民法改正(2020.4)  注文者が契約不適合を知ったときから1年以内に通知を(2) |  NPO法人日本住宅性能検査協会 建築・不動産ADR総合研究所(AAI)

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 2020年4月に施行される民法(債権法)改正によって、売買における売主の瑕疵担保責任の規定が大幅に見直されます。(2)

 

<注文住宅の例>

注文者が契約不適合を知ったときから1年以内に通知することで請負人の責任を追及できる

 

Q

ハウスメーカーに木造戸建て注文住宅を建ててもらったが、引渡しから6年後に、外壁にヒビが入っていることが分かった。メーカーに無償で修理を求めることができるか?

 

A

発注者がヒビの存在を知ってから1年以内にメーカーに通知していれば、メーカーは無償修理に応じる必要がある。

 

旧法は建物などの工作物について、請負人が瑕疵担保責任(目的物の引き渡し時に見つからなかった隠れた欠陥について売り主側が負う責任(存続期間)を、木造は引き渡しから5年、コンクリート製などは10年と定めていた(ただし、新築住宅の構造上の主要な部分や、雨水の侵入を防止する部分についての瑕疵担保責任は「住宅品質確保促進法」で引き渡してから10年とされている。)

 

新法ではこの条文は削除され、売買と同様に「契約不適合責任」の概念が適用される。つまり。注文者が契約不適合を知ったときから1年以内に通知することで請負人の責任を追及できるほか、通常の債権消滅時効の規定(注文者が契約不適合を知ったときから5年、引渡し時から10年)が適用される。

 

このケースでは、注文者がヒビが入っていることを把握してから1年以内にメーカーに通知した場合、メーカーは、①追完(修理など)請求、②損害賠償請求、③解除請求、④報酬減額請求――を受ける可能性が生じる。メーカーとしては無償修理に応じることになるだろう。

(エコノミスト令和2年2月25日号引用)