●読む目的
営業を科学したい。
志望企業が監訳しており、その企業の考えを知りたい。
●選んだ理由
志望企業のウェブサイトを見ていたところ、発見。
●読了後、気になったポイント
・構成が「採用」「人材育成」「マネジメント」「見込み案件創出」「テクノロジーと実験」となっており、単純な営業ノウハウ本ではない。
・統計から自社に適した人材のパラメータを設定し、点数をつけて人材を選定
・リブ・コンサルティング社のパラメータはテクニカル面よりもマインド面が重要となっており、それは「前向き思考」「顧客への感情移入」「顧客志向(感謝・顧客の成果)」「現場重視」「成長意欲」といったもの。対するハブスポット社は「コーチング応用力」「好奇心」「成功体験」「知性」「勤労意欲」となっている。
・採用におけるSNSの活用を提言。その点は日系企業もリブも同調。SNSの採用アプローチの際はあからさまにアプローチするよりも同業者がライトに情報交換しましょう位でコンタクトを取った方がガードが下がりやすい。
・営業手法の3つの構成要素を「バイヤージャーニー」「営業プロセス」「リードを絞り込む指標」と定義
・リードの絞り込み指標で伝統的なものはBANT。Badget、Authority、Need、Timing。
・OJTには否定的。理由は測定不能だからとの事。強化すべきは営業育成方式。
営業育成方式は6ヶ月毎にフィードバック修正し、それは研修成績と営業成績の相関性で判断。
・ミサワホームの事例では、営業活動のノウハウを組織に浸透させて土台から能力アップをさせるよう努めているとの事。
・現代の営業活動は売り手と買い手の関係というより医師と患者の関係に近い(コンサルティング?)
・SNSはどんな営業スタッフでも潜在的な顧客から信頼される指導者になれるチャンスを与える。
・マネージャーは営業コーチたるべき。
・コーチングの基本は重要なスキルを一つ一つ教える事。色んなスキルを一気に押し込まない。
・報酬制度およびコンテストの導入。
・トップセールスを営業管理職に昇格させてはいけない。
なぜなら営業という職種は第一線で成功をもたらす特徴と、マネジメント職で成功を持たらす特徴との差が最も大きいから。
時として、トップセールスは自己中心的・自分勝手・競争心が強い。
ただし、逆に成績が悪いセールスがマネジメント職についても誰も納得しないから言う事を聞かないからそれも×。
外部からのマネジメント職のヘッドハントも会社のカラーに合わずに失敗。
・営業リーダーの内部昇格の利点:自社の都合が良い能力で育てられるから。
・マネジメント職に昇格する条件:売上・営業スキル・リーダーシップの素質・営業スタッフの採用および育成経験(社内で限定的に実施)
・アウトバウンド営業よりもインバウンド営業の重要性がITによって高まっている。
・インバウンド営業は時間がかかり根気が要るため、専任者を指定して長期的行うべき。
・インバウンド営業が成功すると爆発的なリードが押し寄せる。そのリードを全て営業がより分ける事は無駄なのでマーケティングが事前にスコアリングを行って取捨選択し、良質なリードのみ営業に渡す。
・先のBANTに変わるハブスポットのリード絞り込みはGPCT(Goal、Plan、Challenges、Timeline)。
・日本国内における問題は需要の低迷。対策は「既存顧客の需要喚起」「新ターゲットの開拓」。
具体的には「提案力向上」「コンサルティング営業」「3K(勘・経験・根性)からの脱却」。
・日本の成熟市場ではプロシューマー化した顧客ばかりで生半可な提案力では検討の俎上に乗らない。
・日本の既存企業では雇用を守りながら組織改革を行う必要がある。
・つまり日本企業では生産性と創造性の同時追求が求められている。
・打開策に「集合天才」という概念を上げている。生産性・創造性共にみんなで知恵や経験を持ち寄れば向上する事が出来るという考え。
つまり、営業の組織化がポイントとなる。
リブコンサルティングの提言は、事業開発室やブランド推進室のような営業から完全に分離した組織を新設するのではなく、セールス活動のイノベーションを目指す組織を作る事。
その際、メンバーは同じ色のメンバーではなく異なる色でかつ優秀なメンバーを選定する事。
そのメンバーには一切の既存の営業活動は禁じ、売れる営業組織モデルの成果創出に注力させる。
●感想
・デジタル時代の営業というタイトルからかなりテクノロジー依りな内容かと思いきや、割とアナログな内容に終始。
所謂3K(勘・経験・根性)からは脱却し、論理的に営業しよう・営業組織を作ろうというのがこの本の骨子。
後書きやオーディオ対談でも言及されているが、ハブスポット社はバリバリの米国ITベンチャーのため、
そのまま日系既存企業がこの内容を取り込んではいけない。
ただ、部分的にはぜひ取り入れるべき部分はあると思う。
・自社にとって重要な素質をパラメータ化して面接時の指標にするのは一定レベルの人材を取り込む助けになる。
・SNSの活用は日本ではまだハードルが高い気がするが、意識・感度が高い人材を確保したいならありなのではないか。
・マネジャーは社内昇格させるべきという提言は興味深い。正に日本的なものだからだ。
・BANT,GPCTは初耳だったし興味深い。
個人的にはBNCCといった感じで有望顧客を見ている(Budget、Needs、Communication、Challenges)。
まず予算は営利であるからには予算ありきであり予算が無い客は客では無い(Budget)。
次に弊社のサービスを必要としているか(Needs)。
それからこちらとコミュニケーションを取る気があるか、取る能力があるか、それによって発展的な関係を築いてビジネスを大きく出来るかが変わる(Communication)。
最後に挑戦的な事業をしようとしているか、課題を抱えているか、その課題を解決して差し上げる事で関係を深化出来る(Challenges)。
・インバウンド営業がビジネスにおいて重要になって来ている事は間違いない現実だが、特に中小企業にはまだ浸透していないように思う。
・当方はニッチ性が高い非レッドオーシャンで仕事をしているが、自動車や不動産の販売等はレッドオーシャンであり、特にこの日本においては非常に苦戦を強いられている営業分野だろう。特に自動車はMaaSや少子化が進行すれば市場が縮小する事は不可避であり、営業どころか経営レベルでの対策は急務。抜本的な対策とは言えないだろうが、当面を凌ぐ為の策としてリブコンサルティングは集合天才を提言。社員それぞれの知恵を持ち寄って難局を乗り切ろうという考え。またその威力を最大化させるためにタスクフォースを設置して突破を図るという提言もある。
ニッチ市場在職者としては斜陽市場はとりあえず対応しておきつつ、対MaaS、少子化に対応する新たな市場を発掘すべきと考える。MaaSに対してはカーシェアリングサービスの展開はどうだろうか。ローカルのカーディーラーは地元の顧客リストを持っているはずであり、その顧客にサービスの提供者となってもらうのだ。顔が見える顧客リストを持っているカーディーラーは与信情報も持ち合わせており、ハブとして最適だ。少子化・MaaS進展の最中で敢えて自動車を保有する層はかなり車にコミットする層であり、そういった層には特殊塗装やオプションの提案が受け入れられるのではないか。アニオタ層向けにアニメスタジオと連携し特殊塗装の版権を独占するようにすれば、高付加価値な車をニッチ層に販売出来るのでは。
横道に逸れたが、恐らくリブコンサルティングの後書きは今回の書籍の趣旨に敢えて寄せた内容となっているはずで、営業以外の色々なアイディアを保有していると思われる。



