電子回収層に酸化スズを用いたペロブスカイト太陽電池について
ペロブスカイト太陽電池とは?
ペロブスカイト太陽電池は、次世代の太陽電池として注目を集めているものです。その特徴は、高い光電変換効率、低コストでの製造可能性、そして柔軟な基板への成膜が可能である点などが挙げられます。
ペロブスカイト太陽電池の構造は、大きく分けて以下の層で構成されています。
- 透明電極: 光を透過させ、電子を外部回路に導く役割を果たします。
- 電子輸送層: ペロブスカイト層で生成された電子を効率的に集め、透明電極へと輸送します。
- ペロブスカイト層: 光を吸収し、電子とホール(正孔)を生成する光吸収層です。
- 正孔輸送層: ペロブスカイト層で生成されたホールを効率的に集め、対極へと輸送します。
- 対極: ホールを外部回路から取り出し、ペロブスカイト層へと輸送します。
電子回収層に酸化スズを用いる理由
電子回収層の役割は、ペロブスカイト層で生成された電子を効率的に集め、透明電極へと輸送することです。この電子回収層に、酸化スズが用いられる理由としては、以下の点が挙げられます。
- 高い電子移動度: 酸化スズは高い電子移動度を有しており、生成された電子を素早く輸送することができます。
- 透明性: 酸化スズは透明な物質であるため、光を透過させ、ペロブスカイト層への光の入射を妨げません。
- 安定性: 酸化スズは化学的に安定であり、大気中の水分や酸素の影響を受けにくいという特徴があります。
- 低コスト: 酸化スズは比較的安価な材料であり、大面積の太陽電池の製造にも適しています。
酸化スズを用いたペロブスカイト太陽電池のメリットと課題
酸化スズを用いたペロブスカイト太陽電池は、高い光電変換効率が期待できる一方で、以下のような課題も指摘されています。
- 界面でのエネルギーレベル: 酸化スズとペロブスカイト層との界面でのエネルギーレベルのミスマッチが、電荷の再結合を引き起こし、効率を低下させる可能性があります。
- 膜の均一性: 酸化スズ膜の均一性が、デバイス性能に大きく影響します。膜内にピンホールや欠陥があると、短絡やリークの原因となる可能性があります。
- 耐久性: 長期的な安定性については、さらなる研究が必要です。特に、高温高湿環境下での耐久性向上は重要な課題です。
まとめ
酸化スズは、ペロブスカイト太陽電池の電子回収層として、その高い電子移動度や透明性、安定性、低コストといった特徴から注目されています。しかし、界面でのエネルギーレベルの最適化や、膜の均一性、耐久性の向上など、解決すべき課題も残されています。
今後の展望
ペロブスカイト太陽電池は、その高いポテンシャルから、世界中で活発な研究開発が行われています。酸化スズだけでなく、他の材料や構造についても様々な研究が行われており、より高効率で安定なペロブスカイト太陽電池の実現が期待されています。
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