ほしいもの | Clock knock

Clock knock

いつでも変わらない時間と場所

将来の夢はなんだろう。
自分がやりたいことはなんだろう。
高校三年生ともなると、何度も何度も聞かれることだが、僕は答えを持ち合わせていなかった。今もそうだ。
中学三年生のときも進路をまったく考えなかった。しかし、考えなかったことで何か不具合があったということもない。選んだわけでもなく進んだ道にだって、新しく出会う人がいて、僕は彼らを好きになった。
それは変わらなかったからなのかもしれない。決まった時間に起きて、決まった時間に学校に行きさえすれば誰にも咎められることは無いし、そうしていればいいとみんなが信じていた。そういうものなのだと。
だから僕は何か答えを持つ必要があるのかどうか分からないし、答えを持たなければならないという動機を見つけることさえない。
不安ということもない。
怖いわけでもない。
いつからか僕の心は波も風も立たない、静かなものになっていった。その水面を揺らしてみようと笑い、怒ったりしてみるものだったが、どうやっても涙だけは一雫すら目の端に浮かぶことはなかった。
僕はどうしていたらいいのだろう。