皆さん、こんばんは。

最近、何かと忙しくなってしまい、なかなか新たな記事をUP出来ませんでした。

 

今日はロシアの内情についての記事を上げようと思います。

 

 

ロシアの力の必要性   アレクサンダー・ドゥギン  Oct 29, 2024

 

アレクサンダー・ドゥギンは、ロシアは、忠誠心、犠牲、そしてロシアの大義に完全にコミットした新世代の愛国的指導者を求める歴史的な要請によって、自由主義からロシア独自のエートスへのイデオロギー的転換に直面していると論じている。

救世主キリスト大聖堂で開催された第8回ツァルグラード大会は、注目に値するものだった。

イデオロギーがリベラルなものからロシア的なものへと移行している社会であることが明らかになりつつある。このプロセスは止めることができない。単なる当局の決定ではなく、時間の論理であり、歴史的な最後通牒なのだ。

特別軍事作戦(SMO)は、ロシアのイデオロギー的状況を根本的に変えた。中立的なテクノクラートの時代は終わり、イデオロギー的な愛国者の時代が始まった。知事、大臣、指導者といった新しいタイプの役人が出現している。国家の人々は今、死、痛み、恐怖、人々の魂と定期的に向き合っている。彼らはもはや、黙々と汚職に手を染めながら、指示や形式的な要件だけで動くことはできない。彼らは歴史の一部であり、歴史は主体性を、心による選択を要求する。

エリート・カーストとともにあるのか、それとも民衆とともにあるのか。戦争に積極的に参加する側なのか、それとも傍観する側なのか。テクノクラートであることは、後者を選ぶことを意味する。そうでなければ、自分の世界観を変えるか、確立されたロシアの見解を公然と採用し、ロシアの大義とともに立たなければならない。

 

今一度、誰もが自分の立場を明確にしなければならない。これはイデオロギーの分裂である。リベラリズムは惰性で存続しているが、疲弊している。しかし今は、行政のテクノクラシーでさえ不十分だ。戦争に対処し、第5列や第6列の内敵に対処し、破壊的な移民と破滅的な人口動態に対処し、伝統的価値観と非伝統的価値観に対処し、それぞれが選択を迫られている。明確かつ断固として。ささやき声ではなく、声に出して。

そして、それを支持し、最後まで貫かなければならない。今日、ロシア人であるということは、単に肩書きやアイデンティティ・ラベルを主張することではない。ロシア人であるということは、ロシア大義の隊列に加わることであり、自らを民族の一員であると理解し、国家のためにすべてを、命さえも犠牲にすることを厭わないことなのだ。

 

~次回へ続きます

皆さん、おはようございます。

 

いよいよ、審判の時を迎える事となりますね。

投票権がないので直接的な関係はないものの、やはり気になる米国大統領選挙。

選挙後もしばらく荒れる事となるでしょうが、44もトランプ再選を願ってます。

ま、星読みでも大きな変化が現れると出てますが、その通りになってくれるかどうか?

なお、記事は先週届いたモノなので、日付はそのまま掲載しています。

 

 

米大統領選挙後に始まる混乱

 

トランプの禁じ手と米国債の格下げ

一方、トランプ陣営もハリスに負けた場合を想定して、選挙結果を覆すための計画を準備している。それは、トランプの敗北を決定した激戦州のいくつかで、大統領選挙に投票した選挙人を共和党の支持者に入れ替え、再度投票させるというものだ。選挙人の指名の権限は、実は州議会にある。州議会に働きかけ、これを行うということだ。

これがどういうことなのか?

ハリス陣営の禁じ手にも驚くが、それに匹敵する禁じ手である。

さて、大統領選挙は接戦になる可能性が極めて高い。したがって、ここに解説したような混乱にもなる可能性がある。これが、経済的にも非常に大きいインパクトを与えるかもしれない。

すでに、「ムーディーズ」や「スタンダード・アンド・プアーズ」などの大手格付け機関は、大統領選挙が混乱した場合の米国債の格下げの可能性を示唆している。その衝撃はあまりに大きい。日本も影響を受けることは間違いない。

 

トランプの対応、選挙の結果をひっくりかえす

では、トランプ陣営が敗北した場合、どのような対策を考えているのだろうか?民主党以上にトランプ陣営も、簡単に敗北を認める気配はない。特に今回は、敗北したとしても接戦になるので、簡単に引き下がることはない。

