発達凸凹の子ども達を支援しているおときち先生の
発達、教育相談ルームです。
児童デイサービスの立ち上げを目指しています。


おときちです。

今日は、保育園の先生からの質問です。

「3歳の男の子との関わりについて。
明るくおしゃべりも上手で人が好きな子なのですが、動きが激しいです。部屋の中でも何度言い聞かせても走り回ったり、最近では衝動的に他の子をたたいてしまうことが多いです。そのレベルは他の元気な男子よりも並み外れた感じで大人が振り回されてしまう感じです。親にはとても愛されている環境だとは思います。基本的な対応はどうやっていくとよいでしょうか?」

 

私は以前、保育園で、

衝動性のある子どもの支援をしていたことがあります。
 
ご質問にあるその子が、

(ADHDなどの傾向があるかどうかは、

医師でなければ言えないことですが)

仮に元々衝動、多動的なタイプの子だとすると、
大人が真っ向から正論で

「○○しなさい」「○○やめなさい」

という声かけで対応し続けたり、

保育者から叱られることが多すぎる環境ですと、

次第に本人の自己肯定感が低くなり、

心が荒れてくると思います。

私の場合、

そのタイプの子には正論で向かわず、

気持ちの切り替えスイッチを探します。


例えば、

エンジンがついたように走り回っているなら、

その子のエネルギーを受け止める気持ちで声をかけました。
 
仮名A君
 
お父さん「ちょ、ちょ、ちょっと待って!

A君!ちょっと!ちょっとだけこっちに来てみない?」

 

と、大げさに手招きします。
 
A君イヒ「え?やだよ。」
 
お父さん(ひるまず)「いいから!

ちょ、ちょ、ちょっとだけ!

こっちこっちこっち!」
 
A君イヒ「ん???なあに?」

と何だろう?という表情になります。
 
お父さん「ねえ、ねえ、あ・の・さ!

A君さあ、今日の朝、なに食べてきたんだっけ?」


A君イヒ「え???今日の朝?

(ここですでにさっきまでの走るスイッチが切り替わっている)
えーとお。ぼくね、パンとハム食べたよ」


お父さん「へええええ!そうなんだ!おいしそう!

(そこでA君の好きな車の話を持ってくる)
ねえねえ、A君!ブルドーザーってかっこいいよね!

(バンバン話を展開させてOK)」
 
A君イヒ「うん!あのね、

でもダンプカーも僕大好き!」

などど目を輝かせて話します。
 
時間がゆるせば、

その話をなるべく相槌をうって聞いてあげてください。

 
触れることを嫌いでない子なら、

背中や頭をなでて
「A君って物知りだねえ!びっくり」

と感嘆の声を上げるのです。
 
A君のテンションが安定したころ、


「あのね、この部屋せまいでしょ。

A君がはしってると
さっきあの子にぶつかりそうになったよね、

部屋で走るのはどうなのかな?」
 
などと問いかけます。

 

意外と意固地だった子も、

自分が認められ安心感をもつと、

素直に大人の話を聞いてくれたりするのです。
 
もちろん、その子の家庭環境、

今までの傷などによっては、

すぐによい反応が得られるとは限りませんが、

以上のような対応を繰りかえし繰りかえし、

してあげて
「先生は何百回でも付き合うよ」

と腹を据えて関わっていってください。
 
このタイプの子は、みんなやクラスの

「流れに沿うことが非常に苦痛」です。
元々その子にとって、集団は苦手なこと

我慢させられている場面が多いことを

理解しておきましょう。
 
逆に話が次々と変わったり、

意外な展開になることは食いついてきて

とても想像性の高い子が多いと思います。
 
そういう長所を大人が常に意識して

「〇君ってこういうところが素敵だね」

と声をかけ続けるとよいです。

どうしても園や学校で叱責されやすいので、

叱られる10倍の認める言葉を意識して、

常に接していかないと、

すぐにセルフイメージが落ちて、

暴力的傾向が強くなったり

衝動性が増してしまうことにもなります。
 
しかし、大人との信頼関係がいったんできれば、

必要なしつけもできます。
 
「他の子をたたいてしまう」ことなど、

人として絶対にゆるされないことが起きた時には、

毅然とした態度で「いけないこと」だと

伝えていくことも、子どもに伝わりやすくなります。
 
集団の中で、一人の子に

そこまで手をかけるのは難しいですが、

その子への関わり方を他の保育者と共有しつつ、

荒れてしまっている時には
誰かがその子のスイッチをうまく切り替えて、

無駄に怒られる場面を減らしていけると、

結果としてクラス全体も落ち着きやすくなるのです。
 
私が支援していた時には、

そのような、いわゆる「気になる子」を

私が数人重点的に見て、

集団に落ち着いていられる子達を

他の先生がしっかり見ていく、

という協力体制でカバーしました。
 
一年ほどすると、

見違えるほど落ち着いて

お母さんが園に感謝の言葉までくださったこともありました。
 
忍耐が必要ですが、

幼児期の接し方が今後の土台になりますし、

園の先生は、そのような大事な役目だということを誇りに思い、

トライしてみてはいかがでしょうか。