この記事では、FC(ファシリテイティッド・コミュニケーション)や
指筆談(指談)を『もっともらしく見せてしまう要因』 となる、
いくつかの人間の「錯覚」 について簡単に紹介したいと思います。

(あくまで簡単な説明ですので、詳しくは検索などで調べてみて下さい)
(指筆談って何?という方は右のリンクから→ 指談を信じる人へ

 

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① 『コールド・リーディング』

コールド・リーディングは話術のテクニックです。
簡単に言えば「当たっていない指摘を当たっているように思わせる話し方」です。
1対1で向き合うタイプの占いなどで使われます。
なお、使う側も自分が使っていることに気付いていない(無意識の)場合もあります。

例①
A 「あなたの胸のあたりに影が見えます。何かご病気は?」
B 「心臓ですか? いえ、ありませんけど…」 ※はずれている
A 「胸のあたり…か……」 ※範囲を拡大する

B 「いや、ないですね」 ※はずれている
A 「食道上半身の…上の方……」 ※さらに範囲を拡大する
B 「肩ですか? そういえば最近、肩こりがひどくて…」 ※自分で正解を言ってしまう
A 「それですね。それが影の正体です」 ※当てたように見える

 

例②
A 「最近心が傷つくような出来事がありませんでしたか?」
B 「最近…? そう言えば先月、友達とケンカをして…」※自分で正解を言ってしまう

 

・解説

「最近」 という言い方をすれば、「ここ1年間」「先週」「昨日」など、
聞いた人が自分の記憶に合うように自由に解釈してくれます。

「傷つくような出来事」も同様です。

人間誰しも、日々の生活の中で悩みやストレス、他者とのすれ違いを一つは経験しています。

これも聞いた人が自分の記憶に合うように解釈してしまう言葉です。


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② 『ホット・リーディング』

ホット・リーディングコールド・リーディングと同じく、占いや透視に使われます。
ただし、ホット・リーディングの方がより手の込んだやり方です。
具体的には、相手のプロフィールや困っていることをあらかじめ調べておき、
それを答えて「初対面なのに当てた!」と思わせる方法などがあります。

例①
 メールでAさんから占いの依頼を受ける。

  PC

占い師はSNS聞き込みを通じてAさんのプロフィールをこっそり調べておく。
 スマホメール

 後日、初対面で出身地などをズバリと当て、Aさんに「すごい! 本当だ!」と思わせる。

これに先ほどのコールド・リーティング を組み合わせたりすることで、
何もかもお見通しのような雰囲気を作ることができます。

例②

メールでAさんから占いの依頼を受ける。

PC

占い師はAさんの留守中にAさんの家に忍び込む。

または、家に入れる人を味方につける。(知り合いや引っ越し業者など)
ランニング

Aさんのよく使う私物を見つかりにくい場所に隠す。(例:ハサミを本棚の後ろに)
カギ

後日、占い師がAさんに「あなたの探し物は本棚の後ろです」などと言う。
!!虫めがね

実際にそこで私物が見つかるため、Aさんは「すごい! 本当だ!」と信じ込んでしまう。

 

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③ 『バーナム効果』

バーナム効果占い性格診断などで非常によく使われる手法です。
誰にでも当てはまるような内容を「あなたの性格」として伝えることで、
どんな人にも「当たっている!」と思わせることができます。

文章の例 :
 「○○座のあなたは冷めているように見えて特定の出来事には情熱的
 「△△タイプのあなたは落ち込んでいるときでも元気に振る舞おうとしがち
 「◇◇型のあなたは心の中に意外な一面を隠し持っています

 

=どれも誰にでも当てはまるような内容なので「当たっている!」と感じてしまう。


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④ 『クレバー・ハンス効果』

クレバー・ハンスとは、ドイツに実在した「計算ができる馬」(実際は違った)の名前です。
この馬の調査から明らかになった現象をクレバー・ハンス効果と呼びます。

 

【計算ができる馬】
 120年ほど前のドイツで、ハンスという名の馬が有名になりました。
 ハンスは飼い主に「1+2は?」のような問題を出されると、正解の「3」 を足を3回鳴らすことで「答える」ことができました。
 調べてみても飼い主が指示をしている様子はなく、ハンスの能力は本当のように見えました。

 しかし、さらに調べてみると隠れた事実が明らかになります。
 ハンスは出題者や観客の無意識の反応を読み取ることで、「ここで鳴らすのを止めれば『正解』だな」と判断していたのです。
 そのため、出題者や観客の姿を遠ざけた実験を行ってみると、ハンスは「正解」を答えることができなくなりました。

 

 これはハンスの飼い主がトリックを使っていたわけではありません。

 ただ純粋にハンスが人間の無意識の表情や動作見事に読み取れる馬だったのです。
 実験では人間が「ハンス」の立場になって「問題に答える」テストも行われましたが、その人間もまたハンスと同じように、出題者の反応を見て「正解」を出すことができたそうです。

(※ エピソードの説明は Wikipediaの『賢馬ハンス』のページを参考にさせて頂きました)

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⑤ 『認知バイアス』
 

認知バイアスとは、人間の判断に間違いをもたらす心理状態のことを言います。
人は自分では平等に判断しているつもりでも、実は見方が片寄っていて、
無意識に間違った結論を出してしまうことがあります。

認知バイアスにはいくつかの種類がありますが、ここではその内の2つを紹介します。

 

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⑤ -1 『確証バイアス』

確証バイアスとは、調べるより前に結論を予想してしまい、
その予想に合う証拠ばかりを集めてしまう心理状態のことです。

例: ~彼氏の浮気疑惑~

 

A子さんはある日ふと、「彼氏が浮気していたらどうしよう…」という不安を頭に思い浮かべた。

♀ガーン

次の日…「車のシートに茶髪の長い毛が!! まさか別の女を乗せてる!?」

車♀アセアセ

さらに次の日…「彼氏の服から甘い匂いがする!! 浮気相手の香水では!?」
スーツ♀アセアセアセアセ

こうしてA子さんは確信した。「これは間違いない、浮気だ…」

しかし真相は――。

 → 毛は彼氏の実家の犬の毛だった。
 → 服の匂いもその犬のシャンプーだった。

人は自分の予想に合わせて証拠を探してしまう

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⑤ -2 『後知恵バイアス』

後知恵バイアスとは、物事が起きた後になって「やっぱりね!」と言い出すことで、
自分があらかじめ未来を予測していたように思い込む心理状態のことです。

例①
A「やっぱりね! 痴漢でつかまったのはあの男だったよ!」

B 「それネットのデマだってさ」

A 「…ああ、やっぱりね! ネットの情報なんて全然当てにならないから!」
B 「……」

例②
テレビの野球中継。九回裏1-0で応援しているチームの抑えが登場。
PCくちびる

「でも嫌な予感がする…逆転ホームランを打たれてしまうのでは…?」
野球ガーン

結果はホームランで逆転負け…

 「あーほら! やっぱり打たれた!! こういう予想はよく当たるんだ!!」

 

・解説
 → 実際には嫌な予感がしたのに打たれなかった試合もあった。
 → しかし、打たれずに勝てた試合は逆転負けよりも印象が薄いので忘れてしまう。
 → 結果として「自分の予感は正しかった!」という記憶のみが残る。

 

=人は自分の予想を実際よりも正しかったと思い込みがち

 

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記事は以上ですブーケ2

(内容に間違いがありましたらコメントで教えていただけると幸いです!)