トランプ陣営が検討しているのは、選挙に不正であったとし主張し、選挙結果をひっくりかえそうとした2020年の大統領選挙と基本的に同じ手法である。

まず、トランプが僅差で敗北した激戦州で、なおかつ州議会で共和党が過半数を占める州で、選挙に不正があったとするキャンペーンを実施する。支持者を総動員して抗議運動を組織する。

このとき、規定では5分の1の州議会議員が票の再集計に同意すると実際に再集計ができることになっている。共和党が議会の過半数を占める激戦州ではこの条件が満たされる可能性が高いので、実際に票の再集計は実施される。このとき不正選挙があったことを根拠に、共和党の票を積みましする。

各州は12月11日までに選挙人を確定する。そして12月17日に集まって投票し、結果を上院などに送付すると定めている。12月11日までに、再集計した結果を元に選挙人を共和党支持に入れ替える。そうして選ばれた新しい選挙人で12月17日に投票し、結果を連邦議会の上院に送付する。

その後、選挙人の投票結果は2025年の1月6日に開催される上下合同議会の投票で確定される。それを受け、1月20日にトランプが大統領に就任する。このような方法だ。

大混乱は避けられない

前回の記事にも書いたが、いま両陣営が敗北した場合に検討されている上記の手段を本当に実行するのであれば、2021年1月6日に起こった連邦議会議事堂乱入事件を越える大混乱になることは避けられない。トランプの激戦州における票の再集計と選挙人の入れ替えは民主党からのすさまじい反発を招くだろうが、それよりもやはり、民主党が実施する「憲法第4条第4項」の適用による権力委譲の拒絶であろう。

本当にこれが実施されるのかどうかはまだ分からない。もちろんトランプが勝利した場合、民主党は国内の分裂と混乱の回避を優先し、トランプの勝利を容認するかもしれない。

しかし、そうではない対応をする可能性も十分にあるのだ。もしそうなった場合、怒り狂ったトランプの岩盤支持層は、武器を取って抵抗するだろうし、それは民主党の絶対支持者でも同じだろう。

ここまで混乱するだろうか?大統領選挙は日本時間の11月6日だ。一週間を切っている。本当に注目しなければならないだろう。

皆さん、おはようございます。

 

日本では昨日、スポーツの話題が盛んな1日でしたね。

プロ野球から大学高校駅伝と、賑やかなニュースが目立ちました。

半面、国民民主党の動向について、与野党ともにご都合主義だの勝手な考え方だのと罵ってましたが、良い事は良いとして判断すべきだと思うだけに、そんな事を言ってたら旧態以前のままな利己主義だと感じてしまいます。

 

ただ、そうも言ってられないのが米国の大統領選挙の動向。

今日と次回はその点で新たな記事を紹介しようと思います。まずはハリスサイドの考え方や作戦について~

 

 

米大統領選挙後に始まる混乱

それでは早速今回のメインテーマを書く。米大統領選挙後にやってくる大きな混乱についてだ。

米大統領選挙まであとわずか2週間だ。7月にバイデンが立候補を断念し、副大統領のカマラ・ハリスが候補として民主党から立候補した。カマラ旋風が吹き、一時はトランプを3ポイント近くリードしていたハリスだったが、ハリスのテレビインタビューで中身のなさが露呈したこともあり、いまは失速している。全米の主要な9つの世論調査機関の平均値では、49.3%のハリスに対し、トランプは48.5%だ。わずか0.8ポイント差でハリスがリードしている状況だ。これは誤差範囲の差だ。トランプはハリスとの差を確実に縮小させており、あと数日で支持率が逆転する可能性が大きくなっている。

一方、選挙の結果を左右すると考えられているアリゾナ州、フロリダ州、ミシガン州、ペンシルベニア州、ウィスコンシン州、ニューハンプシャー州、ノースカロライナ州などの7つの接戦州では、わずかではあるがすべてトランプがリードしている。

この結果、全米の総得票数ではハリスがトランプを上回りながらも、選挙人の獲得数ではトランプが上回り、勝利するという、トランプがクリントンと争った2016年の大統領選挙と類似した結果になる可能性も出てきた。

いずれにせよ、トランプとハリスの一方が圧倒的な得票数で勝利しない限り、大統領選挙後の混乱は避けられない状況になっている。

絶対に敗北を認めない民主党

このような状況なので、両陣営は接戦で負けた場合の対応策をいま考えている。特に、ハリス陣営の危機感は大きい。

長年保守派の共和党員であり、「ネオコン」の代表であるディック・チェイニー元副大統領が、カマラ・ハリスに投票すると発表したことは話題となったが、彼は次のように述べ、トランプの勝利は民主主義を破壊するとして警告した。

