子供が生まれるまでは「3組に1組が離婚」なんて話を聞いてもふーんとしか思わなかった。自分達には関係のない話だなと。喧嘩が多い姉夫婦を見て「うちらは仲が良いのにな~。子供が生まれるとうちの妻も変わるのかな?」なんて漠然と思ってた。現実は姉夫婦なんて全然普通で自分達の関係はあっという間に崩壊した。

去年の今頃は希望に満ちていた。もう少しで子供が生まれる。可愛い男の子だ。子供が歩けるようになったらドラマみたいにキャッチボールをしたい。ちっちゃな手を握ってみたい。だっこしたい。家族3人で仲良く暮らしたい。大好きな妻との間に子供が生まれるなんて夢みたいだった。妻と一緒にベビーグッズの準備をしたり1番幸せな時期だったかもしれない。

 

夜寝る時になんとなく「赤ちゃんは俺のこと好きになってくれるかな?」と聞くと「大丈夫だよ。赤ちゃんはきっとすぐにお父さんの事が大好きになるよ(笑)」と妻は優しい声で言ってくれた。あの頃の優しい妻はどこに消えたんだろう?まさかその半年後に「家の中に敵がいると思っている!」「馬鹿!グズ!」と罵倒され離婚を切り出されるなんてなんて夢にも思わなかった。

出産前に将来にかかるお金の事、子供の教育方針、今後家を建てるか、建てるならどこにするかなど話し合ったほうが方が良かったんだと思う。お互いに余裕があるときなら冷静に話せた事もあったかもしれない。子供が生まれると余裕がなくなって喧嘩をすると聞くけど、そうならないようにお互い気遣いを忘れないようにしようと心に留めておけば良かったのかもしれない。

この頃は、二人共ただ幸せで嬉しくてこの夢がずっと続くと信じて疑わなかった。そう言う意味では、俺は妻の言う通り馬鹿でグズだったのかもしれない。俺はただ、家族3人で仲良く暮らしたい、それだけを願っていた。