過去にあった、奇妙な想い出について書いてみます。
 
私は大学生の頃から5年くらい金縛りによくあっていた時期があった。
この金縛りには合図があった。

寝るときに首筋が妙に冷え冷えとするのがその合図だった。

この合図があると、「今日はきそうだな。」と思い、

そうすると、ほぼ100%金縛りにあう。

この金縛りの時を例えてみると、

「ジェットコースターを寝た体勢で乗って、頭の方向から発進する。」

となる。
私はこの怖い状態に耐えられず、いつも気を失うようにして寝ていた。

 

そうかと思うと、

胸の上に何かが乗っかったように重苦しい状態で、抜け出そうにも体を

動かせない時もあり、この時はこの時で私は死にそうな思いをしていた。

ある時テレビで「金縛りの時に体は動かせないが、呼吸は何とかできる。

だから自分の意志で呼吸をしっかり深くとれば、そのうち金縛りが解ける。」

そう言われて、試してみたら確かに金縛りが解けた。

フルートを吹く時に覚えた複式呼吸が役に立った。

深い呼吸をする過程で意識的に腹筋を動かすことから、

自分の意識が勝り、金縛りが解けるのだ。

 

これならもう大丈夫。

しかし、そう思ったのは束の間のことであった。

金縛りは解けても、次に寝ようとするとまた金縛りにあう。

こうして、私は金縛りを解くのと、また金縛りにあうのを繰り返し、

そのうち疲れて、金縛りの本番の重圧に苦しんでから、やっとのことで、

睡眠へとたどり着く日々を送ったのであった。