「わが国の248年の歴史において、ドナルド・トランプほど共和国にとって大きな脅威となる人物は存在しなかった。有権者から拒絶された後も、嘘と暴力を使って権力の座に居座ろうと、彼は前回の選挙を盗もうとした。彼に再び権力を委ねることは決してできない」
また、「ブルッキングス研究所」の上級研究員であり「ワシントン・ポスト紙」の編集委員でもある「ネオコン」のロバート・ケーガンは、トランプの勝利は大統領独裁制になるとして警告している。

「わずか数年の間に、私たちは民主主義国家として比較的安定していた状態から、独裁国家になる可能性が数歩、数ヶ月の距離まで迫っている。トランプ独裁は共産主義の専制政治ではなく、ほとんどの人が抑圧を感じ、その影響を受けて生活することになる。この専制政治がひとりの人間の気まぐれに完全に左右されるという事実は、アメリカ人の権利が保証されたものではなく、条件付きのものになることを意味する」

このように民主党のハリス陣営は、トランプの勝利は248年間続いたアメリカの民主主義は終焉し、大統領独裁制と呼べるべきものに道を拓くとして、大変な危機感を抱いている。そのため、どんな手を使ってでもトランプの大統領就任を阻止する構えだ。

このように聞くと驚くかもしれないが、実際にそのような準備が進められている兆しがある。ハリス陣営は、阻止するためのいくつかの計画を考えているようだ。

憲法修正第14条の適用による大統領就任阻止

まずひとつは、憲法修正第14条の適用である。合衆国憲法には憲法修正第14条というものがある。これは、19世紀の南北戦争後に導入され、憲法順守を誓った米国の公務員が反乱に関与したり、反乱を起こした人物に対し支援や便宜を与えた場合に、将来の公職への就任を認めないと規定した条項だ。

トランプが次回の大統領選挙で勝利した場合、これを適用してその大統領就任が阻止するというプランだ。

すでにトランプは、2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件に関与したとして、証拠をすべて審理した裁判所が存在するコロラド州、イリノイ州、メイン州において、反逆罪で有罪判決を受けた。

だが、選挙結果を覆すために憲法修正第14条を適用するためには、最高裁の法的な手続きが必要になる。トランプが「反乱」に関与したと法的に認定される必要があるのだ。「反乱」と見なすには、トランプの行動が2021年1月6日の議会襲撃事件に直接関与し、それが法的に反乱と最高裁が認める必要がある。最高裁がどのようにこの問題を解釈し、トランプの行動を「反乱」と認めるかどうかが、彼の大統領就任を阻止するかどうかを決定づける重要な要因となる。現在の最高裁は保守派が多数を占めているため、トランプに有利な判決が下される可能性も考えられが結果は分からない。

しかし、選挙に勝利した後、大統領に就任するまでの期間は限られている。トランプが正式に就任する前に憲法修正第14条が適用されるためには、迅速な法的手続きが必要となる。法的な争いが長引けば、トランプがすでに大統領に就任している状況も考えられる。したがって、憲法修正第14条の適用でトランプの大統領就任を阻止するのは、かなりの困難が伴う。確実に使えるという手段ではない。

選挙結果の意義申し立て

そこで考えられているのが、2つ目の選択肢だ。これは、トランプが僅差で勝利した州で、選挙結果に異議を申し立てるための積極的な法的措置をハリス陣営が講じることである。その州の選挙手続きや票の集計に異議を申し立てることで、選挙結果を逆転できる可能性がある。

しかし、この方法も最終的に決定するのは争いの争点になった州の最高裁である。この法廷闘争は長期化する可能性もあり、トランプが大統領に就任する2025年の1月まで間に合わない可能性もある。だからこれも、選挙結果を確実に逆転できる保証はない。

大衆動員戦略と弾劾裁判

そして第3の選択肢は、2016年のトランプ当選後に起こったような、選挙後の期間に民主党が大規模動員キャンペーンを行うことだ。長期的な抗議活動を継続するための準備を行い、トランプが大統領に就任しても、全米に混乱を拡大させ、トランプ政権を統治能力のない死に体の状態に追い込むことである。そして、大統領の弾劾裁判にまで持ち込み、トランプの辞任を迫るという方法だ。

