先週から始まっているメンテナンスは

アトラスというピアノです。

 

 

 

 

ピアノ通の方々や我々ピアノ調律師なら

誰もが知っているメーカーです。

 

ピアノの持つ質と

量産の両立を追求したメーカーで

ピアノ製造最盛期には

ヤマハやカワイと肩を並べるほどの

強いメーカーでした。

 

 

グランドも製造していました。

 

 

このアトラスは57年前の製造個体です。

過去に何度かアトラスを調律してますが

これまで僕が関わってきた中で

一番古いアトラスではないかと思います。

鉄骨のロゴも古い個体ロゴだ。

 

アトラスのロゴは何種類かある。

 

書体が小文字なのはヴィンテージアトラス。

 

 

あと通常だと響板に貼られている

アトラスの人物デカールが貼られていない。

 

そして機種名は

N200号

と調律カードに記載がある。

 

どのメーカーも機種名に"号"とあるのは

かなりのヴィンテージ個体。

 

 

アトラスの名はギリシャ神話の天空を支えるアトラス神から。

写真お借りしましたm(_ _)m

 

 

というわけで早速

先日ピアノ内部のクリーニングへ

お伺いしました。

 

 

 

 

調律カードに残されている

記録が正しければ

最後の調律が54年前と

なかなかのブランクです。

弊社では決して珍しくありませんが^^;

 

 

いつものように変色したチューニングピンとプレッシャーバーから。

ピン付け根の弦コイルまで磨くことが重要\_(`o´)ココ!

キラキラ

 

低音弦。わかりにくいかもですが右半分がアフター。

 

 

鍵盤下の棚板はこんな感じです..ここは放っておくと虫が湧きます。

年代の割にはキーピンの腐食が少ないのはお客さんも僕も超ラッキー。

おそらく保管環境が良かったのだと思います。

アフターキラキラ

 

ピアノの鍵盤下といえば、

この時代のパンチングクロスの下には

当時の広告やらなんやらを使った

ペーパーが使われていることが多く

何気に僕はこれが楽しみ。

 

今回のアトラスのフロントパンチング下からのもの。

 

↑これらは過去の仕事からのもの↓

 

この時代の鍵盤は何層もの細かい木から作られていてコストがかかってるOK

 

響板や駒の汚れを取るは手が入らないので大変アセアセ

 

このシミが手強くて一回ではダメで時間切れで次回に持ち越し。

もう少しキレイにしたい。

 

 

おなじみのペダルはなかなかです。ヴィンテージ個体でペダルが3本。

キラキラ

 

前回のお客様同様に

植物が疲れを癒してくれます。

 

自分の作業場にも植物は

それこそ売るほどありますが、

自分のとは種類が違ったり

置き方が違ったりで

とても興味深いのです。

 

 

立派なパキラとカポックやしの木

 

 

 

こちらのお客様のピアノは

ご自宅を建て直す時から

ピアノはここに置く、

と決めて設計されたそうです。

ピアノを置く場所の床は

タイル材で補強してありました。

 

そしてピアノの真上には

ピアノ上面の幅と奥行きと

ほぼ同じ寸法の棚が

ピアノの天面に当たらないように

絶妙な距離で設えてあります。

 

その棚の上には

ご先祖様のフォトフレームが

大切に置かれています。

このピアノを今回のお客様へご購入された

ご両親様でしょうか。

 

ピアノの上に直接置かないように

わざわざ寸法を合わせて

棚を設えたことに

ピアノとご先祖様へ対する

リスペクトを感じます。

 

いつかこのピアノを直し

再び弾く日がくるかもしれない。

そんな強い想いや夢も感じられます。

 

そしてこのピアノは

大切なお二人のお孫さんのために

今回メンテナンスをしようと

決断されたそうです。

 

長い時を経て、

ご先祖様に守られながら

ずっと大事に保管されてきた

アトラスピアノが

やっと動き出す時がきたわけです。

身の引き締まる思いです。。

 

 

 

 

 

今日も僕のブログを読んでくれてありがとうございましたm(__)m

 

OTO

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