【図書館概論 14.図書館の類縁関係】






図書館以外の機関との連携

・図書館と性格や役割が類似しており、
近い関係にある機関・施設を呼び、
図書館活動を行うにあたってさまざまな連携・協力が図られている。

・一般に考えられるのは、
公民館図書室・児童館・学習情報提供機関(生涯学習センター)・試験所・研究機関の資料室など情報提供の機能を備えた機関であるが、

・地域における情報ネットワークの構築と活用を考えれば、
市役所・商工会議所・生活センターなどにもその範囲は広げられよう。

・最近では情報資源の収集・保存・共有の観点から博物館、
文書館と図書館との提携(MLA連携)が強調されている。

・公共図書館が各種と連携して機能の拡充を図ることは、
図書館法においても奨励されている。

・図書館奉仕を定めた第3条第4号に、
「他の図書館、
国立国会図書館、
地方公共団体の議会に附置する図書室及び学校に附属する図書館又は図書室と緊密に連携し、
協力し、
図書館史資料の相互貸借を行うこと」
とあるのは、
図書館協力の範疇であるが、
第9号に掲げる
「学校・博物館・公民館・研究所棟と緊密に連絡し、
協力すること」
は、
図書館間を超える関係を指している。

・図書館が軸になって、
地域に人々の情報へのアクセスを保証する仕組みを各種機関と連携して構築することの意義は大きい。


図書館の類縁機関

・情報及び資料の収集、
保存等の図書館的機能が部分的に備わり、
情報提供・公開が行われる機関。

・『図書館用語事典』は施設の条件をつぎの8項目としている。

①    情報を提供する機能を持っていること
②    利用者の調査・研究・学習に資する機能を持っていること
③    文献・資料サービスをする機能があること
④    一般(または一定の限定内での)公開があること
⑤    資料を取り扱うことの出来る専門職員がいること
⑥    資料の貸出・複写サービスを部分的・限定的であっても行っていること
⑦    資料を持っていること
⑧    図書館法以外の法律・規則で作られている施設であること


文書館(Archives)

・文書館は図書館と非常に近い情報機関である。

・所蔵する思慮や機能においても類似しており、
文書館資料だる文書と図書館資料である図書との明確な区分が難しいものがある。

博物館(Museum) 

・博物館と図書館は密接な関係にあり、
古代世界の図書館として有名なアレキサンドリア図書館は紀元前3世紀に博物館の一部から始まっている。

・博物館の帝を『図書館用語事典』では、
①    オリジナルな資料を持ち
②    独自の施設・設備を備え
③    一定の職員がおり
④    継続的な一般公開
を目的とした公共的機関としている。

・博物館が収集する博物館資料には、
考古学的以世紀からの発掘品、
古代文化の遺品・民芸品・民族資料・工芸品・自然物の標本・美術品など「もの」そのものであり、
「もの」自体が情報を発するのではなく、
「もの」に解釈を加えた情報として発信している。

・資料を収集・保存し、
提供する機能の面では図書館と重なる部分があるが、
異なるのは図書館資料が文字によって記録された資料を扱っていることである。

・図書館は、
利用を前提として運営されている施設であるが、
博物館は、
保存や展示を主な目的としており、
収蔵する「もの」は必ず利用されること前提とした施設ではないことである。


公民館

・公民館は社会教育法に基づいて設置された施設であり、
日本独自の社会教育文化施設である。

・社会教育法第20条に公民館の目的を
「市町村その他一定区域内の住民のために、
実際生活に即する教育・学術及び文化に関する各種の事業を行い、
もって住民の教養の向上、
健康の増進、
情緒の純化を図り、
生活文化の振興、
社会福祉の増進に寄与すること」
であり、
市町村が設置する(21条)と定義している。

・第22条には、
公民館事業7項目の4に、
「図書・記録・模型、
資料等を備え、
その利用を図ること」
と図書館と同じ事業が規定されることに基づき、
公民館に「公民館図書室」が設けられている。

・第6条では他の施設等との連結協力として図書館などが挙げられている。

・図書館活動と一部重なる部分もあるが、
公民館活動は社会教育活動に重きが置かれている。

・図書館未設置の町村では、
公民館に代わる公共施設と公民館図書館が役割を担っている部分がある。

・図書館のサービスポイントとして、
県立図書館・市立図書館の配本車や移動図書館が低規程にサービスを行っていることも多い。

・公共図書館よりも設置数が多く、
より地域住民の身近にある公共施設として機能している。


MLA連携

・近年、
博物館・美術館(Museum)・図書館(Libraries)・文書館(Archves)が所蔵する資料をデジタル化し、
インターネットで「デジタルアーカイブ」として多様な情報を提供している。

・文化施設の連携を頭文字からMLA連携と称し、
各機関の連携を深めていく取り組みが行われている。

・資料のデジタル化は、
資料の利用を主な役割としてなかった博物館・美術館、
文書館にとっては、
所蔵する資料の保存と利用の両方を可能としてあ。

・今後、
MLA連携について、
デジタルアーカイブの構築や運営、
すでにデジタル化に取り組んでいる大学や文化・学術機関との協力など、
さまざまな課題と可能性についての具体的な取り組みが進んでいる。