「 作詞 の テーマ に ついて 語る」 作詞家 の ご紹介 です | 詩 と 散文 と 音楽 の 広場 ☆ ミックス・ヴォイス の 見つけ方

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日本を 代表する 作詞家 の 
阿久 悠 (あくゆう) さん と
安井 (やすい) かずみ さん
の 言葉の ご紹介です。

【 テーマ とは、
( ドイツ ) Thema
行動 や 創作 などの 
基調 となる 考え。主題。
〈 出典 goo 辞書 〉】

阿久悠さん
( 1937年 2月7日  -  2007年 8月1日 )
作品は、
ザ・モップスの「朝まで待てない」、
尾崎紀世彦さんの「また逢う日まで」、石川さゆりの「津軽海峡冬景色」、
都はるみの「北の宿から」、
アニメ「宇宙戦艦ヤマト」、
森田公一「青春時代」、
ピンク・レディーの「UFO」、
沢田研二の「勝手にしやがれ」など、
5000曲 以上。

安井かずみさん
( 1939年 1月12日  -  1994年 3月17日 )
作品は、
小柳ルミ子 の「わたしの城下町」、
沢田研二 の「危険なふたり」、
伊東ゆかり の「恋のしずく」、
浅田美代子 の「赤い風船」、
竹内まりや の「不思議なピーチパイ」
など、4000曲 以上。

◇ 阿久 悠さん の 言葉 から。

《 時代 の 飢餓感 (きがかん)
を とらえる 》

ぼくは、テーマ 選びの
基本 姿勢 として、時代の
飢餓感を見きわめ、
とらえることを 1番 に
置 (お) いている。

今の社会で1番ほしいものは
何なのだろうか。
それは 愛 なのだろうか。
やさしさ なのだろうか。
陽気 (ようき) さ なのだろうか。
激 (はげ) しさ なのだろうか。
新 (あたら) しさ なのだろうか。
古 (ふる) さ なのだろうか。
便利さ なのだろうか。
不便さ なのだろうか。
金 なのだろうか。
自然 なのだろうか。
文明 なのだろうか。
原始 なのだろうか。
強さ なのだろうか。
弱さなのだろうか。
リンゴ なのだろうか。
グレープフルーツ なのだろうか。
裸 (はだか) なのだろうか。
正装 (せいそう) なのだろうか。
純愛 (じゅんあい) なのだろうか。
ポルノ なのだろうか。

無限にある そういったものを、
常 に 社会 の 動きを 見ながら
考えている のである。

その 中 には、もちろん、
ぼく 自身 の 飢えも
含 (ふく) まれているし、
時代 の 飢えも 含まれている。

そういう 満たされない 部分を
補 (おぎな) ってやるのが、
歌 の 持つ 1つの 使命
では ないか と 考えている。

〈 後 略 〉

◇ 安井 かずみ さん の 言葉 から。

《 テーマ 》

「 何を 書こうか 」
ということが、まず 問題 です。
あの事 に しようか、
この事 を 書こうか
というわけで、
私 の 経験から、3通り の
発想法 を あげてみましょう。

まずは、漠然 (ばくぜん) と
渦巻 (うずま) く 
抽象的 (ちゅうしょうてき) な
想 (おも) い から
絞 (しぽ) り 込 (こ) んでゆく
テーマ の とらえ方。

それら 渦巻く あれこれ は、
失恋 (しつれん) で あり、
旅 で あり、孤独 (こどく)、
友情、幸せ、優 (やさ) しさ、
反省、悔恨 (かいこん) の 涙、
不満、思い出、失望、
希望、哀愁 (あいしゅう)、
悩 (なや) みごと、美しさ ・・・。

時に 真実 の 発見 であり、
再 確認 で あり、本心、
ロマンティック さ、
狂気、そして 愛 ・・・。

それら 人生の もろもろ
というわけです。誰 でも、
どれかに 思い当たる でしょう。

その 書き時 (どき) に 当たって、
それら の 想い の 中 で
どれが 最 (もっと) も 強く
自分を 動かしているか で、
テーマ は 決まって きます。

情熱的に、集中して、自分を
動かしているものを 抽出
(ちゅうしゅつ) していきましょう。

実際 の ところ、額 (ひたい) や
手 が 汗 (あせ) ばんで
くるものです。

作詞者 の 最も 辛 (つら) く、
最も スリル の ある 興奮
(こうふん) の 一瞬
(いっしゅん) ・・・ いえ 1 時間、
いえ 1日中 の ことすら
ありますが ・・・ です。

