今回紹介する記事は
2020年10月25日付けの
     
「北海道新聞」の記事です。
      
【中古典読むと歴史的「線」が見える 社会変革へ おじさまはひっこんで 新刊出版の文芸評論家・斎藤美奈子さんと現代日本を考える】

 



というタイトルで、
文芸評論家・斎藤美奈子さんが、
ベストセラーの再評価と、
現代日本の諸問題に対して、
書物を通じて考える試みは、
「本を読みこむ」という点で背中合わせであり、
現代帝な問題を照射すること「について、
紹介しております。

いつもどおり、
「4つ」の視点でこの記事を見ていきます。
 
(4つの視点についてはこちらをご覧ください)

 ☆新聞記事の紹介について

(発信者が重視するテーマに関してはこちらをご覧ください)

始めに読んでほしいブログについて


(1)内容の要約

一昔前の名作を再吟味する「中古典のすすめ」(紀伊国屋書店)は、
1960年代から90年代までに出た
「中途半端に古いベストセラー」48冊をまな板にのせた。

現在でも読む価値があるか、
有効性があるか、
それぞれ
「名作度」
「使える度」
を最高・星三つで判定。

「中古典を参照にすると、
立体的にものごとを見る癖がつく」

「新刊ベストセラーばかり読んでいると、
『点』だけ追いかけている感じになる。

中古典を読むと歴史的な『線』が見えてくる。

「すでに古典の領域」にあり、
「いまも十分に読む価値あり」
とした最高評価の中古典は、
住井すゑ「橋のない川」や、
黒柳徹子「窓ぎわのトットちゃん」など10点。

一方で、
「名作の名に値せず」、
「無理して読む必要なし」
とされた最低評価の作品は、
遠藤周作「私が・棄てた・女」や、
井上ひさし「青葉繁れる」、
渡辺淳一「ひとひらの雪」など9点を数えた。

全体的にセクハラな小説や、
(女は押せば落ちると)男たちを勘違いさせた罪は大きい。

これらの作品は『歴史的所産』。

昔は誰も問題としなかったのかと、
驚くだけでも歴史を学ぶことになる。

ムカつきながら読むのも、
読書体験としては面白いという。

ベストセラーでも、
現在の視点からの世見直しが迫られているのだ。

人権意識も変わった。

1970年代から、
特に女性が中心になって、
ギャンギャン言ってきた成果と評価する。

『セクハラ』という言葉が新語・流行語大賞となった1989年、
当時は『女の過剰反応』という受け止め方が主流だった。

最近では、
杉田水脈の『女性はウソをつく』発言を問題視する認識が、
共有されるようになったのは大きな進歩。

『声を上げれば世の中は変わる例である。

「声を上げる」ことに一歩踏み込んだのが、
この5年の社会情勢を書評に寄せて批評した「忖度しません」(筑摩書房)である。

以前は「あまり政治にコミットしたくない」と考えていた。

でも、
無視できなくなってきた。

決定的にまずい、
と思ったのは第1次安倍晋三政権の教育基本法改正。

当時の方が現在に比べて、
落ち着いてものを考える雰囲気が、
今よりはあった。

SNSの普及が、
言いっぱなしで終わるコミュニケーション不全を招いている点もある。

野党を支持する左派リベラルの人たちは、
おおむねインテリ。

『私はいつも正しい』

『(自民党に投票する)大衆は愚か』などと思っている。

『子どもたちを二度と戦場に送るな』のスローガン一辺倒じゃ、
若い人はついて来ない。

右派は少数派であるという自覚があるため、
大衆に寄り添う表現方法や、
アピールの仕方を本気で研究しており、
その結果が今出てきている。

どうすれば良いのか。

おじさま、
おじいさまには後ろに引っ込んでいただいて、
女性と若者に積極的に道を譲ることだ。

野党でも市民運動でも、
権力を握っているのは年長の男性。

それが当たり前だと思っている限り、
変わろうとしているとも思えないし、
絶対に変われない。

会社でも、
政治団体でも、
市民グループでもいい。

自分が所属するチームのジェンダーバランス、
年代バランスを見直して、
愕然としてほしい。

そして、
全組織の幹部において最低でも30%、
できれば半分が女性に変われば、
ものごとの進め方は絶対に変わる。

最後に読書法について、
良い本があったら教えて、
とよく言われるが、
自分で探さないとダメ。

効率的な読書をしたいというのも無理。

くだらないものを含め、
読書にムダはない。

ヒントとして、
古い本と新刊を並行して読むと、
精神のバランスが取れる。

たくさん読む必要はない。

自分の好みを優先しつつ、
『新旧併読』していくのがお勧めである。


(2)なぜこの記事を切り抜いたか    

中古典を読むことと、
社会変革のために女性と若者に道を開けることについて、
紹介した記事のため。


(3)自分はどう思うか?
 
まず、
毎月の読書会で選ばれる本は、
いつも新刊ベストセラーが多数決で決まりがちである。

主催者に話を聴くと、
どうしても古典は選ばれにくいとのこと。

この記事において、
新旧併読が進められているので、
個人的に中古典を読むよう心掛けようと考える。

次に、
市民運動に対してでも
ボランティア団体であっても、
実権を握っているのは男性の長老達であることが、
確かに多い。

その人物達がオープンマインドをもち、
若輩者や女性の意見も聞き、
人間ができているのであればよいのだが、
余程幸運でもない限り、
巡り合うことは少ないであろう。

そして、
ギャンギャン言ってきたため、
世の中に『セクハラ』という言葉が定着し、
人権意識が変わったという現象。

もし言わなければ、
女は子どもを産む機械という、
男尊女卑、
女性蔑視、
ミソジニーが大手を振って、
現在以上に幅を利かせていただろう。

これは「お肉券」「お魚券」構想が、
給付金10万円支給に変わったのと根っこは同じなのである。

最後に、
愕然とするジェンダーバランスについて、
「女性を入れればうるさい」という理由で採用しない組織には、
未来がないと感じる。

今回紹介された二冊も読みたい。


(4)今後、どうするか?

・読書にムダはないことを噛み締める。

・ギャンギャン言って社会を変えた成果を継承する。

・新旧併読を試みる。


今回も自分の勉強がてら、
まとめてみました。

美に存在する醜、
醜の中にある美に関心があるため、
歴史的所産と言われるものの中でも、
名作の名に値せず、
無理して読む必要なし、
と斎藤美奈子氏と最低評価委の作品に関心があります。


皆さんも、
読書にムダはないことを念頭に、
精神のバランスを取るためにも、
新旧併読をしてみて下さい。