NPO法人日本住宅性能検査協会 「日住検総研」

 NPO法人日本住宅性能検査協会 「日住検総研」

2004年内閣府認証
NPO法人日本住宅性能検査協会
「日住検総研」研究・分析・提言を行います。


■ 委員会・研究会活動

・建築士委員会
・敷金・賃貸借契約問題研究会
・太陽光発電研究会
・サブリース問題研究会
・リバース・モーゲージ研究会
・空き家等情報バンク運営研究会
・再生可能エネルギー普及研究会

近年、リースバックを巡るトラブルは急増しており、特に高齢者を狙った強引な契約が社会問題化しています。

1. 相談件数の推移と実態

国民生活センターのデータによると、住宅リースバックに関する相談件数はここ数年で約10倍〜12倍に急増しています。

  • 直近の相談件数: 2023年度には220件超、2024年度には約250件と年々増加傾向にあり、2025年度も高い水準で推移しています。

  • 相談者の年齢層: 契約に関するトラブル相談の約7割〜8割が60代・70代以上の高齢者で占められています。

2. 主な相談内容(トラブル事例)

国民生活センターが公表している具体的な相談内容には、以下のような深刻なケースが目立ちます。

  • 長時間の強引な勧誘: 「自宅マンションを売るようしつこく言われ、怖くなって応じてしまった」「長時間居座られて勧誘され、リースバック契約をしてしまったが解約したい」といった、訪問販売による強引なセールスに関する相談。

  • 不当に安い買取価格: 「認知症の父が、相場よりも非常に安価な売却額でリースバック契約を結ばされていた」といった、判断能力の低下につけ込んだ契約トラブル。

  • 家賃の値上げ・支払い困難: 「生活資金に困ってリースバックを利用したが、入居後に家賃を値上げされ、支払えなくなってしまった」という経済的破綻のケース。

  • 「ずっと住める」という誤認(定期借家契約の罠): 「ずっと今の家に住み続けられると聞いていたのに、数年後の契約更新(再契約)を断られ、退去を迫られている」という、契約形態の認識のズレによるトラブル。

3. 背景にある問題点

リースバックは「売買契約」と「賃貸借契約」が入り混じった非常に複雑な契約です。しかし、事業者が契約内容(特に定期借家契約のリスクや、修繕費の負担区分)を消費者に正しく理解させないまま手続きを進めてしまうケースが多発しています。

また、個人が売主、業者が買主となるリースバック契約は原則としてクーリング・オフの対象外となるため、「後で解約すればいい」と安易にサインしてしまうと、高額な違約金(手付金の倍返しなど)を請求される事態に陥ります。

リースバックを検討する際は、専門家を交えて契約書を隅々まで確認することが身を守る唯一の手段となります。日経新聞等でも報じられたトラブル事例や、契約前に確認すべきポイントについて詳しく解説している動画がありますので、こちらも参考にしてみてください。 リースバック契約のトラブル事例から学ぶチェックポイント

 

リースバック契約に関する相談件数の推移|「住み続けられると思っていた」日経新聞が報じた事例から学ぶチェックポイント【専門家監修】 - YouTube

マイホームだけは守らナイト · 63 回の視聴

 

 

【実務展望】

リバースモーゲージとの比較から読み解く住宅リースバックの将来性と市場規模

 

■ 融資か、売買か(両者の決定的な違い)

リバースモーゲージの法的性質は、自宅を担保とした「金銭消費貸借契約(融資)」である。所有権は利用者に残ったまま、毎月「利息」のみを支払い、利用者の死後に物件を売却して元本を精算する。一見すると合理的な制度だが、将来の担保割れリスク(長生きリスクや不動産価値の下落)を金融機関が嫌うため、対象物件が都市部の優良な戸建て等に限定されやすく、資金使途も生活費やリフォーム代等に制限されることが多い。

 

