第9回 電磁波障害 その2    <早川 成昭氏> |  NPO法人日本住宅性能検査協会 建築・不動産ADR総合研究所(AAI)

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■■ 第9回 電磁波障害 その2


2010年5月18日、WHO(世界保健機関)から携帯電話と脳腫瘍との関係を調べる世界最大規模の研究結果が発表された。日本も含めた13カ国が研究に参加している。英タイム紙は「ヘビーユーザーでガンリスク」という見出し、英テレグラフ紙は「画期的な研究で、ヘビーユーザーの危険の可能性を示す」とともに生活者の立場からの報道である。

日本では毎日新聞と産経新聞は「携帯で発がん、確認できず WHO機関が大規模調査」、日経新聞は「携帯と脳腫瘍の関係、大人は『確認できず』」というものだった。同じ研究結果についてなぜ180度反対の報道になるのだろう。

日本の電力10社でつくる電気事業連合(電事連)や電力中央研究所(電中連)は「今のところ、環境中の電磁波が健康に悪影響を及ぼすという科学的根拠は無い」という考えである。先進国で日本だけが環境リスクについて「問題無い」といい続けている。

行政や関連業界には立場上「寝た子を起こすな」と思われるような姿勢や環境リスクに対する意識の低さが感じられるのは私だけだろうか。

日本国民もそろそろ平和ボケと他力本願から脱却しないと、ますます海外との差がついてしまう。
私たちは前人の経験を大切にして、身の回りのあらゆるところに「絶対的な安全は存在しない」ということに気づくべきである。電磁波障害はシックハウス症候群やアスベスト障害とともに“静かな時限爆弾”として21世紀の公害になる可能性が高いといわれている。

電気を使わずに生活することはあり得ないことは国民もわかっている。
生活にとって必要なものを止めろということではなくて、一般の消費者にやさしく注意事項を徹底させる努力が必要だろう。

関連業界を非難し不安を煽る考えは毛頭無い。現実に生じている実態を素直に受け取り、「予防原則」に基づいて情報を共有し、上手く付き合う暮らし方を身につけることが必要である。EUのように国民と産業界が一体になって改善に取り組むことを望む。

 宮田幹夫氏(そよ風クリニック院長、元北里大学教授)は、日本で唯一早期に哺乳動物で実験を実施した人で、治療にも努力している数少ない専門家である。宮田幹夫氏は石川 哲氏(米国アカデミー環境医学会(AAEM)フェロー)と一緒に化学物質過敏症に取り組んできた専門家でもある。