#賃貸借契約問題 Q&A Vol.24-1(第346号)
<家賃の滞納>(1)
(質問)
契約書には「家賃を1ヶ月でも滞納すれば即刻退去させる」と書い
「契約違反なので、違約金を支払って退去してもらう」という通告
契約書に明記されているのであれば、泣く泣く退去するしかないの
(回答)
日本には、「契約自由の原則」(私的自治の原則)というものがあ
つまり、誰と契約しようがしまいが自由であり、契約内容も原則と
その前提には、独立・対等・平等な市民間においての契約について
従って、原則としては、どのような契約も自由であり、契約する際
署名捺印しているということは、契約事項を承認しているというこ
ところが、居住用の建物の賃貸借契約においては、家主が一方的に定めた契約事項を、借主が承諾するかどうかだけの権利しかないため、もともと、対等・平等ではないのです。
そのような違いを放置して、当事者の自由に任せておくことは、
家主が好き放題の契約を定めることを容認することになり、
良好な社会秩序にも悪影響を及ぼすことになります。
そこで、いくつかの制限を設けて、好き勝手な契約ができないよう
まず、第一は、借地借家法上の「強行規定」に違反していないこと
契約内容が、借地借家法上の「強行規定」に反している規定は
無効であるとされていますので、それに違反していないかどうかが
家賃の滞納については触れられていませんので、この点からは、契
二つ目に、契約内容が公序良俗に反していないかどうかです。
「公序良俗」の法律用語としての意味は、「現代社会の一般的秩序を維持するために要請される倫理的規範」
殺人依頼の契約、愛人契約などの誰が考えても公序良俗に反してい
そこで、「1ヶ月の滞納による契約解除」が、社会の秩序を壊すほどの不合理な契約内容かどうかが問題となりま
逆に言えば、誰が考えても、「公序良俗違反である」とも言えない
三つ目は、法律用語で言うところの「例文解釈」による契約内容の無効とはならないかという点です。
これは、少しややこしいのですが、不動産の賃貸借契約などで、
文言どおりに解釈することで、結果があまりにも不当なことになっ
しかし、これまでのところ、短期間の家賃の滞納による契約解除を
「例文解釈」によって無効であると判断されたケースはないようで
四つ目は、2001年4月に施行された消費者契約法による
「消費者の利益を一方的に害する規定は無効である」という規定に
違反していないかどうかという点です。
この点については、長期的な契約関係を前提とした建物の賃貸借契
ただし、まだ、消費者契約法の規定を取り上げた判例がないため、
必ず、そのような解釈になるかどうかははっきりしていません。
そこで、最終的には、これまでの判例で蓄積されてきた考え方によ
判例での考え方は、「信頼関係破壊の理論」と呼ばれているもので
つまり、居住を目的とした長期間にわたる賃貸借契約においては、
単に契約違反にあたる事実があるだけでは契約を解除して退去させ
「家主と借主との間の信頼関係がなくなってしまった」というよう
従って、「家賃を1ヶ月でも滞納すれば即刻退去させる」という契