(修繕の程度を越えた増改築と原状回復義務)
本件増改築は修繕の程度を超えているが、家屋の使用目的や構造を変えるものでなく、
むしろ便利に改造したものであって、これを原状に回復することを強いることにすれば、
本件家屋を使用上の価値の劣った旧状に復せしめることになり、しかもそのために相当な
費用を投じなければならず、賃貸人、賃借人のいずれにとっても失うことがあるだけで
得るところがないことなどを総合すれば、本件原状回復請求は何ら実益のない不当な
要求というべきである。
東京地裁昭和25年7月10日 〔昭24第3740号)