おときち先生の発達、教育相談ルームのブログです。

おときちです。

私が以前、小学校で一般級の担任をしていた時のことです。

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あるクラス(5年生)が学級崩壊の状態になりました。

3学期になり、保護者会が開かれるなど

学校は対応していましたが、担任は途中から休みをとることになり、

校長から私に「なんとかこのクラスを持ち直してくれないか」と言われました。

私も自信があるわけではないのですが、

校長の指令です。受けることになりました。

その時、私は校長にひとつのお願いをしました。

この子たちは通常の授業ができる状況ではありません。

まず心を育てることをしないといけないと思います。

それでもよろしいでしょうか?

校長は

「分かった。やり方は君にまかせる」

と言ってくださいました。

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初めてその教室に入った時、驚きました。

子どもたちは教師の私が来ても反応せず、

大騒ぎをして、物が教室内を飛び回るのです。

しばらく、私は子ども達の様子を黙って見ていました。

ずっと目をこらして、子どもの姿を感じ取ろうとしました。

先生がきても、着席しなさいとか、静かにとか叱らない

という状況に、だんだん子ども達は

あれ?いつもと違うな、と感じたようで

チラっとこちらを見る子が出てきました。

まだまだ騒ぎは続いていましたが、

そこで私は言葉を発しました。

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「先生は、今は教科書を使った授業はしません。」

子ども達は、少し驚きました。

「ただ、ひとつ。本を読む時間を取りたいと思います」

 この変わった提案に、ある子は

「いやだよー本なんか読まねーよニヤリと。

「自分で読まなくていいよ。

先生が声を出して読むから、聞くだけでいい。

それだけは守ってほしい。」

本を音読して、子ども達に聞かせました。

選んだ本は様々ですが、星野富弘さんの詩集

(元教員で事故により首から下が麻痺した方の作品)など、

子ども達の心を育てるのによいと感じた本を読みました。

「この子たちは、大人を信用していないし、

育つはずの心が充分育っていない」

と感じていたので、勉強よりなにより、

心という土台作りをするべきだと考え、手探りで始めたのです。

(続きます)