第6回 不動産競売について <青木 久氏 流通経済大学宅建講師> |  NPO法人日本住宅性能検査協会 建築・不動産ADR総合研究所(AAI)

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■■ 第6回 不動産競売について

青木 久 氏 
流通経済大学宅建講師
カルチャーセンター講師
室内環境問題研究会
宅地建物取引主任者
青木久行政書士事務所



(1)不動産競売は昭和55年10月から施行された民事執行法によって行われます。
債務者が住宅ローン等の支払いを滞ると、銀行等の債権者が裁判所に申し出て、債務者の不動産を売却して債権の回収をはかる手段です。
競売にも強制競売と担保権の実行とあります。不動産競売は担保権の実行の方です。
担保権には抵当権、根抵当権、質権、譲渡担保権、仮登記担保権等があります。
 
(2)現在の日本の状況について
平成21年の統計によると、自己破産者は約13万人、自殺者数は約3万人、競売物件数は約6万件、平成22年の完全失業者数は約365万人、平成23年11月の生活保護者数は約205万人との事です。
その背景はリーマンショック以降の円高、景気の低迷などのため、経済の悪化が深刻になっているからです。会社の倒産、失業、リストラ、収入の減少、予定外の出費等のため、住宅ローンの返済に困っている人が急増している現状です。

(3)不動産競売の手続きの概要
1.競売の申立て(債権者が管轄の裁判時所へ)
2.競売開始決定(裁判所による審査)
3.登記の嘱託(裁判所から法務局に対し差押登記の嘱託)
4.現況調査命令・評価命令(裁判所から執行官と評価人へ)
5.売却基準価額の決定
6.物件明細書作成他
7.売却日時等の公告
8.売却
9.売却決定
10.代金納付(買受人が行う)
11.登記の嘱託
12.配当期日の指定
13.配当手続きの流れです。

(4)競売不動産を買い受けるメリット・デメリット
メリットは市場価格の2~3割安で購入する事も出来る。
デメリットは、

1.物件に欠陥が有っても法的保護がない。
2.自己資金が必要である。売却基準価額の10の2が原則。
3.希望物件の中を見ることに制限がある。
4.調査は自分で行う。

(5)抵当権について
債務者又は物上保証人が、債務の担保に供した不動産等その他一定の権利を担保提供者の使用収益に任せておきながら、債務不履行の場合にその物の価額から優先弁済を受けることを内容とする担保物権である。