対して住宅リースバックは「売買契約と賃貸借契約」である。所有権は事業者に移転し、まとまった現金を手にしつつ毎月「家賃」を支払う。融資(借金)ではないため、金融機関の厳格な与信審査がなく、郊外の物件やマンションでも対象になりやすい。さらに、資金使途が完全に自由であり、既存の住宅ローン残債の清算や事業資金に充てられる点が最大の違いである。

 

■ 今後、社会的に求められるのはどちらか 

結論から言えば、今後圧倒的に社会的ニーズが高まるのは「住宅リースバック」である。 その最大の理由は、日本の家族形態の変化と制度の汎用性にある。リバースモーゲージは多くの場合、将来のトラブルを防ぐために「推定相続人(子供など)の全員の同意」を必要とする。

 

しかし、単身高齢者や子供のいない夫婦、あるいは親族関係が希薄な世帯が増加する現代において、この要件は極めて高いハードルとなる。 さらに、都市部以外の物件を持つ大半の高齢者は、リバースモーゲージの担保評価が出ず、制度の恩恵を受けられない「空白地帯」に取り残されている。住宅リースバックは、こうした金融機関の融資の枠組みからこぼれ落ちた膨大な層の受け皿となり、生活環境を変えずに資金を提供する「社会的セーフティネット」としての役割を強く求められているのである。

 

■ 市場規模の予測と適正取引主任者の使命

住宅リースバックの市場規模は、現在急速な拡大期にある。団塊の世代がすべて後期高齢者(75歳以上)となる「2025年問題」を通過し、老後の年金不足、高騰する医療・介護費用の捻出、あるいは「終活(生前整理)」としての資産現金化ニーズが爆発的に顕在化しつつある。

 民間調査機関の予測や業界動向を総合すれば、数百億円規模であった市場はすでに数千億円規模へと成長しており、今後10年間で潜在的なマーケットは数兆円規模へと拡大することは想像に難くない。

 

しかし、この市場の急拡大は、利益至上主義の事業者による過酷な契約や、資金枯渇による高齢者の強制退去といった深刻な消費者トラブルを不可避的に招く。巨大化する市場において、事業者の暴走を牽制し、消費者の人生を「適正な契約」によって守り抜く防波堤が必要だ。

 

住宅リースバック契約における国交省の新指針 

〜市場拡大の可能性と内在する問題点〜

序文

国土交通省は、自宅を売却した後も賃貸としてそのまま住み続けられる「住宅リースバック」の契約に関して、不動産業者に対して解約条件や契約更新の可否といった重要情報の事前告知を義務付ける新たな指針(ガイドライン)を策定します。

近年、相場から大きく乖離した不当な家賃設定や、突然の退去強要といったトラブルが急増している事態を重く受け止め、立場の弱い消費者を保護する狙いがあります。

本指針により、賃貸借契約を締結する前に借り主(元所有者)に対する十分な説明が求められることになり、国交省は今夏までのガイドライン策定を目指しています。

国交省の新指針の主な内容

  • 重要事項の事前告知の義務化: 賃貸借契約を結ぶ前に、解約の条件、家賃の正確な額、契約更新の可否などの重要情報を提示することを求める。

  • トラブル防止のためのルール明確化: 極端に不利な賃貸条件での契約締結や、無謀な退去の強要を防ぐための基準を設ける。

  • 禁止事項や罰則の検討: 国交省が設置した研究会において、事業者に対する禁止事項や違反時の罰則など、具体的なルール作りを議論する。

  • 消費者保護の徹底と情報格差の是正: 不動産取引に不慣れな高齢者などが安心して制度を利用できる市場環境を整備する。

市場拡大の可能性

  1. 高齢化社会における老後資金ニーズの増大: 年金不安や医療・介護費の増加を背景に、住み慣れた自宅を離れずにまとまった資金(生活資金など)を調達できる手段として需要が高まっています。

  2. 多様化する資金調達手段としての認知: 住宅ローンの返済苦だけでなく、事業資金の調達や生前贈与・相続対策など、リバースモーゲージとは異なる「第3の選択肢」として認知度が向上しています。

