発達凸凹の子ども達を支援しているおときち先生の
発達、教育相談ルームです。
児童デイサービスの立ち上げを目指しています。
おときちです。
今日は、音楽が子どもの自尊心を回復することについて
例を挙げてお話します。
①音楽によって犯罪率の高い地域の子どもの心が回復している
みなさんはベネズエラで奇跡的な音楽教育が成功して、
犯罪率の高い国に育った貧しい子ども達に
大きな変化をもたらしたことをご存じでしょうか。
「エル・システマ」という、
国をあげた音楽プロジェクトが行われ、
荒れた環境の中ですさんでいた子ども、青年達が
音楽により自尊心を取り戻し、
世界で活躍するようになったのです。
その中から、世界的な指揮者
グスターボ・ドゥダメルも生まれました。
にも詳しく書かれています。
エル・システマでは、どんなに貧しい子でも
無料で音楽教育を受けられ、
オーケストラに入ることができます。
以前、そのオーケストラに入っている学生が
インタビューで答えていました。
「周りは貧しく、ギャングもいて
犯罪の多い地域なんだ。
そのままだと僕達はいつも怒りに支配されてしまう。
でも音楽をやっている時は、心が穏やかになるんだ。
音楽がなければ僕達はダメになっていた」
②ストレスで暴力的だった多動な男子も音楽に癒されていた
おときち先生の支援教室には
ピアノレッスンも選べるコースがあり、
そこにきていたある中学生Y君は、
小学校の時から衝動的でなかなか人の空気が読めす、
ひどいイジメも学校で受けてきました。
しかし彼の音感はすばらしく、
調べてみると絶対音感を持っていました。
彼が受験期にも、教室でレッスンを受けていましたが、
当時は親からのプレッシャーも強く感じ、
すさまじいストレスの中にいて、
教室内で私達に「親が憎い。今日中に〇ぬ」などと
物騒なことも言って、
楽譜を室内に投げつけまくる状態でした。
8割の時間はY君の苦悩を聴き、
残りの2割はピアノを弾きました。
「ベートーベンのソナタ」などを弾くのですが、
その演奏中は音楽の中に入り込んで
こちらが感動するほどの素晴らしい演奏でした。
その後無事に受験も終わり、落ち着いて、
彼はさらに他の楽器で音楽を続けているようです。
③自閉症スペクトラムの子が音楽で落ち着いた
先日、教室で過ごしていた自閉傾向の強い女の子は、
しばしばパニックを起こして
自分でもどうしていいかわからずグルグル回ったり、
物にあたったりしていました。
ある時、CDでその子の好きな穏やかな歌をかけました。
するとその歌の出てくるラジカセにかじりついて
目を閉じるようにジーッと耳を澄ましているのです。
終わるとまた聞きたがり、
何度かリピートをして聞かせていました。
そのうちに気持ちが落ち着いたようで
穏やかな表情になって遊び始めました。
④子どもが暖かい心になる音楽の授業をしたい
小学校の授業で音楽の授業をする時は
「子どもが音を楽しむ」ことを目標にしました。
私はピアノも得意ではありません。
ただ、ビアノは好きで、
プロが練習に使うレベルのグランドピアノを
家に置くような趣味があります。
・音のイメージを子どもが思い浮かべる
まず、はじめの授業で
「今の季節(春)はどんな色だと思う?」
などと問いかけます。
子ども達は口々に「ピンク、赤」などと答えます。
「そう、そのピンクや赤って、
ョッキングピンク?真っ赤なのかな?」
と聞くと
「薄い赤とかピンク」
などと返ってきました。
「薄くてもやっとしてるんだね。
あのね、かすみがかかったようなという言葉もあるんだよ」
などとさらにイメージを深くしました。
・イメージして音を楽しむ♪
みんなで春の情景の色やイメージを
たくさん膨らませました。
すると、もう待ちきれずに
「先生、春の歌を歌おうよ」
と言い出す子もいます。
そこで「春の小川」など
(歌詞で難しいところの解説をしてから)
私の下手な伴奏を入れると、
それでも気持ちが入って、
のびのびした表情で子ども達は歌ってくれました。
さらにのってくると、
伴奏はCDに譲って、
私も大きな声で楽しく歌います。
「CDの伴奏、先生よりもじょうずだねえ!」
なんて言って笑いあっていました。
・音楽が冷たい時間になってはならない♪
たまに残念に思うことがあったのですが、
ピアノの上手な専門の先生でも、
音楽の授業で
「子どもの心が動いていない」
「音を楽しんでいない」
という授業になってしまっているのを見かけます。
「音程、リズムを正確に」というのは、
レッスンとしては大切な要素ですが、
「音楽を楽しむ心」を置き去りにしては、
音楽の時間が「冷たい一コマ」になり、
子どもの心に良いものを与えるとは思えません。
先生や支援者の方は、
決して上手でなくても
(CDなどを使ってもよいのです)
子どもが「音楽って、楽しい!
歌うと心があったかくなるね!」
という時間になるように考えていけると
子どもの一生に与える影響は
素晴らしいものがあると思います。