先日またまた師匠から珍しいピアノがあるとご連絡をいただきお客様宅へ同行しました。
先日こちらでご紹介したスクエアピアノはその間口の広さ(長さ)に驚きましたが、今回のピアノはその高さと教会を思わす荘厳なデザインに驚かされました。WILHELM SPAETHE GERA.R. という大きなドイツ製のアップライトピアノです。ヴィルヘルム シュペート ゲーラ と読み、ヴィルヘルム シュペートはこのピアノメーカー創業者の名前、ゲーラは創業地名で、その後のR.はReukのようです(詳細わからず..)。
ジャーン!
ごめんなさい!僕が悪かったです、、と思わず謝りたくなるような外観。
ものすごい威圧感です。。
例えば普通のピアノの着ぐるみを着た人が向こうから歩いてきても僕は多分それほど驚かないと思いますが、このピアノの着ぐるみ着たのが向こうから来たら咄嗟に道空けるかその場から逃げると思います。昔テレビのお笑い番組内でホタテマンという帆立貝の着ぐるみ来たすごい大きな人がいたと思いますが、そんな感じ。。
資料お借りしましたm(._.)m
こちらのピアノメーカーは1858年にドイツで設立されました。創業当初はハーモニカやバンドネオン、オルガンなどを制作していたようです。創業者のWILHELM SPAETHE氏が亡くなった後は息子さんやお孫さんの代までピアノ制作を行っていたようですが、現在ピアノは製造しておらずアンティーク家具の修理や修復を行っているようです。
その昔ピアノのケースは家具職人達が彫っていた、という話はよく耳にすることです。
このピアノのケースを見るとその意味がよくわかります。
もう立派な家具です。。
ヨーロッパの古いピアノには燭台付きのピアノが多く見られます。
昔のピアニストやピアノユーザーたちはこれに蝋燭を立て演奏していたのです。
そのお姿はいかにも貴族といった風で非常に美しいのですが、
私的には長時間練習した時垂れた蝋が下に落ちないかが非常に心配なわけです。。
燭台付き🔥 鍵盤は象牙&黒檀の85鍵。 木目が美しい..
時代を考えると意外な3本ペダル。これはおそらく後に付け足されたものと思われます。
こちらのピアノオーナー様は、オーストラリアでこのピアノと出逢い一目惚れして日本まで運んだそうです。どういう経緯でドイツからオーストラリアへ渡ったのかは不明ですが、実はピアノという楽器はその大きさと重さからは信じられないくらいの長距離を移動することが多い楽器なのです。こと貴重で優秀なピアノに限って長旅をしているように感じます。いつの時代もいいモノも人も世界中からお呼びがかかるということなのでしょうか。ただ世界中を移動すると気候による環境の変化が激しくなることは避けられません。その為外観ではわからない大きなダメージをピアノが負っている可能性も大です。こちらのピアノも最初は弦を支えているチューンングピンがユルユルで全く音を保持できない状態だったそうです。
プロロング方式といって調整が大変なアクション。鍵盤上の部分に通常より長ーーい部品が着いてます..
ドイツ製のピアノがいかに優秀かは以前このブログ内でも書かせていただきましたが、今回のピアノもご多分に漏れず素晴らしい音色を響かせておりました。キラキラピカピカした音ではなく、内側から深く重く響く、それはそれは重厚な音でございました。
今日も僕のブログを読んでいただきどうもありがとうございましたm(__)m
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