  3. 空き家問題への予防的アプローチ: 生前に所有権を移転しておくことで、将来の所有者不明土地や管理不全空き家になるリスクを防ぐ社会的な効果も期待されています。

内在する問題点と課題

  1. 買取価格と家賃設定のアンバランス(資金ショートリスク): 買取価格は市場相場の7〜8割と安くなる一方、家賃は投資利回りをベースにするため割高に設定されがちです。結果として、数年後に売却資金が底を突き、家賃が払えなくなる高齢者が少なくありません。

  2. 定期借家契約による「退去リスク」: 多くの契約が2〜3年の「定期借家契約」となっており、期間満了時に事業者が再契約を拒否すれば立ち退きとなります。「終身住める」と誤認して契約し、のちに退去を迫られるトラブルが多発しています。

  3. 事業者の転売リスクと倒産リスク: リースバック業者が物件を第三者に転売した場合、新しい貸主との間で当初の家賃や将来の買い戻し特約が反故にされるトラブルや、業者の倒産により居住環境が脅かされるリスクがあります。

  4. 情報の非対称性と利用者のリテラシー不足: 売買と賃貸が絡む複雑な契約スキームのため、一般消費者には完全な理解が困難です。不実告知や不利な特約を見抜けずに契約してしまうケースが多く、今回のガイドラインはまさにこの情報格差を是正するための急務の対策といえます。

【日住検 徹底解説】

「建築物省エネ法改正」の全体像と現場が抱える実務的課題

序文

2050年のカーボンニュートラル実現、および2030年度の温室効果ガス削減目標の達成に向けて、日本の住宅・建築業界はかつてない大きな転換期を迎えています。本法案(建築物省エネ法改正案)は、これまで一部の用途や規模に限られていた省エネ規制を抜本的に強化し、日本の建築物全体のエネルギー性能を底上げすることを目的としています。

 

私たち住宅検査機関(日住検)の視点から見れば、この法改正は「住まいの快適性向上」や「光熱費の削減」といった消費者メリットをもたらす一方で、設計・施工・検査の各プロセスにおいて、現場に大きな意識改革と技術的対応を迫るものです。本稿では、まず本改正案の主要な構成要素を整理し、後半にてそれぞれの項目が実際の建築・検査現場にもたらす「問題点」を詳述します。

本法案の主要な構成(箇条書き)

本改正案は、大きく以下の4つの柱から構成されています。

  • 1. 全ての新築住宅・建築物に対する省エネ基準適合の義務化 これまで義務対象外であった小規模住宅(戸建住宅など)を含む、原則すべての新築建築物に対して、国の定める省エネ基準への適合を義務付ける。

  • 2. 住宅トップランナー制度の拡充 建売住宅、注文住宅、賃貸アパートなどを供給する大手事業者に対し、より高い水準の省エネ性能の確保を求める「トップランナー制度」の対象を拡大・強化する。

  • 3. 既存建築物の省エネ改修の推進 既存の住宅や建築物の省エネ性能を向上させるため、改修に対する支援措置(住宅金融支援機構による低利融資など)の拡充や、各種規制の合理化を行う。

  • 4. 再生可能エネルギー利用設備の導入円滑化 太陽光発電設備などの再エネ設備を設置しやすくするため、建築基準法上の高さ制限や建ぺい率・容積率などの形態規制の特例(合理化)を設ける。

各項目に対する現場・検査視点からの問題点

理想的な制度設計である一方、住宅検査の最前線に立つ日住検の視点からは、以下のような実務的・技術的な問題点が浮き彫りになります。

 

