不動産取引とマイナンバー <マイナンバー管理アドバイザー>
税務署に提出する「不動産取引に関する支払調書」制作の際にもマイナンバーは必要になります。なお、その支払調書の種類としては、下記になります。
●「不動産の使用料等の支払調書」(主に不動産賃貸に関して)
●「不動産等の譲受けの対価の支払調書」(主に不動産売買に関して)
●「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」
誰が、誰に、どのような条件でマイナンバーを提供するのか |
<条件1>
不動産を「売る人または貸す人」が「買う人または貸す人」に提供をするマイナンバーの提供は、「支払調書の制作」を目的とします。したがって、それは「売主または貸主」が「買主または借主」になされます。
<条件2>
売主または貸主が個人であり、買主または借主が「法人または不動産業者」などの場合さらに、マイナンバーのやりとりが発生する条件としては、「売主または貸主が個人であり、かつ買主または借主が法人または不動産業者などの場合」となります※。
※売主・貸主が法人の場合は法人番号になります。なお、法人番号は、国税庁サイト上で公開されています。
<条件3>
加えて、取引金額が100万円(売買)または15万円(賃貸)の場合取引で支払われる金額もマイナンバーの必要性に関わってきます。以下の条件に当てはまる場合、売主や貸主はマイナンバーを買主または借主に提供しなければなりません。
≪不動産売買のケースは≫
売買・譲渡・交換等で同一の売主に年間支払い価格の合計が100万円を超える場合※
→「不動産等の譲受けの対価の支払調書」に支払う相手のマイナンバーを記載
※不動産等の譲受けには、売買のほか、交換、競売、公売、収用、現物出資等による取得も含まれます。
≪不動産賃貸のケースは≫
家賃や地代、権利金などで同一の貸主に年間15万円を超える場合
→「不動産の使用料等の支払調書」に支払う相手のマイナンバーを記載
なぜ不動産会社はマイナンバーの提出を求めるのか?
不動産売買において、なぜ不動産会社はマイナンバーの提出を求めるのでしょうか?
その理由は、不動産会社が税務署に提出する支払調書を作成するにあたって、売主のマイナンバーが必要になるからです。
つまり、不動産会社は、不動産売買に関する手続きを代行するために、マイナンバーの提出を求めているというわけです。
そのため、提出を拒否すること自体は構いませんが、そうすると不動産会社は、なぜマイナンバーの記入がないのかについて、税務署に説明しなければいけなくなります。
また、それはもちろん不動産売買の成立が遅れることに繋がります。
このようなことを考えると、売主はたとえ個人情報を知られたくないとしても、不動産売買の際には言われた通りマイナンバーを提出するのが無難だと言えます。
拒否したところで、何も良いことはありません。
どうやってマイナンバーを提出すれば良いのか?
不動産会社に対してマイナンバーを提出する方法は2つあります。
1つは、顔写真が付いたマイナンバーカードのコピーを提出するという方法です。
こちらは、マイナンバーカード作成の手続きが済んでいて、手元にカードがある方のみが実践できる方法です。
そして、もう1つは通知カード、顔写真付きの本人確認書類のコピーをあわせて提出するという方法です。
この場合、個人番号や氏名のみが記載された通知カードと、顔写真付きの本人確認書類をセットにすることで、初めて提出が認められます。
ちなみに、顔写真が付いたマイナンバーカードの交付には一切手数料がかかりませんので、まだ持っていないという方は早めに発行手続きを済ませておきましょう。
提出の際に注意すべきことは?
不動産売買をするにあたって、マイナンバーを提出する際の注意点には、主に以下のようなことが挙げられます。
・委託業者から提出を求められる場合がある
・個人から法人または個人事業主以外に売却する際は提出しない
マイナンバーは、必ずしも不動産売買を仲介してくれる不動産会社から提出を求められるとは限りません。
場合によっては、不動産会社が委託した業者から「提出してください」と連絡が来ることもあります。
この場合、初めて不動産売買をする方は、「提出して大丈夫なのか?」と思うかもしれませんが、安心してください。
不動産会社が番号の収集のみを第三者に委託するというケースはとても一般的ですし、当然この方法でマイナンバーを集めることに違法性はありません。
ただし、委託業者から連絡が来たときは、念のため本当に業務を委託したのか、不動産会社に確認しておきましょう。
また、何度も言うように、売主がマイナンバーを提出しなければいけないのは、買主が法人または個人事業主である場合のみです。
そのため、買主が個人だったり、売主が法人だったりするにも関わらず、マイナンバーの提出を求められる場合は、拒否することをおすすめします。
そうしなければ、詐欺被害に遭う可能性も出てきてしまいます。
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