【生涯学習論 18.青少年教育施設の役割と課題】




青少年教育と青少年教育施設

・文部科学省が3年ごとに実施している「社会教育調査」によると、
「青少年のために団体宿伯訓練又は各種の研修を行い、
あわせてその施設を青少年の利用に供する目的で、
地方公共団体又は独立行政法人が瀬地位した社会教育施設」
として定義している。

・施設の種類として、
少年自然の家・青年の家(宿泊型及び非宿泊型)・児童文化センター・野外教育施設・その他に分類している。

・公民館・図書館・博物館のほか、
運動場やプールなどの体育施設も青少年が利用するということであれば、
含めて考えることができる。

・一般的には少年自然の家などが当たる。

・「青年の家」を「青少年交流の家」に、
「少年自然の家」を「青少年自然の家」に名称変更している。


青少年教育施設の系譜

・公民館・図書館・博物館などほかの社会教育施設と比較して特徴を挙げれば、
第一は自然環境が豊かで広大な敷地を有しているということである。

・青少年交流の家は、
歴史的経緯から青年団体の活動拠点として、
勤労青少年の各種研修の場として発足したことから、
交流や研修に重きを置き、
各種のスペースなどを配備している。

・青少年自然の家は、
自然環境豊かな場所でさまざまな自然体験活動を可能とする広大な敷地を有する一方、
交流の家に比較すると研修室等が少ないことが差となっている。

・第二は、
非宿泊型は別としてどの施設も宿泊室を有していることである。

・集団宿泊生活を通して家庭や学校では得がたい体験活動や研修をこうなうことができる施設である。

・宿泊活動を行うことにより、
社会生活のルールを守り、
社会の一員として協調の精神を育み、
コミュニケーション能力や他人を思いやる心を養うこととしている。

・各施設では規則正しい生活を行い、
基本的な生活習慣を身につけることが意識されている。

・利用者の便宜を図るために、
「利用ガイド」や「利用の手引き」などの名称で施設利用の申し込み方法や活動に当たっての留意事項などを記載した冊子が用意され、
施設の活動目標なども記載されている。


青少年教育施設の現状と課題

・公立施設が多数を占めているが、
その施設数の推移は減少している。

・行われる事業は、
施設が企画して実施する教育事業「企画事業」と、
施設が青少年等の研修に対して支援を行う事業「研修支援事業」がある。
・前者は、
プログラムを通して、
青少年の意欲や社会性、
規範性など豊かな人間性をはぐくむための事業や異文化交流やリーダー養成を目的とした青少年の国際交流事業など施設自ら事業を企画し
参加者を募集して行う事業である。

・前者には困難を有する子どもたちを支援するプログラムを開発したり、
自然体験活動の指導者養成のための研修事業などがある。

・後者は、
利用目的の達成に向けた効果的な活動プログラムを提供したり、
必要な教育的指導や助言を行うなどにより施設を利用する団体の活動を支援する事業である。

・後者では、
利用者に対してアンケート調査を実施して利用者サービスの向上に努めたり、
学校利用では、
担当の教員と事前に十分な調整を行い、
学校の教育目標に沿ったプログラム相談などが行われている。

・教育的役割を果たすため、
各施設には図書館司書や博物館学芸員のように指導系職員を配置するのが一般的である。

・他の社会教育施設と比較すると、
必ずしも高い数値とはなっていない。

・指導系教官は、
学校教員から3年程度の出向職員として勤務する場合が多く
教員としての経験を生かし団体太陽や事業の企画・実施に当たっている。

・基本的には3年間という短い期間によって職員が交替してしまうことになり、
専門職としてのノウハウが蓄積されにくいといった難点がある。

・学校教育とは違った指導方法や各施設の特色を生かしたプログラム指導の在り方などについての研修機会を充実させることが必要である。

・職員以外に現役の大学生や高校生のほか多くの若者が活動しているが、
ボランティアとして施設に登録して活動する場合と、大学生が社会教育実習生の立場で授業の一環として活動を行う場合がある。

・職員よりも年齢が近いことから参加する子どもたちと打ち解けやすく、
宿泊を伴う事業が多い拠点として、
生活面の指導も円滑になされている。

・大学生にとっては普段の学生生活ではできない貴重な経験となっている。

・学生が多いゆえに卒業してしまうと活動機会がなくなるため、
活動のノウハウを蓄積することが困難であることから、
研修や事業実施前の打ち合わせを十分に行う必要がある。

・豊かな自然環境の下で活動を展開していることに際して、
安全への配慮は何よりも優先して対応する必要がある。

・地方自治法の改正により導入された指定管理者制度ついて、
4割弱の施設が導入している。

・他の社会教育施設と比較すると、
最も多く導入している。

・導入された指定管理やの内訳をみると、
導入前からも委託可能であった地方公共団体や一般社団法人・財団法人があって、
件によっては設置されている所在市町村を指定管理やとしている場合もあり、
民間が有するノウハウを生かすという点では、
今後の課題である。

・人件費削減によって職員の早期退職や質の低下、
安全管理上も問題といったことも指摘されており、
制度の評価については今後さらに推移を見守る必要がある。

・指定管理者団体の中には、
職員に社会教育主事の資格を取得させるために社会教育主事講習に参加させている例もあり、
社会教育主事有資格者を配置ことに関して、
選定の要件にするなどの措置も考慮すべきであろう。