第3回 理事の選任問題について<森 正行マンション管理士> 日住検「コラム・論文」より |  NPO法人日本住宅性能検査協会 建築・不動産ADR総合研究所(AAI)

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第3回 理事の選任問題について

 新年明けましておめでとうございます。マンション管理士の森です。宜しくお願いいたします。このコーナーでは、マンションを取り巻くトラブル事例を中心に毎月テーマを1つとりあげ解決策を見つけていきたいと思います。  

 新年度は相談事例の中から管理組合の悩みの種となっている問題を考えてみたいと思います。

 「理事や理事長になりたがらない人が多く困っています」という相談事例が数多くあります。輪番制にしていたところ、理事候補として総会資料に名前を載せようとしたところ、本人が「聞いていない」又は「翌年にしてくれ」と拒否されるケースがよくあります。

 マンションの役員選任方法として「輪番制」としている管理組合が圧倒的に多く、「立候補」や「推薦」としているケースは稀です。立候補や推薦で定足数を満たすことができれば問題ないのですが、多くの管理組合ではその場合でも輪番制を併用していることが多々あります。また上記のようなケースで順番を変更すると、1年早く役員候補となることから後々まで順番をめぐるトラブルが発生します。

 その解決策としては、本人を説得するか、やる気のある人を候補者とする。というのが一般的です。そうした事態を防ぐ意味で、事前に翌年の役員候補となっていることをできる限り早く知らせ、了解を取り付けておくことが重要です。ある管理組合では、総会の席で2年後役員候補を発表しておく。あるいは 10年程度の輪番制の表を作成し、各年度に候補者名を書き込み、総会の席で配布するなどの方法をとっているところもあります。また、拒否者が多く同じ人が何回も役員となるケースもあり、やる人・やらない人の不公平感を解決するために報酬を支払うという規定を設けている組合もあります。報酬は1回理事会に出席する度に「 1,000円」とか、多いところでは「30,000円」というところもありました。また、月いくらと決めているケースもあります。報酬を決めている、又は慰労費として何らかの費用を決めている管理組合は、徐々に増加傾向にあります。

  さらに、役員の選任問題を考える際に考慮しておきたいことは、その任期を何年にするかという問題です。圧倒的に多いのは1年で役員全員が総入れ替えというケースですが、この場合、前回の役員との引き継ぎおよび議事継続がうまく行われていないことが多々あります。これを防ぐ意味で任期を2年として半数を入替えるなどの方法を合わせて検討しておくことをお薦めします。

 マンションの維持管理に責任を負うのが管理組合で、管理組合を運営しているのが理事長・理事会となっています。この理事会は「区分所有法」「管理規約」さらに細かな規定をもりこんだ「細則」に則ってマンションの維持管理を行うことに責任を負っています。マンションは専用部分と共用部分から構成されています。各住戸については所有者に権利がありますが、エレベーターや廊下・階段などはマンションの購入者全員で共有しています。どこまでが共用部分であるか、その維持管理のやり方や費用については、上記の区分所有法から細則までの規定に則り運営していくことになります。

  なお、共用部分の範囲につきましては、前月・前前月のこのコーナーをご参照願います。