【1. 省エネ基準適合義務化に関する問題点】

最大の課題は、「計算上の数値(机上の空論)」と「実際の施工品質」の乖離です。省エネ基準の適合は、主に設計段階の計算書(外皮平均熱貫流率=UA値など)で審査されます。しかし、現場の職人に断熱材の正しい施工知識(隙間なく充填する技術や防湿フィルムの連続性の確保など)が不足していれば、計算通りの性能は発揮されず、壁体内結露などの深刻な瑕疵(欠陥)を引き起こします。 また、これまで審査が不要だった地域の小規模工務店にとっては、計算業務の手間とコストが経営を圧迫します。我々検査機関としても、完成後には見えなくなる「断熱材の施工状況」や「気密性(C値)」をどのタイミングで、どの程度の精度で義務検査に組み込むべきか、マンパワーの不足とともに審査の形骸化(ペーパーチェックのみで終わる懸念)が強く危惧されます。

 

【2. 住宅トップランナー制度の拡充に関する問題点】 

本制度の強化により、資金力と技術開発力のある大手ハウスメーカーと、地域の特性を活かして少棟数を建てる地場工務店との間での「性能格差・ブランド格差」がさらに拡大する恐れがあります。 大手事業者が一律に高スペックな設備(高性能な全館空調や過剰な断熱材)を標準化することで、温暖な地域などでは「そこまでの過剰なスペックが本当に必要なのか」という地域風土とのミスマッチが生じるケースもあります。また、特殊な自社独自工法や設備が増えるため、第三者機関が共通の基準で客観的な劣化診断やインスペクション(建物状況調査)を行うことが年々困難になっているという検査側のジレンマも存在します。

 

【3. 既存建築物の省エネ改修推進に関する問題点】

既存住宅の省エネ改修(断熱リフォームなど)における最大のリスクは、「建物の見えない劣化(シロアリ被害、構造材の腐朽、雨漏り)」を見落としたまま断熱材で覆い隠してしまうことです。 事前の詳細なインスペクション(現況調査)を行わずに、表面的な内装やサッシの交換、断熱材の吹き付けを行ってしまうと、既存の構造体に湿気が閉じ込められ、家屋の寿命を急激に縮める危険性があります。改修工事における「施工前の劣化診断」と「結露計算に基づく適切な通気計画」が法的にどこまで担保されるのかが不透明であり、不適切な改修によるトラブル増加が懸念されます。

 

【4. 再生可能エネルギー利用設備の導入円滑化に関する問題点】

太陽光パネル設置への規制緩和は歓迎すべきですが、検査機関としては「屋根の防水性」と「建物の構造安全性」への悪影響を指摘せざるを得ません。 既存住宅の屋根に後付けで重い太陽光パネルを設置する場合、建物の耐震バランスが崩れるリスクがあります(屋根が重くなるほど地震時の揺れは増幅します)。また、パネルを固定する際の屋根材へのビス打ちが原因で雨漏りが発生する事例は、現在でも後を絶ちません。規制緩和によって設置が急増すれば、防水処理の知識が乏しい異業種からの参入業者によるずさんな工事が増加し、数年後に大規模な雨漏り被害や、将来的なパネルの廃棄・メンテナンス問題が消費者に重くのしかかることが予想されます。

 

 

 

【大空室時代を生き抜く羅針盤】

収益不動産再生診断士の必要性と社会・経済にもたらす深い意義

日本は今、かつて経験したことのない未曾有の構造変化の波に直面しています。少子高齢化や人口減少といった社会情勢の急激な変化により、2030年代には全国の賃貸住宅等の空室率が30%を超える「大空室時代」が到来すると予測されています。これは過疎化が進む地方だけの問題ではなく、都市部においても深刻な影響を及ぼす事態です。

今後ますます厳しさを増す収益不動産(賃貸住宅など)の経営環境において、不動産オーナーや地域社会を救う専門家として注目を集めているのが「収益不動産再生診断士」です。この資格・職能がなぜ今求められているのか、その必要性と深い意義について考察します。

