最近、ふと旅行したいと思う時がある。
しかし、元々1人で旅行に行くのは好きではない。
気の合う誰かと笑いながら歩きたい。それが妻だった。
付き合っている時に旅行に誘えばきっと満面の笑みで喜んでくれたに違いない。
妻とはあまり旅行はしなかった。
妻はお泊りに厳しい家だったが付き合ってる時は2回泊まった。
結婚を考えてからは相手のご両親の印象を悪くしないようにお泊りはせずに21時には帰らせた。
新婚旅行で金沢に行って、結婚してから妻が仕事で落ち込んでいる時に近場の温泉旅館に1泊した。
どれも妻はとても喜んでくれて旅館の夜は大賑わいだった。
妻は他にも行きたい場所を言っていたので今思えば叶えてあげれば良かったと思う。
マタ旅も結局、妻の体調面を考えて行かなかった。
もっとも、こんな気持を産後の妻に伝えたところで怒り狂っただろうなと思う。
お金がないのに何を考えているんだ、そんな事を言ってる暇があるなら子供を見ていろと。
二人の時はよく前に行った場所の事を話して妻も喜んで聞いてくれた。産後はその全てが失われた。
もはや俺との思い出などどうでもよく、たまに話せば「またその話?」と冷たかった。
妻は俺の言動の全てにイライラしていたんだと思う。
もう永遠に行けないけれど、いつか行った、また一緒に行こうと言った、能登の旅館を思い浮かべる。