今回紹介する記事は
2019年5月2日付けの
     
「北海道新聞」の記事です。
      
【企業の農業参入 流通経費抑制 効率よくブランド化 6次産業化 地域との連携カギ 法改正、農地借りやすく 黒字化に壁】

 



というタイトルで、
道内の外食産業や菓子メーカーが農業に参入する事例が増えており、
6次産業化から、
消費者に近い「川下」から生産者である「川上」へと進出する逆の流れができてきたことについて、
紹介しております。

いつもどおり、
「4つ」の視点でこの記事を見ていきます。
 
(4つの視点についてはこちらをご覧ください)

 ☆新聞記事の紹介について



(1)内容の要約

上川管内下川町でニワトリ約1万3千羽を飼養する、
あべ養鶏場の取締役営業部長である村上範英さんは、
焼き鳥ダイニング「いただきコッコちゃん」など、
道内外で飲食店を展開するイーストンで仕入れを担当するバイヤーだった。

イーストンは2016年、
後継者がいなかったあべ養鶏場を事業承継した。

サービス業(3次産業)が生産(1次産業)も手掛ける取り組みだ。

村上さんはイーストンの社員として現場に送り込まれ、
販路があるのは安心だったが、
肝心の生産ノウハウがわからないため、
1年目は千代の養鶏家にイロハを教わり、
2年目は生産ラインの自動化に専念した。

バイヤー経験が生きたのは3年目からである。

取引先が許容できる範囲の上限価格で、
材料の種類を絞り、
味が落ちないようにする「ベストミックス」を探す実験を繰り返した。

トウモロコシとコメを主体に育てるあべ養鶏場の卵は臭みが少なく、
梅見の余韻が強いため、
ホテルオークラの旗艦ホテル「ザ・オークラ・トウキョウ」にも採用された。

2019年6月、
2次産業の位置づけとなるプリンの加工販売事業を始めた。

販路はJR札幌駅構内に設けた直売所とネット通販などで、
養鶏場が作ったプリンは道内に少なく、
ブランド卵をz千面に押し出せば差別化できるとの読みが当たった。

章啓直後はほとんどの卵をイーストンに卸していたが、
現在は3割程度。

販路を広げやすくするため今年4月に同社から独立し、
今後は加工品の製造設備を増強し、
「6次産業化」をさらに推し進める考えだ。

菓子製造販売きのとやは、
2018年に日高管内新冠町の養鶏場、
2019年に同管内日高町の牧場を取得し、
札幌市清田区のレストラン併設店で加工販売している。

焼き肉店「徳寿」などを運営する梨湖フーズは2019年、
胆振管内白老町に肉牛牧場を開設した。

2009年に設立した総菜の製造販売を手掛けるシービーエス(CPS)が力を入れるのは、
野菜の自然栽培だ。

2015年、
農家から3.5ヘクタールの畑を借りて、
札幌市北区に農園「自然ファームハレトケ」を開設した。

規格外品を使った総菜を製造販売するほか、
農家に代わって飲食店などの販路開拓する中で、
脳偽薬や肥料を使わず、
安全安心な自然栽培野菜のニーズが高かったため、
自社で野菜を栽培し同じルートで販売できると考えた。

自然栽培は、
食の安全や環境保全に関心が高い層に人気がある反面、
狩猟が安定しづらく、
商業ベースに乗せるのが難しい。

農場責任者の毛利正弘さんも、
「安定生産できるようになったのは、
本当にここ最近」とこぼす。

それでも軌道に乗せられたのは、
先に販路を確保していて生産に集中できたからだ。

農業と異業種の持続的なビジネスモデルを作るにはどうすればいいか。

小樽商科大の加藤敬太教授は、
6次産業界には地域との連携がカギと話す。

1次の農家は丹精して作物を作り、
2次の加工業は効率を追求し
3次は売り上げの最大化を目指す。

上記三つがばらばらに取り組むのではなく、
最終製品をイメージして、
どんな作物を作るべきかを考えることが求められると言う。

そのためにはイメージを描く強力なリーダーが絶対に必要であり、
全国的にもほぼ成功例がないからこそ、
模倣しにくいという差別化の優位に立てることを目指してほしいと語る。

コンセプトを媒介にして、
地域の人や企業を巻き込む。

営農はプロの農家と組み、
地域活性化にもつなげていくことが理想的である。

2000年代に入り、
農地法が段階的に改正され、
企業が地域の制限なく、
農地を借りられるようになった。

ただ、
農業は技術の習得に時間がかかるため、
参入後の黒字化も簡単ではない。

農業参入後5年以内に黒字化した企業は37.9%にとどまり、
現在も赤字と回答した企業は44.7%だった。


(2)なぜこの記事を切り抜いたか    

企業の農業参入、
6次産業化について、
紹介された記事のため。


(3)自分はどう思うか?
 
北海道は全国において、
農業が武器だと誰しも聞いているであろう。

されど、
「素材一流経済三流」の言葉通り、
生産した農作物を利益に結び付けることが難しい。

6次産業化については、
二十一世紀に入って間もなく、
大学の講義で聞き、
近年実現していることに関する記事も、
見かけるようになった。

今回の記事は、
消費者に近い「川下」から生産者である「川上」へと進出する、
逆の流れについて紹介している。

あべ養鶏場、
きのとや、
梨湖フーズは、
道民であれば耳にしたことのある名前ではなかろうか。

自ら農作物を作り、
自ら加工し、
自ら販売するということは理想ではあるが、
営農のプロである農家ではなく、
企業が単体で行うことは実に難しいようだ。

規格外野菜(B級野菜)を週末石狩市民図書館で購入している身としては、
シーピーエス(CPS)の存在を初めて知り、
今後も注目したいと感じた。


(4)今後、どうするか?

シーピーエス(CPS)の取り組みについて調べる。

規格外野菜(B級野菜)購入を継続する。

6次産業化や農業参入に関する記事をスクラップする。


…今回も自分の勉強がてら、
まとめてみました。

本社から現場に送り込まれた人が、
独立して別会社をつくる流れは、
異なる分野においても耳にします。

やりがいを見つけ、
英断に踏み切ったその姿勢を陰ながら応援したいです。


皆さんも、
企業の農業参入や6次産業化に関する記事があったら、
読んでみて下さい。

北海道の新しい農業に関して、
道標の一つが紹介されているかもしれません。