【生涯学習論 8.社会教育行政が対応する学習課題】





学社連携とボランティアの問題点

・学校教育と社会教育の連携を図ろうとする事業を一般に<学社連携事業>と言い、
学校施設の地域開放を初めとして様々な事業が試みられている。

・どちらかといえば<学校教育への社会教育機能の取り込み>が図られる例が多く、
地域の物的・人的資源を学校教育に積極的に利用していこうとする活動が中心で、
学校教育と社会教育とを統合的に捉えなおし、
学校を生涯学習の拠点として位置づけようとする点はあまり見られない。

・生涯教育の理念には<学校の社会化>という視点が含まれているはずなのだが、
現在の日本ではむしろ<社会の学校化>が目指されているかのような危険性さえ感じられる。

・学校には学校図書館を置くことが義務付けられており、
学校図書館にはその専門職員として<司書教諭>が配置されなければならないことになっている。

・地域の公共図書館と学校図書館とがそれぞれの専門職員である司書と司書教諭とを通じて協力関係を結び、
地域ネットワークを形成することができたならば、
学校教育にとっても社会教育にとっても大きな武器となり、
生涯学習社会の実現へ向かっての有効な手立てとなるはずである。

・可能となるためには学校教育の改革という視点を含んだ新しい理念への合意が必要である。

・現在の学校にはまだ合意を作り上げていく土壌がない。

・中途半端な<学社連携>は、
かえって生涯学習の理念を逆行させる恐れがあるのである。

・ボランティアの活用についても同様である。

・行政が<市民サービス>として行うべき活動を市民に肩代わりさせてはならない。

・専門職員として法に定められた<資格>の必要な業務をボランティアに委ねてはならないし、
ボランティア経験の有無を安易に資格要件に結び付けてもいけない。

・ボランティアとはまさに自発的・自主的な活動であって、
行政サービスの中に(あらかじめ)組み込まれていてはならないのである。

・ボランティアに委ねるべき活動には行政はできるだけ<管理統制>の枠をはめずに対応すべきであるし、
ボランティアに委ねてはならない業務に対しては、
行政が責任をもって遂行しなければならない。

・ボランティアには<責任>をとることができないからである。

・生涯学習事業へのボランティアの<活用>には、
さらに十分な議論が必要であろう。