10月4日
長い夜が明けて朝が来た。

実家は祖父の代からブドウを作っていて、ちょうどこの週末が今シーズン最後の出荷だ。祖父、父、そして弟と畑を引き継いでやっているが、昨晩の看護師さんの話を聞きショックを受けた弟は今日は出荷はやめておこうかなと話した。

それを聞いた父は、目を丸くしてどうして?と。そう、父も退職後は楽しみにしていた農業。仕事も農業も全力で手は抜かない、そして探求して良いものを作る。それが父だった。

出荷をやめようかなと言った時の父の表情を見て、弟も気持ちを切り替え予定通り出荷の準備を始めた。
父は嬉しそうに話した。
俺も畑に行きたくないと思う日もあったけど、それを乗り越えないといけない。と

その後はうとうとしていた父だったが、ブドウの出荷場の夢でも見ていたのかブドウの話をしていた。

今年は不作だったブドウだったが、ここ数日の雨のおかげでだいぶ実がしっかりしてくれたと取ってきたブドウを父の部屋に持ってきた。
父は嬉しそうだった。食欲が減っていたが、自分からブドウが食べたいと言い、一粒口にした。

この日は父を1人にさせないように、必ず誰かが父のそばに付き添うことにした。

寝ている時間は長いが、話してくれる父、食事をする父、、父は生きていてくれている。それが私の心を落ち着かせてくれた。

しかし、父の身体はとても頑張っているのが伺えた。足は氷のように冷たい。それなのに胸から上は汗をびっしょりかく。脈拍もいつもよりかなり早い。

こんな父の身体を目の当たりにしながら、私は今晩も父と一緒の部屋で過ごした。