空洞化をまじめに考えてみた。 | 大谷秀政オフィシャルブログ「好きなことだけやって生きていきたい」Powered by Ameba

空洞化をまじめに考えてみた。


数年前に名古屋の大学で、アメリカからMBAの偉い先生が来て、地域の会社経営者相手に講義を開いた。




地元の会社経営者側の自己紹介で、ある社長が「うちは名古屋で製造業を営んでおり、2万人もの従業員がいます。」

と、すこし自慢げに自己紹介をした瞬間。


そのMBAの偉いアメリカ先生が、ちょっと食い気味で、「oh,my god! You are Crazy!」と言った。

続けて「早くそんな会社やめたほうが良い。売れるうちにうっぱらえ!」とも言った。




こんな世界一人件費の高い国で、これからもっと労使関係の裁判が増えるし、リスクだらけだということだ。

「こんな国でよく製造業なんかして大勢雇ってるな、大馬鹿野郎が!ノーフューチャー!ファックだ!」

といったところだ。



もちろん彼らには、地域貢献とか愛国心は関係ない。

企業に国境はもはやない。日産の社長は外国人ゴーンだ。

今やマーチも外国から輸入している。厚木はゴーストタウン化した。




どこかの大企業の社長も言っていたが、空洞化イコール愛国心がないという話は、そそっかしい人の話だ。

製造業が外国で生産をしても国際競争に勝ち、利益を出し国益に帰することが必要なのだ。


世界的な競争なのだ。

甘えたこと言って、共倒れになって潰れれば元も子もない。

すでに各企業はそういった厳しい状況に立たされている。愛国心がないわけではないのだ。




講義の日から、さらに日本人の人件費は1.5倍になった。円が1ドル120円から80円に上がったからだ。

労働者としては世界一高いレベルだろう。


アメリカがズルを続ける限り、ドル安円高は続く。360円が今や80円だ。日本はいいカモだ。

米国債やドル建金融商品(紙っぺら)を世界にばら撒いておいてドルを下げ差益を出し続ける詐欺行為で米国民はメシを食い続ける。

そして日本人の人件費は為替により相対的に上がる。




前に電力の話をこのブログで少ししたが、あきらめなはれ。もう製造業の空洞化は避けられない。




当面は、電気代が上がるのも、人件費(円)が上がるのも、税金が上がるのも。

すべて避けられないのではないか。

工場は日本から脱出せざるを得ない。それは段階的にすべての業界に影響する。


それから貧富の差はグローバルなレベルで広がる。




君たちも本当は薄々でもわかっているはずだし、気づいているはずだ。



もう覚悟を決めるしかないのである。

少子化でよいのである。生まれても皆に仕事がないからだ。



単純な労働では、今まで通りに給料はもらえなくなる。

アジアの水準で考えたら、日本もサービス業の月給は8万程度が妥当になってもおかしくない。


先日、日本人の従業員の賃金を、上海の投資会社の人間に聞かれたが「トゥーエクスペンシブだ。」と苦笑いされた。

ちなみにペニンシュラ上海(最高の5スターホテル)の従業員の月給は3000元程度だった。4万5千円だ。

大都会、上海でさえ、お洒落カフェの店員は一日13時間働いて日給80元(1200円)だ。時給90円。

工場労働者なんかはもっと悪い。その分住み込みだが。



日本でも政府などが最低賃金を決めてくるが、申し訳ないが、所詮その分失業者が増えるだけの政策である。




日本はもっと、義務教育時から「資本主義」とはなにかを、ちゃんと子供達に教えるべきだ。


番組「はたらくおじさん」は「外国人を、はたらかせるおじさん」に番組内容を変えなければ、日本人の所得水準は保てない。

次元の高い仕事をしなければ、これからはまともに食える仕事がなくなるのである。





今日も、5歳になる娘に、風呂でこのようなことをよく言って聞かせた。

昼間は近くの公園でダンゴ虫を手いっぱいに握りしめていた娘に。


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紫陽花がきれいだ。