1.なぜ今「収益不動産再生診断士」が必要なのか

第一に、収益不動産再生診断士の「必要性」は、従来の不動産経営モデルの限界から生じています。これまでの賃貸経営は、物件を建てて管理会社に任せておけば入居者が確保できる「待ちの経営」が主流でした。しかし、物件の供給過剰と人口減少が同時に進行する現代ではその手法は通用しません。競争力を失った物件は慢性的な空室を抱え、利回りが低下し、最悪の場合は修繕費すら捻出できない「負動産」へと転落してしまいます。

 

この危機的状況を打破するためには、単に家賃を下げるといった対症療法ではなく、物件が抱える根本的な課題を「診断」し、適切な「治療(再生)」を施す専門家が不可欠です。建物の劣化状況から、周辺エリアの市場調査、ターゲット層の再設定、投資回収のシミュレーションまで、多角的な視点を持ったプロによるコンサルティングが、オーナーの資産を守るために強く求められています。

 

さらに昨今では、集合住宅や空き家の再生において不動産ファンドの利用が可能になるなど、資金調達の手法も多様化しています。収益不動産再生診断士は、こうした最新のビジネススキルを駆使し、建物のリノベーション、用途変更、あるいは最適な形での処分・維持管理といった選択肢から、最適な再生プランを立案します。複雑化する不動産市況の中で、オーナーに寄り添い伴走する「不動産の総合診療医」としての役割が今まさに必要とされているのです。

2.SDGsと地域創生につながる「資格の意義」

第二に、収益不動産再生診断士の「意義」は、一オーナーの収益改善という個人的な利益にとどまらず、日本社会全体が抱える課題の解決に直結している点にあります。空き家・空室問題への対策は、SDGs(持続可能な開発目標)の中心的な課題の一つです。

 

管理不全に陥った収益不動産が放置されることは、地域の治安悪化、景観の破壊、倒壊リスクの増大など、周辺環境に多大な悪影響を及ぼします。診断士が専門的な知見を活かしてこれらの物件を再生・利活用することは、地域コミュニティの安全と活力を取り戻す「地域再生」そのものです。また、スクラップ・アンド・ビルドを繰り返すのではなく、既存の建物を長寿命化して有効活用することは、環境負荷の低減という地球規模のテーマにも直結します。

結論:次世代の日本を支える不可欠なインフラ人材

結論として、収益不動産再生診断士とは、厳しい経営環境に苦しむオーナーの資産を守る「強力な防波堤」であると同時に、日本各地から空き家という社会問題を減少させる「地域創生の担い手」でもあります。

2030年代の「大空室時代」という国難を乗り越えるためには、不動産、建築、金融、地域社会を統合的に見据える人材の育成が急務です。収益不動産の再生を通じて、SDGsの実現と地域活性化に大きく貢献する本資格は、これからの日本において極めて高い公共性と将来性を備えた、社会的に非常に意義深いものであると断言できます。

 

 

【令和7年国勢調査の分析】人口減少・多世帯化が迫る、日本の住宅政策のパラダイムシフト

 

1. 国勢調査(速報値)が示す日本の現状:「人口減」と「世帯増」のねじれ

2026年5月に発表された令和7年国勢調査の速報値は、日本社会の構造的な変化が新たなフェーズに突入したことを如実に示しています。

最も象徴的なのは、「人口減少」と「世帯数増加」の並進です。日本の総人口は約1億2304万人となり、東京と沖縄を除く45道府県で減少しました。自然減の拡大に歯止めがかからない一方で、世帯数は約5712万世帯と前回調査から約129万世帯増加し、過去最多を更新しています。

この結果、1世帯あたりの平均人数は2.15人(前回は2.26人)まで縮小し、過去最少となりました。この背景にあるのは、未婚化・晩婚化に伴う若年層の単身世帯の増加と、配偶者との死別などによる高齢者の単身世帯の急増です。日本は、かつての「夫婦と子供」からなる標準家族モデルから、「単身者(おひとりさま)」がマジョリティを占める社会へと完全に移行しました。

