今回紹介する記事は
2020年7月28日付けの
     
「毎日新聞」の記事です。
      
【歪んだ正義と非人間化 「正義」を御旗にモノとみなして虐殺し、攻撃欲求を満たす】

 



というタイトルで、
専門記者大治朋子氏が、
私たちは誰もが攻撃性を内在させ、
虐殺者は大抵、
認知の歪みというメガネをかけ(させられ)ていることついて、
紹介しております。

いつもどおり、
「4つ」の視点でこの記事を見ていきます。
 
(4つの視点についてはこちらをご覧ください)

  ☆新聞記事の紹介について

(発信者が重視するテーマに関してはこちらをご覧ください)

始めに読んでほしいブログについて


(1)内容の要約

人間の攻撃性を目の当たりにすることが少ない。

「マスク警察」、
「自主警察」、
SNSで過激化する中傷。

2016年医相模原市で起きた障碍者施設殺傷事件では、
死刑囚が殺人の正当性を訴えた。

一見無関係のように見えるが、
いずれの事件当時者にも、
「自分は絶対に正しい」
という思い込みからくる、
歪んだ「正義」が見て取れる。

人間の凶暴性はここから立ち上がり牙をむく。

私たちは誰もが攻撃性を内在させている。

しかし、
道徳上の抵抗感もあり、
同じ人間としての共感もあるため、
心理的なハードルが高い。

米心理学会元会長の心理学者、
アルバート・バンデューラらは1975年、
人間が攻撃を過激化させる過程においては、
「非人間化」とよられる認知の歪みが生じ、
攻撃を正当化させ、
抵抗感を拭うと指摘した。

相手との間に、
違いがあると共感が働きにくい。

誰かを攻撃したいという欲求を一時的に、
あるいは常時抱えている人は認知の歪みが極化しやすい。

相手は自分(人間)より劣った愚頓なモノなので、
激しい言葉や暴力でしつけ、
懲罰を与えなければ、
意図(正義)は伝わらないと考える。

虐殺者は大抵、
この歪んだ認知というメガネをかけているか、
権力者にかけさせられている。

虐待する親もかけていることが多い。

この非人間化のメカニズムは、
ベトナム戦争下で起きた米兵によるソンミ村住民虐殺事件により、
心理学者たちが気づかされた。

戦争に疲弊した米兵は、
「正義」を御旗に村民をモノとみなして虐殺し、
攻撃欲求を満たした。

非人間化は心理的に距離がある人と人の間に巣くう。

距離を縮めるのは、
同じ人間としての他者への共感なのだ。

「歪んだ正義『普通の人』がなぜ過激化するのか」
を毎日新聞から出版する。

8月3日から全国発売。


(2)なぜこの記事を切り抜いたか    

歪んだ正義と非人間化は、
誰にでも可能性があることについて、
紹介した記事のため。


(3)自分はどう思うか?
 
「マスク警察」、
「自粛警察」、
SNS中傷、
殺害の正当性を訴える死刑囚。

これらに該当する輩は地獄に落ちればいいのに!

と思いがちなのだが、
反面いつでも自分がそちら側に行くと思えてならない。

普段は道徳上の抵抗感や人間としての共感によって、
一線の前に高いハードルを設けているのであろう。

されど、
理解できない人間や共感できない輩と同じ時間や空気を吸わねばならない環境に、
仕事とはいえ長時間いることを強いられ、
睡眠不足や多忙による疲労困憊が重なると、
歪んだ認知が極化しやすいという指摘は、
身をもって味わっている。

ベトナム戦争下における米兵による村民虐殺事件は、
イラク戦争における米兵の残虐行為と重なる。

およそ、
人間という生き物は「弱い」のである。

そんな自分をごまかすために、
自分より弱い他者をモノ扱いし、
「正義」の御旗を掲げて自らの蛮行を正当化している。

このメカニズムは、
自戒のためにもより深く知っておく必要があると感じる。


(4)今後、どうするか?

誰しも攻撃性を内在化させていることについて、
知っておく。

認知の歪みや非人間化に関する記事をスクラップする。

睡眠や健康管理を第一とする。


…今回も自分の勉強がてら、
まとめてみました。

公正世界仮説に関しては、
以前紹介しました。

「正義」を御旗に、
対象をモノ扱いして、
攻撃を正当化するメカニズムは、
誰しも持っています。


皆さんも、
歪んだ認知というメガネをかけ(させられ)ていないか、
常時確認しましょう。

どうしても相容れない人間と同じ時間と場所を共有せねばならないときは、
距離を置くというのも一手です。

他者を傷つけないようにしながらも、
自分を大事にして下さい。