妻の力になってあげたくて、助産師さんを呼ぼうか?とか粉ミルク与えてみる?とかこういう便利なアイテムもあるみたいだよ!とか、色々言ったけど、今思えば全部余計なおせっかいで妻を苛立たせるばかりだった。俺はただ、出来るだけ長い間、妻の側にいて話を聞いてあげれば良かったんだと思う。

妻は次第に俺に冷たくなり、触ろうとすると赤ちゃんが見ているから恥ずかしい、、、と避けるようになった。俺は妻がアパートに戻ってこないんじゃないかという根拠のない不安感に襲われるようになった。きっと、この頃から妻も俺も心から笑わなくなったと思う。