古いアトラスのメンテナンスが

本格的に始まってます。

 

製造後50年以上経過したピアノの場合、

ほぼほぼアクション内部は

かなりの状態です。

 

特に今回のような古い個体になると

木製アクションの場合が多く

そうなると汚れやカビを取り除くのが

仕事の大部分を占めることになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

ざっとこんなかんじで

見るだけでちょっと、、

というかんじになります。

 

これらの汚れやカビを

ヤスリなどを使って取り除くのですよ。

 

ビフォー

 

ジャックのセンターピンを交換する場合は

最初にアッセンブリ本体から

ジャックを外したほうが

圧倒的に作業しやすいです。

 

アフター

 

 

ビフォー

 

ジャックスプリングの場合もしかり、

まず本体からスプリングを外したほうが

もう圧倒的に作業しやすいですニコニコ

 

あ、でもこれ交換する場合のみです。

交換しない場合はスプリングが邪魔して

もうほんとやりにくいですショボーン

 

アフター

一見問題ないように見えても金属疲労によって確実にヘタってます。

 

同じくバットスプリングも交換のため取り外します。

 

↑アフター&ビフォー↑

 

ダンパーはデリケートな部分なので

一番慎重に行います。

↓↑アフター&ビフォー↓

 

キラキラ

キラキラ

キラキラ

 

 

弦を叩くハンマーの木の部分も

シミなどが付着しやすい部分です。

 

このシミが見た目よりかなりしつこいんですアセアセ

アフター

 

 

ところで、

このアトラスに採用されているハンマーは

よくブログにコメントを頂戴する

今出川ハンマーさんのものかもしれません。

 

今出川ハンマーさんは昭和12年創業の、

日本で唯一現役を貫くピアノハンマー製造所です。

 

日本はもとより海外での評価も高い

日本が誇るピアノハンマーメーカーなのです。

 

特にこのアトラスのハンマーは

まだ酸性雨を受けていない

羊さんたちの羊毛で使られており、

とても貴重なモノなのです\_(`o´)ココ!

 

アトラスはアクション自体も

自社製造していた時期もあったようで

この古いアトラスのアクションも

自社製造品かもしれません。

 

つまり、

アクションもハンマーも

 Made in JAPAN!

 

※今出川さんからご連絡を頂戴しアトラスへのハンマー実装はなかったそうです。

 

 

 

削る、磨く、といえば

弊社のOTO式オーバーホール

アクションを固定しているビスも

ピカピカに磨きます。

 

どこかのタイミングで

このビスを磨いておくことは

何気に大事なことです。

だから磨くなら今しかないのです。

 

放っておくと、いずれサビが浮いてきます。

キラキラ

 

 

さて今回ご紹介したこれらの作業は

全ての同業者が必ずしも行うとは限らない、

ということを僕は知っています。

 

同じような作業、

消耗部品などを交換する実際の現場や

ネット上の写真を眺めていると、

各パーツが真っ黒なまま

アクションを組んでいるのを

よく見かけます。

 

エアなどで汚れを吹き飛ばすだけでは

細部まではキレイになりません。

 

カビというのは

放っておくと必ず拡がります。

文字通りチリや埃は積もれば山となり、

その埃が湿気で湿りカビが更に拡がり

害虫をも呼びます。

 

だから、

新しい部品に交換したからといって

埃やカビに覆われたパーツを

そのまま組むということは

僕にはできません。

なぜなら、

この機会を逃したら

次アクションをバラすのは

何十年も先のことだからです。
 

どこまでこの作業を行うのかは

作業を行う人の経験や

ピアノという楽器に対する

個人の価値観によるのかもしれません。

 

確かに修行のような作業の性質を思えば

やれる人とやれない人がいるのも

ある意味当然ともいえます。

 

疲弊したアクションと対峙した時

どこまでやるのか、やれるのか。

毎回自分が試されているかんじがします。

 

 

 

 

 

今日も僕のブログを読んでくれてありがとうございましたm(__)m

 

OTO

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