しかし、大衆動員戦略を背景にした方法にはリスクが伴う。実際、トランプはすでに、大統領就任初日に「暴動取締法」を発令する可能性を示唆している。同法は、大統領が軍を国内警察として利用することを認めるものだ。このようにしてトランプは、国内で高まった抗議運動を早期に取り締まり、国内の混乱を封じ込めることができる。すると、弾劾裁判まで行くプロセスは中断されてしまうだろ。

さらに、民主主義と人権に対する継続的な攻撃に直面すると、人々は徐々に政治から離れて私生活に目を向けるようになり、抗議運動の関心は薄れてしまうことも考えられる。そうなると、抗議運動そのものが組織できなくなる。

最終手段の禁じ手、バイデンによる権力委譲の拒否

そして、次にあるのが最終手段としての禁じ手だ。これは、最もリスクが高く、最も物議を醸すものである。最初の3つは確立された憲法上の規範の範囲内で追求できるが、4つ目は一見したところ、その規範に違反しているように見える。

トランプ大統領就任の可能性に直面し、民主党はトランプへの権力移譲を拒否するようバイデン政権に促す可能性がある。このシナリオでは、バイデン大統領は辞任し、ハリス副大統領が大統領に就任する。意外にもこの措置を取る場合、憲法上の問題はないようなのだ。

そうなれば、ハリスは就任宣誓と「内外のあらゆる敵」から憲法を守るという公約を盾に、憲法を廃止する可能性がある人物への政権移譲を拒否しなければならないと宣言する。すでに一部の専門家は、状況がそれを必要とする場合、優れた政治家が考慮しなければならない選択肢となるとしている。

しかし、この最後の選択肢を行使することは、合衆国憲法に規定された選挙人制度と、トランプに投票した何百万人ものアメリカ国民を侮辱することになる。

だが、この選択肢を支持する人々は、もしトランプのような憲法を無視し、独裁制に道を拓く人物が大統領選挙に当選した場合、現職の大統領には現行憲法を尊重し、各州の共和制を保証する義務があると主張している。

合衆国憲法の研究センターである「ナショナル・コンスティテューション・センター」は、憲法は「君主制、独裁制、貴族制、または恒久的な軍事支配による統治をいかなる州にも課すことを防ぐ」ことを義務づけていると説明している。

これは、州における「君主制」、「独裁制」、「貴族制」、または「恒久的な軍事支配」を、多数決によって正当化することはできないということだ。そして、それが州に対して真実であるならば、連邦政府に対しても真実である。連邦政府自体が共和制の政府でなければ、この保障条項は意味を失う。

選挙による国民の投票を基本とする民主主義の制度には、民主的なプロセスによって、逆に民主主義を否定する独裁者を誕生させてしまう危険性を絶えずはらんでいる。

例えば、1933年の総選挙の結果発足したナチスドイツのヒトラー政権などはその典型だ。だから、合衆国憲法には、民主主義を否定し独裁制を導入する人物が大統領選挙に勝利してしまった場合、これを阻止して共和制を守る義務が明記されているというのである。

トランプが勝利してしまった場合、憲法のこの規定を適用し、バイデン政権はトランプへの権力の委譲を拒否するというのだ。

この決定は、やはり憲法によって発足が義務ずけられている「憲法制定会議」が審査することになっている。「憲法制定会議」が権力の委譲の拒否が合法と判断された場合、ハリスが正式に大統領に就任することになる。

しかしこのとき、米軍は非常に難しい立場に置かれることになる。選挙で選ばれた大統領に従うべきなのか、それとも選挙の結果を独裁制への移行だとして、権力の委譲を拒否した政権にしたがうべきなのかという選択である。 2021年1月6日の連邦議会議事堂への乱入事件のとき、米統合参謀本部は、軍は憲法を支持し擁護するという軍の公約を再確認する声明を発表した。しかし現政権が、憲法の規定にしたがい当選した大統領に権力の委譲を拒否した場合は、軍はどちらにしたがうのだろうか?もしかしたら、軍の部隊によってしたがう側が分かれてくる可能性だってある。トランプにつく部隊と、ハリスにつく部隊である。

もし本当にこのような状況になると、国民は両方の陣営に分かれて激しく衝突することにもなりかねない。非常に危険である。これこそ、分断を越えて内乱にまで至る道ではないのだろうか?

