●読む目的

大麻についての理解を深めたい。

 

●選んだ理由

高城剛さんは色々なメディアで活動を知っていたので、

どのような内容を書くのか興味があったため。

 

●読了後、気になったポイント

・現在の大麻ビジネスの拡がりは「グリーンラッシュ」と呼ばれている

・2019年にWHOが大麻のスケジュール(有害性や医療価値等による評価基準)の緩和を目指しており、

この変更に伴い厚生労働省に大麻に対する新たな動きが出て来る可能性がある。

・10年前の大麻(THC成分濃度15%程度)と現在の大麻(THC成分濃度がMAX.100%程度の品種がある)とを混同する事は危険。

アルコールのように成分濃度のコントロールを法制化する必要性がある。

・日本では研究用栽培すら禁止となっている。

研究が進められないためまともな知識人が養成されず、

これが日本国民において大麻に対する知識レベルが非常に低く偏見に満ちている要因。

・欧米ではコンパッショネートユースという「臨床試験に参加できない、

命を脅かされるなど販売承認を待てない患者に、

未承認薬へのアクセスを例外的に可能とする公的制度」が昔からあるが、

日本は最近になって出来たばかり(残念ながらそれも医薬品という加工品限定であり大麻は対象外)。

海外において医療用大麻が社会に認知されるようになった契機の一つは、

このコンパッショネートユースを活用した医療用大麻の使用事例がある。

・製薬業界にとって大麻は既得権益における競合となり得る存在であり、

現にブッシュ政権時代にロビー活動の結果として大麻への締め付けが厳しくなった事がある。

・2009年におけるカリフォルニア州内での医療用大麻マーケットの市場規模は約1兆5,400億円で農業部門最大の規模。

ちなみに2位は乳製品で8,000億円。

この時にリーマンショックが起き、カリフォルニア州の税収が大幅に下落した。

その穴を埋めるべく考案されたのが嗜好用大麻の解禁。

ただ、当時のカリフォルニアですら嗜好用大麻の解禁の是非を問う第一回の住民投票は否決された。

ちなみにこの当時で既にコロラド州等では合法化されており、

米国内に先行事例はあった。

・嗜好用大麻の合法化施行後に調査を行ったところ、未成年の大麻使用率は低下したという結果が出た。

・大麻使用に伴う自動車事故率の上下については結果は微妙である。

・カナダは元々国民の1/36が大麻使用経験があり、更に違法薬物が蔓延していた。

違法薬物を国民から切り離すために大麻合法化を国レベルで進めた経緯がある。

・日本の覚せい剤マーケットは推定で1兆円規模と考えられる。

・医療用大麻で改善効果が見込める病気はてんかん/PTSD/ガン等。

・2021年のアメリカにおける大麻マーケットの予想規模:4兆4,000億円/雇用者は40万人。

・中国は産業用大麻の栽培を行っており、産業用途の栽培作付面積では世界最大。

国策として進めている理由は内陸部の痩せた土地の利活用。

・米国NIDAによると、大麻の中毒性はコーヒーと同程度だが、

こと法律面(連邦法)ではヘロイン・コカイン・あへんと同格という扱いになっており、

ねじれが発生している。

・大麻についての研究は途上にあり、今後健康面でのリスクが見つかれば規制が強化される可能性は十分に残っている。

・大麻の成分であるカンナビノイドは体内で元々生成されているものであり、

その低下に伴い老人性疾患が起きるのかもしれない。

であれば体外から投入してあげる事で改善が見込めるかもしれない。

・日本で大麻栽培において許可されているのは産業用途のみ。それも相当厳しい審査が行われている様子。

・現在、医療用大麻の生産量世界一はイギリス。

・この本に対して出版社からの興味はなぜか皆無だった。

 

●感想

大麻の世界的な現状から歴史的変遷までが重厚に綴られた、非常に骨太な本だった。

上記には書かなかったが、世界中の国々の大麻に係る動きが記述されており、

今ここまで大麻について広大・詳細に最新情報を書ける日本人は高城さんくらいではないか。

 

日本において常日頃から大麻に対する無知・偏見が一般人に多く見られる理由は、

①大麻に関する研究用途の栽培が認められていない

②コンパッショネートユースが最近まで認められていなかった(現在も医薬品限定)

上記2点が大きいと思われる。

それにより、大麻に詳しい知識人が育たなかったり、医療用大麻の使用例が国内に蓄積されず、

一般人の知識レベルも向上して来ないという悪循環にあったと思われる。

 

今後の日本における大麻解禁に必要となる社会的条件として高城さんは下記を上げている。

①WHOによる大麻のスケジュール見直し

②米国の連邦法におけるスケジュール見直し

③海外企業、特に米国企業が米国政府をバックに開国を要求

 

上記のうち①②は世界の流れに乗って粛々と進められ、

日本に直接的に影響して来るのは③だと思っている。

現在はまだ米国内で商業大麻・医療大麻のマーケットが拡大を続けており、

国内のパイのみで企業はおなか一杯な状況だろうが、

やがて成長が鈍化し国内市場が飽和し始めれば必ず輸出を視野に入れ始めるだろう。

そうなれば法規制から日本国内に競合がおらず、外圧に弱い日本は格好の獲物となるだろう。

その時になって高額な大麻を購入させられる事は日本にとってマイナスであり、

せめて①の結果(十中八九、スケジュール緩和の方向で落ち着くであろう)が出た段階で、

日本国内での研究用途の大麻栽培は合法化を進めるべきではないか、と考える。