29歳男性の小さな恋の思い出と現在 | プランターの中

29歳男性の小さな恋の思い出と現在

しばらく前に長年一緒にいた彼女と別れてしまい

傷心旅行と言うわけではないがふらりと帰省した。


いい歳した男の思い出話をブログで垂れ流すのも

気味の悪い事だとお思いの方もおられると思うが、その辺はアレとして。


高校の頃、特定の付き合いを持った女性などいなかったのだが、

部活で一緒に活動していた女の子と仲良くなった。彼女は僕が三年生の頃に

一年生として入学してきた。駅も同じだった為、部活帰りに一緒に帰ることも

しばしばあり、当時流行っていたポケベルの着信音をBGMにして音楽の話を

しながら田舎道を帰ったりしたものだ。


冬にになり、体育館に集められた際には、僕を発見するや、

僕の首に巻いてあるマフラーを奪い取り、自分の首に巻きつけは

しゃいだりしていた事から察するに彼女は少なからず僕に行為を

いだいていたんだろう、と思う。


大学進学を選んだ僕は、大学でいい娘と出会うだろうし、

年下で非常に幼く見える彼女には特別、恋愛感情を抱かなかった。

今思うと、もっとガツガツしていれば楽しい学生生活がおくれたのにと

後悔するばかりだし、しばらく前まで付き合いのあった女性と別れたから

こんな事を思い出したのだ。


で、その娘の実家は、販売のみの飲食店を経営していたのだが

今年になって、店舗内で食事が出来る老舗風の飲食店になったと知った。


この度の帰省の目的は、当時、僕のことを好いてくれていたと思われる女の子に

遇然を装い再開し、積もる話もあるだろうからと居酒屋にでも誘い出し

あわよくば、と下心丸出しの内容だったのだ。失恋したての男の行動は恐ろしい。


お店に入ると、彼女にそっくりのお母さんと思える人物が接客をしてくれた。

家族経営とは知っていたが、なんだか彼女の実家に紛れ込んだようで落ち着かない。

下心丸出しのアラウンド30の男が店内をキョロキョロ覗くのは、不審者以外の何者でもないので

そういうことは止め、静かにメニューを見ていた。


食事が運ばれてくるまでに、今まで忘れていた事を都合よくつなぎ合わせ、

僕は彼女に恋をしていた、と過去を繕う。ちょっとした恋人とに再会。いいものだ。

しかし、待てど暮らせど僕の恋人は店内には姿を現さない。


ま、その娘が現在この場所で家族と共に働いているかどうかなんて、リサーチせずに

入店したのだからしかたがない。以前この店に来た事のある僕の両親が

味はともかくとして、愛想のいい小さい女の店員がいた。と言っていた事から

勝手に妄想恋愛をかましているだけなのだ。


食事が終わる頃、店の奥から二人の子供が出てきた。長男と長女といった感じ。

誰の子供かは分からないが、厨房で調理人と遊んでいる事から、

この店の関係者だろう事は察しが付く。彼女の子供かもしれない。

高校を中退した彼女が地方都市で普通に生活をしていたら、

そのような現在を送っている事だって、日常的に考えられる事だ。


現在を眺めているのに、なんだかとてもノスタルジーな気持ちになった。

味噌汁をすすって、会計を済ませる。財布から小銭をしまっている時に

僕の名前を呼ばれたので、ドキッとしたが、どうやらそれは長男と思われる子供を

店員が呼んだようだった。


結局、彼女には逢えず仕舞いだったが、

誰の子供か分からないが、この店には僕と同じ名前の少年がいると思うと

勝手な想像を膨らまし淡い思いに浸る事ができた。


友人にこの話をしたところ、

都合よく考えるにも程がある。気持ち悪りい!と一蹴される。


長くなってしまったが何が言いたかったかというと

失恋した男は、卵から生まれてきたばかりのアヒルの子のごとく

身近にいる女性に恋をしたがるんだぜ、と言う事だ。