10月4日、日本で公開になった「シビル・ウォー アメリカ最後の日」を早速筆者も映画館に足を運び、見た。すでに内容は多くの記事や予告編などで知っていたものの、その衝撃は予想を越えるものだった。

大統領選挙の対立をきっかけにして、分断したアメリカが内戦状態に突入するのではないかというシナリオは、これまで多く書かれてきた。それをテーマにした本も出版され、話題になっている。しかしそれらは、やはり活字を通して伝えられたイメージにしか過ぎなかったことが、「シビル・ウォー アメリカ最後の日」を見て分かった。

この映画はあまりにリアルである。臨場感のあふれる音響効果で、観客を戦場に引き込む迫力がある。まさに内戦を実体験できるような映画である。

いま、ウクライナで戦われている戦場がアメリカにやってきたかのような感じだった。いまのアメリカの危うさを体感するには、絶好の映画である。

大統領選挙後にやってくる民主、共和両党の争いとそれがもたらす混乱は、この映画のような状況への第一歩になるのだろうか?

 

ハリスが敗北した場合の禁じ手

早速、今回のメインテーマを書く。今回はメインテーマが2つある。一つは、前回の記事で紹介したハリスが負けたときの禁じ手がどういうものなのか、もう少し詳しく紹介する。そして次に、トランプが敗北したときの禁じ手を詳しく紹介する。

あと、大統領選挙まで1週間を切っている。ハリス陣営もトランプ陣営も全力で最後の選挙キャンペーンを行っている。米有カシンクタンクの「ブルッキングス研究所」は、「大統領選の最重要州で大接戦」という記事を発表し、7つある激戦州のひとつで、19人という選挙人数をかかえるペンシルバニア州が、大統領選挙の勝敗を決することになるだろうと予測した。

また、合法的予測市場である賭けサイト「カルシ(Kalshi)」では、ペンシルベニア州の勝率が、トランプ58%、ハリス42%とトランプが圧倒的にリードしている。さらに、9つの世論調査機関の平均値をリアルタイムで掲載している「リアルクリア・ポリティックス(Realclearpolitics)」によると、トランプはハリスとのリードを広めており、全国の支持率ではトランプが0.8ポイントほどハリスをリードしている。そしてトランプは、7つの激戦州すべてで、支持率がわずかながらハリスを上回っている。

トランプとクリントンが争った2016年の大統領選挙では、全国の得票数ではクリントンが300万票ほどトランプを上回ったものの、選挙人の獲得数ではトランプが上回り勝利した。情勢に変化がなければ、2024年の選挙では、トランプが全国の総得票数でも、選挙人の獲得数でもハリスを上回り、勝利する可能性がある。「リアルクリア・ポリティックス」のデータに基づき、50州すべての選挙人獲得数をシミュレーションしているユーチューブのチャンネルは、ハリスが242人、トランプが過半数の270人を上回る292人の選挙人を獲得し圧勝するだろうと予測している。

民主主義否定の独裁者、トランプのキャンペーン

このような状況なので、民主党の危機感は非常に大きい。なんとしてでもトランプの優勢を逆転するためのキャンペーンに力を入れている。それは、トランプを民主主義を否定する独裁者として、トランプを印象づけるネガティブキャンペーンだ。

前トランプ政権のホワイトハウス首席補佐官を務めた退役海兵隊大将のジョン・ケリーは、29日に掲載された一連のインタビューで、前大統領は「一般的なファシストの定義に当てはまる」と述べ、ヒトラー率いるナチスドイツの将軍たちの忠誠心についてトランプが評価していると語った。

これは、トランプ前大統領のホワイトハウススタッフが大統領職をどう捉えているか、また政権に返り咲いた場合にどのような権力行使を行うかについて、前大統領の側近が警告を発した最新の一例である。

ファシスト的発言に加えケリーは、「ニューヨーク・タイムズ紙」に対し、前大統領は「間違いなく独裁者的な手法を好む」と語った。またケリーは、「アトランティック誌」に対し、トランプが第二次世界大戦中にヒトラーのナチス将軍たちがドイツの独裁者に対して示したのと同じ敬意を軍人たちから示してほしいと語ったことを認め、そのときの様子を語った。

民主党はすぐにこの発言に飛びついた。ハリスの副大統領候補であるミネソタ州知事のティム・ワルツは、ウィスコンシン州での集会で、ヒトラーの将軍たちに関する報道された発言について、「皆さん、ガードレールはなくなりました。トランプは狂気へと向かっています。米国の元大統領であり、米国大統領候補がアドルフ・ヒトラーのような将軍を望んでいると言っているのです」と述べ、トランプは独裁者だとして、その危険性を強調した。