この テーマ の 絞 (しぼ) り
だし 時 (どき) の こつ は、
「 正直 に 自分 の 心 を
のぞき 込 (こ) む 」 ことでしょう。

格好 (かっこう) つけたり、
気負 (きお) ったり、
言い訳 (わけ) がましく
自分を 見ては いけません。

テーマ の 核心 (かくしん) が
逃げて しまう からです。

電話 の 応対 (おうたい) に 出たり、
あらぬ 考えに
気 を 散 (ち) らしたりするのも
禁物 (きんもつ) 。

ぐいぐい 残酷 (ざんこく) な
までに、テーマ に 沿(そ)った
情況を 絞 (しぼ) りあげていく
勇気 と 洞察力 が 必要です。

【 洞察 とは、
物事 を 観察 して、その 本質 や、
奥底に ある ものを 見抜くこと。
見通すこと。
〈 出典 goo 辞書 〉】

「まあ、ずいぶんと
辛 (つら)い 思いを するんですね」
と 言う 人 も いる
かもしれません が、
この テーマ 絞 (しぼ) り
《 産み の 苦しみ 》さえ
済 (す) めば、あとは
作詞 をやめられない ・・・

と 思うほどの 楽しい
大 (おお )いなる 時間 が
やって くる のですから、
この 一瞬 を 頑張 (がんば) り
ましょう。苦しくなったら、
冷 (さ) めて しまった
ジャスミン・ティ でも 飲んで。

さて 次は、幸 (さいわ) い なるかな。
テーマ は そこいら じゅうに
転 (ころ) がって います。

多くは なにげない 日常 の 中 に。
その 狭間 (はざま) に。
埃 (ほこり) を かぶって、
あるいは 何かに 化 (ば) けて。
掘 (ほ)り 起こして みましょう。
磨 (みが) いて みましょう。
見直 (みなお) して みましょう。
振り 向いてみましょう。
見慣 (みな) れた いつもの 場所に、
いつものように 掛 (か) けてある
1枚の リトグラフ ・・・ の
思い出。

♪君が  三年前
ふらりと  この 家 に
僕の 人生に
紛 (まぎ) れこんだ  あの頃
そんな 人並 (ひとな) みな
時も あった
君が 選んだ モノクローム の
リトグラフ ・・・ ・・・

( 「 優しい 夜の 過ごし方 」 より )

【 リトグラフ =
石版 画( せきばんが ) 】

テーマ と 成り 得る
モチーフ や 動機 は
いくらでも あります。

中 (なか) でも、机に 向かった 時、
強い 印象を 持つ 事柄 は
テーマ に なります。

感動している 事柄、
気になっている 人物、
しがみ 付 (つ) いていたこと、
こだわっている事象、
泣 (な) きたい ほどの 思い出、
あるいは 泣くに 泣けない
ほどの 失恋 ・・・。

〈 中 略 〉

いずれ にしても、強すぎる ほどの
衝動 (しょうどう) を 持って
テーマ を 選ぶ ことです。

書き手 が 非常に 強く 念じても、
書くという メディア に 移行して
少し 薄 (うす) まり、メロディー
と 結婚 して 少し 変化し、
さらに 歌手 の 声 を 通じて、
空間に 飛び 散る 運命 を
持っている からです。

テーマは、それらの 段階 を
踏んでも、なおも 歌の
軸 (じく) で あり 続ける もの
として、しっかりと
決めて かかりましょう。

テーマ の 探り方 の
3っ目の 方法として、
ディテール の ひとかけら ・・・
から と いうのが あります。

【 デテール とは、
全体の中の 細かい 部分。細部。
〈 出典 goo 辞書 〉】

例 ( たと) えば マスカラ が
滲 (にじ) んで いる
女 の 泣き 顔。

例えば 真珠 (しんじゅ) の
艶々 (つやつや) した 丸 (まる) み、
例えば ひとり寝 の ベッド、
風邪薬 (かぜぐすり)、
白檀(びゃくだん)の
香り入り石けんの匂(にお)い
などなど。

【 白檀とは、
ビャクダン科の常緑の木。
高さ3〜10メートル。
材は 黄色がかった 白色で
強い 香り がある。
〈 出典 goo 辞書 〉】


その時書き手の脳裏に妙に
ひっかかっている
ひとかけら、気になる
ひとかけらのディテール・・・
そこから、なぜ気になって
いるのかを突き詰めていく
場合もあるでしょう。

そのひとかけらから
イマジネーションを
広げていくことも
ありますし、思わぬ記憶と
結び付(つ)いてドラマが
つかめることもあります。

テーマは、書く本人が
ぐーんとのめり込んで
いっても決して
あやふやにならない、
手応えあるものこそを
選びましょう。

〈 後 略 〉

□ 参考 文献

「安井かずみの作詞教室」
安井かずみ 著
光村図書 出版 発行

「作詞 入門 」
( 阿久 式 ヒット・ソング の 技法 )
阿久 悠  著
岩波 現代 文庫 / 岩波 書店  発行

NOTE  70年代 を 代表する
作詞家、安井 かずみ
https://note.com/meg_ikoa/n/n46cb3fe3940c

NHKアーカイブス  阿久 悠
https://www2.nhk.or.jp/archives/articles/?id=D0009072043_00000