トドカナイ | Clock knock

Clock knock

いつでも変わらない時間と場所

こうなってしまうとどうやって生きて行けばいいのかという問題がほんとうに分からなくなってしまった。
起きたら月曜日、時間の圧迫だけを漠然と感じる。
苦しかった。吐いても吐いても。吐いている時が苦しかった。解けない問題と向き合ってるときではなく、吐いている時が苦しかった。だれかに求められて吐いているわけじゃないのに、誰が得するわけでもないのに、ただ苦しくてその場で吐いた。一度では収まらなかった。何分もとどまってそこでまた吐いた。寒かった。体力を失った体がガタガタと震えた。その震えを抑えることも出来なかった。吐いている時涙が流れていった。なんの涙だったのかは分からない。苦しかった。妹が迎えに来てくれた。タクシー代を持って、迎えに来てくれた。臆病で浅はかな友人にうんざりしながら、また吐いた。妹はしっかりしていた。吐いて震えることしか出来ない僕とは全然違った。遠くから声が聞こえる。仕方が無い。僕は迷惑で醜い。臭いだって酷いはずだ。汚い。汚物でしかない。分かっている。許されない。一度だからと許されるわけではない。苦しい。歩くことが苦しいんじゃない。歩かなければいけないことが苦しかった。
家に着いた。車中で何度も謝った。ごめん。ごめん。ごめん。返事は無かった。分かってる。僕は醜い。汚い。許されない。
震えが止まらなかった。
夜中何度か目が覚めた。喉がかわく。エネルギーが足りないことを感じていた。体を起こすとき、頭がその動きとは別にぐらつくのを感じた。歩けなかった。這って進んだ。部屋から台所に行くことが出来なかった。また吐いた。苦しい。闇しか見えない。何も支えはない。聞こえる人がいない。誰も声を聞くことができない。蛇口から水を口に直接付けてすすぐ。唾液がネバネバとまとわりつく。気持ち悪い。結局水を飲むことは出来なかった。布団に這って戻る。しばらくしてまた目が覚めた。また吐いた。鼻にも吐瀉物が入った。汚いし臭い。気持ちが悪い。
朝になった。母親が来た。分かってくれるだろうか。分かってくれるだろうか。なぜそう思ってしまったのだろうか。くじかれた。苦しいのは僕だけだ。この家で汚くて醜いのは僕だけだ。銀色の光が魅力的に光った。こんなに強く惹きつけられたのははじめてだ。ここまで来てもどうやって生きて行けばいいのか分からなかった。