処分事例 滞納管理費及び修繕積立金の説明不備 |  NPO法人日本住宅性能検査協会 建築・不動産ADR総合研究所(AAI)

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処分事例
滞納管理費及び修繕積立金の説明不備
     

《要旨》
 滞納している管理費及び修繕積立金(39万円余)の説明等が不十分であったとして、売主業者が2週間の業務停止処分とされた。

 

(1) 事実関係
 買主Xは、売主業者Yから、中古のマンションを1,390万円で買い受け、手付金100万円を支払った。重要事項説明書の「管理に関する事項及び計画修繕積立金に関する事項」には、「滞納金については売主の負担とする」と記載されていたがその金額については記載されておらず、説明もなかった。


 Xが入居をしようとしたところ、管理会社から、まだ滞納金が支払われていないことを知らされ、Yに対して2度の内容証明郵便等により、滞納金39万円余の支払を督促したが本人不在で返送された。Xは行政庁に相談を申し立てた。


 なお、本物件は、Yの代表者の夫が競売で取得したものを転売したものであり、また、重要事項説明において、法令に基づく制限の概要及びローンが成立しなかった場合の措置についての説明が行われていなかった。

(2) 事情聴取
 行政庁で、Yに事情を聴いたところ、Yは、「滞納があるのは認識していたが、正確な額は調査していなかったので、滞納金については売主の負担とする旨重要事項説明書に記載した。内容証明郵便はたまたま全員が事務所を空けていたため、不在で返送されたのだと思う。普通郵便による支払督促は届いている。滞納分は年末までに支払う。ローン特約に関しては重要事項説明の時点では全額現金で支払うか借入れを行うか不明であったため記入できなかった。」などと述べ、滞納金相当額39万円余は、Yから管理組合の口座に振り込まれた。

 

(3) 処 分 
 行政庁は、Yは

、(ア)法令に基づく制限の概要、管理費及び修繕積立金の滞納額、金銭のあっせんの内容及び貸借が成立しなかった場合の措置について、契約の相手方に対し重要事項説明書に記載して説明を行わなかった、

(イ)管理費及び修繕積立金の滞納金については、売主の負担とするとの約束をしたにもかかわらず、8か月以上も支払を滞ったとして、Yを2週間の業務停止処分とした。