また、民主党左派の重鎮、バーニー・サンダース上院議員もことあるごとにインタビューやスピーチで、トランプは合衆国憲法を無視するファシストの独裁者だとしてトランプを強く非難している。これはハリスも同様だ。

あらゆる機会でトランプをファシストの独裁者だと非難し、トランプが当選すると、合衆国憲法を無視する大統領独裁制になると、その危険性を強調している。

「プロジェクト2025」の「統一行政理論」

このように民主党は、トランプを危険なファシストの独裁者だとするキャンペーンを一斉に始めた状況だ。トランプの危険性を訴えることによって、形勢を逆転す戦略だ。

そして、こうしたトランプ批判の根拠になっているが、トランプ政権が政策として採用する可能性の高い政策計画書の「プロジェクト2025」だ。これは920ページもあるトランプ政権を意識した政策計画で、保守の著名なシンクタンク、「ヘリテージ財団」が作成したものである。

ちなみにこの政策計画書は、「統一行政理論」という合衆国憲法の解釈に基づいている。「統一行政理論」とは、大統領に連邦政府の省庁の改編や官僚の罷免、さらに省庁や政府部局の予算の没収権などを認め、大統領の行政府に対する絶対的な権限を認めるとする理論だ。批判者はこれを大統領独裁制と呼ぶ。

「プロジェクト2025」の基本的な骨子はこの理論で一環している。行政府に対するすべての権限を大統領に集中させ、その巨大な権力を使って、「ディープ・ステート」と呼ばれる「ネオコン」を中心とした軍産複合体系集団の連邦政府における牙城をたたき潰すとしている。

これは「ディープ・ステート」のみならず、トランプ政権の意向にしたがわないすべての部局が処分対象のなる。さらに、5万人の職員を解雇し、トランプに忠誠を誓う政治任命の公務員に置き換えることを約束している。

民主党のハリス陣営は、このような「統一行政理論」に基づく「プロジェクト2025」は、まさにトランプの大統領独裁制を可能にする計画書であるとして、トランプがファシストの独裁者であることの証左だとみなしている。

「合衆国憲法第4条第4項」

トランプの優勢がはっきりするにつれて、民主党はトランプの大統領就任の阻止にやっきになっている。たとえ、トランプが選挙で勝利しても、トランプ政権の成立を実力で阻止する構えだ。そのときに適用を検討しているのが、「合衆国憲法第4条第4項」の規定である。前回の記事では、トランプが勝利してもバイデン政権は権力の委譲を拒否する可能性があると書いたが、この委譲拒否の根拠になっているのが、「合衆国憲法第4条第4項」である。この条項には次のようにある。

「合衆国は、この連邦のすべての州に共和制の政府を保証し、各州を侵略から保護するものとする。また、立法府の申請に基づき、または(立法府が召集できない場合は)行政府の申請に基づき、国内暴力からも保護するものとする」

ちなみに共和制の政府とは、世襲の君主制に対する対立概念である。アメリカの共和制は、主権を持つ国民が大統領と議会を選出する民主共和制を基本としている。これは連邦を構成する各州も同じで、州民の選挙で選ばれた民主共和制の政体を維持しなければならない。憲法のこの条項は、大統領府に州の民主共和制の維持を義務づけるものである。当然この規定は、連邦政府に対しても適用されると解釈されている。

前回の記事にも書いたが、これは選挙を通して民主共和制を否定する独裁者の出現を阻止するための条項だ。したがって、もしトランプが当選すると、民主党はこの条項を適用し、大統領独裁制を主張し憲法を否定するトランプから合衆国の民主共和制を守るために、バイデン政権は権力の委譲を拒否する権限があるというのだ。バイデンはこれを宣言した直後に辞任し、ハリス副大統領が大統領に就任する。ハリス政権が成立すると、ハリスは「憲法制定評議会」を発足し、この手続きの合法性を審議し、確認する。

これはあまりに極端で、いくらなんでも実行は不可能ではないかと思うかもしれないが、民主党のハリス陣営は「憲法第4条第4項」を適用して政権を維持することを本当に検討しているようなのだ。いま行っているトランプを独裁者とするキャンペーンは、まさに「憲法第4条第4項」の適用を意識したものだ。

 

 

果たして、大統領選挙の後で何が始まり何が起ころうとしているのか?

次回は、対するトランプサイドの情報を紹介します。