今にして想えば...

 あの頃に言われた言葉の数々が、

  一見意味ありげで、実は混乱を招いただけだった...

   理解不能であったが、実は非常にためになった...

    私の人生で出会った、そんな言葉について書いてみます。

 

私が幼少の頃、学校で「姿勢を正しなさい!」とよく先生に言われました。

先生からすれば教育の一環でそう言っていたのでしょう。

言われて私は「気をつけ」をしていたような気がします。

 

しかし、この「姿勢を正しなさい!」は具体性に欠けていて

非常に分かりにくい指示でした。

言われた子供はどうしていいか分かりません。

それで何となく「気をつけ」をするしかありませんでした。

この「どうしていいかわからない」状態が何年も続き、

私は混沌とした日々を送りました。

 

次に言われたのは「背筋を伸ばして顎を引け!」でした。

これは具体性がある指示なので、言われた通りにすぐできます。

でもこの指示、実は相反する指示で両立できないのです。

背筋を伸ばすと顎は上がってしまいます。

顎を引くと猫背になります。

こうして私は顎上がりと猫背を繰り返し、その結果

背筋が伸びて顎を引いた姿勢になるどころか、

その両方の悪い所だけを兼ね備えた猫背で顎の上がった姿勢になってしまいました。

その悪い姿勢を直すこともできず、10年以上も更に混沌とした日々を送りました。

 

それから...

コーラスを習っていた時に先生から「首の後ろを伸ばせ」と言われました。

私はこの指示は最初、何を言っているのか分かりませんでした。

具体性はありそうですが、どうすればできるのか?

何となく他の人のやっている格好を真似してみるものの、やはり理解はできません。

しかし、理解できないものの、頭の片隅にあるこの言葉内容を

私は自分でも気付かないうちに、自分なりに色々考えていたようです。

操り人形の首の後ろにフックを付けてそれを上に引っ張ってみたら、

操り人形は「背筋が伸びて顎を引いた姿勢」になるのではないか?

これを自分の体に当てはめてみたら、やっとできるようになりました。

 

「首の後ろを伸ばせ」とは「背筋を伸ばして顎を引け!」という相反する

指示を1つに集約した指示だったのです。

そうだったのか。

この言葉を一番最初に聞いておけば。

その時理解できなくても、ここまで、混乱することはなかっただろう。

そう思うと大変残念です。