#賃貸借契約問題 Q&A Vol.21(第342号)
<契約名義人の変更>(1)
(質問)
家賃補助の関係で、会社名義で賃貸マンションに入居していたが、
家賃補助制度の廃止により、個人名義に変更しなければならなくな
これに対し、不動産会社は、契約者変更になるため、
敷金・礼金、契約時手数料(1ヶ月分)を要求されました。
不動産業者の言うとおりに支払う義務はあるか?
(回答)
もともと、賃貸借契約に、「名義変更」というものは存在しません
賃貸借契約は、家主と借主との間で結ばれるものであり、
「名義変更」と呼ばれているものは、実際には、当初の借主と家主
契約を解除し、新たに別の借主と家主が契約を結ぶことを指してい
別の借主との間で契約を結ぶかどうかは、家主の意思次第ですが、
入居者が変わらず、家主が契約変更を同意しているのであれば、
敷金精算も不要でしょう。
最初の契約時点で、礼金・敷金を誰が負担したかが一つのポイント
企業名義で契約していたとしても、実際に、礼金・敷金を負担した
もともと、「礼金」は、家賃の前払いや入居の権利を保障する権利
何ら実質的な負担が増えるわけではないので、一度支払った礼金を
再度徴収するというのは、二重払いということになります。
一方、最初の契約時点で、企業が、礼金・敷金を負担していた場合
礼金については、家主との交渉次第ということになります。
いずれにしても、契約相手は、家主さんですので、家主と直接交渉
書類書き換えを行ってもらうようにしてください。
家主は、「すべて管理会社に任せているので…」という場合にも、
家賃1か月分も請求される理不尽さを告げて、直接手続きできるように交渉したほうがよいでしょう。
それでも、どうしても、「管理会社を通せ」という場合にも、
書類作成費用として、判例などでも、実質的に認められるのは、
1万円程度。仮に、それらの交渉がすべてうまくいかない場合でも
入居者が同一である以上、そのまま居住し続けていれば、
家主側に退去させられるほどの「正当事由」は認められず、
したがって、借主の居住権が認められると思いますので、
退去させられることはないでしょう。