ペロブスカイト太陽電池の世界市場、2040年に2兆4000億円 |  NPO法人日本住宅性能検査協会 建築・不動産ADR総合研究所(AAI)

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ペロブスカイト太陽電池の世界市場、2040年に2兆4000億円

2024/05/22

 

概要

  • 富士経済が新型・次世代太陽電池市場の調査結果を発表
  • ペロブスカイト太陽電池は、2020年代後半から本格的な量産が始まり、2040年の世界市場は2023年比64.9倍の2兆4000億円と予測
  • フィルム基板型とガラス基板型の2種類があり、それぞれ市場規模や用途が異なる

フィルム基板型

  • 軽量で応用製品の重量制限が少なく、将来的に印刷技術を応用した量産化による生産コスト低減も期待される
  • 軽量・フレキシブルという利点を生かし、建材一体型太陽電池(BIPV)向けを中心にさまざまな用途で活用されると予想される
  • 2040年の世界市場は5100億円と予測

ガラス基板型

  • 既存の結晶シリコン型の生産ラインを活用して製造できること、応用製品の用途が広いこと、耐久性や歩留まりといった生産技術観点で難易度が低いことから、将来的にも市場の多くを占めると予想される
  • 2040年の世界市場は1兆8900億円と予測

日本企業の状況

  • 中国企業を中心に量産化の動きが進んでいる
  • 国内では、試験的な少量生産やサンプル出荷が進んでおり、積水化学工業、東芝、パナソニックなどが先行するほか、大学発ベンチャー企業やケミカル系メーカーの参入も増加している
  • 商用化は2025年頃で、中長期的に拡大すると予想される

2040年度の国内市場

  • 233億円と予測
  • 当面はフィルム基板型が50%以上を占め、市場拡大に伴いガラス基板型も増加する見込み
  • 2040年度にはフィルム基板型が30%程度に落ち着くが、海外と比較すると高い構成比になると予想される

その他

  • 色素増感太陽電池の世界市場は、2040年に2023年比3.2倍の350億円と予測
  • 有機薄膜太陽電池は、2040年に同3.8倍の1000億円と予測

 

 

 富士経済(東京都中央区)は5月21日、新型・次世代太陽電池市場の調査結果を発表した。同市場の本命と目されるペロブスカイト太陽電池は、2020年代後半から本格的な量産が始まり、2040年の世界市場は2023年比64.9倍の2兆4000億円と予測する。

 

 ペロブスカイト太陽電池は、製造工程が少なく低コスト化が期待でき、軽量化・薄膜化が可能。特にフィルム基板型は「曲がる太陽電池」として注目される。結晶シリコンをはじめとする既存太陽電池からの置き換えや、高効率なタンデム型(結晶シリコンとペロブスカイトの積層)の普及により市場が拡大すると予想される。

 

 フィルム基板型は、軽量で応用製品の重量制限が少なく、将来的に印刷技術を応用した量産化による生産コスト低減も期待される。軽量・フレキシブルという利点を生かし、建材一体型太陽電池(BIPV)向けを中心にさまざまな用途で活用されると予想する。一方、耐久性の低さや大型化に課題があり、解決に向けた研究開発が進めれている。2030年以降に本格的に市場が立ち上がり、2040年の世界市場は5100億円と予測される。

 

 ガラス基板型は、既存の結晶シリコン型の生産ラインを活用して製造できること、応用製品の用途が広いこと、耐久性や歩留まりといった生産技術観点で難易度が低いことから、将来的にも市場の多くを占めると予想される。2024年時点では建物据え付け型太陽電池向けを中心に商用化が進んでおり、中国企業を中心に量産設備の稼働も増えている。2040年の世界市場は1兆8900億円と予測される。

 

 中国などの海外企業では、2025年から2030年頃にかけてGW(ギガワット)級の生産体制を構築する計画が増えており、日本企業より先行して量産化の動きが進んでいる。国内では、試験的な少量生産やサンプル出荷が進んでおり、積水化学工業、東芝、パナソニックなどが先行するほか、大学発ベンチャー企業やケミカル系メーカーの参入も増加している。商用化は2025年頃で、中長期的に拡大すると予想される。

 

 2040年度の国内市場は233億円と予測する。当面はフィルム基板型が50%以上を占め、市場拡大に伴いガラス基板型も増加する見込み。2040年度にはフィルム基板型が30%程度に落ち着くが、海外と比較すると高い構成比になると予想される。なお、経済産業省がペロブスカイト太陽電池を念頭に置いた新たな固定価格買取制度(FIT)区分の議論を本格化することを表明しており、政策の後押しも期待される。

 

 このほか、色素増感太陽電池の世界市場は、2040年に2023年比3.2倍の350億円と予測する。無線センサー用途での商用化が先行していたが、近年は消費者向け電子機器や充電器などの用途開拓が進んでいる。製品あたりの搭載容量が小さいことが課題であり、将来的な市場は他の新型太陽電池と比べて小さく留まるとしている。

 

 有機薄膜太陽電池は、2040年に同3.8倍の1000億円と予測する。IoT向けや電子機器向けに加え、屋外における20年間の長期利用を想定した建材一体型や建物据え付け型向けでも商用化が進んでいる。軽量・薄膜・フレキシブルで鉛不使用という特性を生かした用途開拓で、色素増加感型やペロブスカイト太陽電池と棲み分け、一定の市場規模を確保する見通し。一方、ペロブスカイト開発に軸足を移す企業も増えており、海外では有機薄膜型生産設備の売却事例もみられるという。

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