2. 今後の住宅政策に与える4つの重大な影響

この人口動態の劇的な変化は、今後の住宅政策に根底からの見直しを迫ります。具体的には、以下の4つの方向へ大きく舵を切ることになるでしょう。

① 「空き家問題」の深刻化とストックマネジメントへの完全移行

世帯数が増加しているとはいえ、遠からずピークアウトを迎えます。地方や郊外では既に世帯数も減少に転じている地域が多く、高齢の単身者が施設に入居したり亡くなったりすることで、今後数年で大量の住宅が「空き家」として市場に放出されます。

今後の政策の重心は「新築による供給」から「既存ストックの管理・除却・再利用」へと完全に移行します。近年改正された空家等対策特別措置法による「管理不全空き家」への固定資産税優遇の解除など、放置に対するペナルティが強化されるとともに、解体費用への補助や、空き家バンクを通じた流通促進が急務となります。

② 「コンパクト住宅」への需要シフトと都市計画の連動

平均世帯人数が2.15人まで落ち込んだことで、高度経済成長期から郊外に大量供給されてきたファミリー向けの広い戸建てや団地は、広すぎて持て余されるようになります。

今後は、単身者や高齢者が暮らしやすい、駅近で利便性の高いコンパクトな住宅(1LDK〜2LDKなど)の需要が高まります。これは、高齢者が車を手放しても生活できる「コンパクトシティ(立地適正化計画)」の推進と強く連動します。自治体のインフラ維持コストを削減するためにも、郊外の拡散した居住地から中心市街地へ居住を誘導する政策がさらに加速するはずです。

③ 住宅セーフティネットの拡充と「居住支援」の強化

高齢の単身世帯の増加は、賃貸市場における深刻な摩擦を生みます。孤独死への懸念や保証人不在を理由に、高齢単身者の入居を拒む不動産オーナーは少なくありません。

こうした「住宅確保要配慮者」が住まいを失わないよう、民間賃貸の空き家を活用した住宅セーフティネット制度の拡充が不可欠になります。今後はハード(建物)の提供だけでなく、NPO法人や福祉機関と連携した「見守りサービス」や「家賃債務保証」など、居住支援協議会を通じたソフト面での支援が住宅政策の中核を担うことになります。

④ 「孤立防止」を目的としたコミュニティ型住宅の推進

単身世帯の増加は、社会的孤立のリスクと直結します。多世代が交流できるコレクティブハウスやシェアハウス、あるいは1階部分に地域のコミュニティスペースや医療・介護拠点を併設した住宅など、「つながりを生む空間設計」に対する補助金や税制優遇が政策的に後押しされると考えられます。

3. まとめ:量から「福祉と連携した質」の時代へ

令和7年の国勢調査結果は、日本の住宅需要が世帯規模の縮小に合わせて劇的に変化した事実を突きつけています。これからの住宅政策は、単なる「住宅産業の振興」ではなく、医療・介護・まちづくりと一体化した「縮小社会における持続可能な暮らしのセーフティネット構築」としての性格をより一層強くしていくことになります。

 

    賃貸住宅における空き家データの実態分析 

     ~築年数・地域特性から紐解く空室問題と今後の対策~

 

  発表元: NPO法人日本住宅性能検査協会

 

空き家問題において「放置された実家(戸建て)」が注目されがちですが、総務省の直近データ(令和5年住宅・土地統計調査)によれば、全国の空き家約900万戸のうち、実は最も多い約半数(約443万戸)を占めるのが「賃貸用の空き家」です。

 

当協会(NPO法人日本住宅性能検査協会)の専門的知見に基づき、賃貸住宅における空き家の実態を築年数や地域別データから詳細に分析し、今後の対策に向けた見解を発表いたします。

 

1. 築年数別の分析:築30年の壁と「名ばかり募集」

賃貸物件における空室率は、建物の物理的な経年劣化に比例して明確な悪化傾向を示します。

  • 築20年未満: 設備が比較的新しく、退去が発生しても原状回復工事のみで次の入居者が決まりやすい傾向にあります。

  • 築30年〜40年: 間取りや設備(和室、水回りの旧式化、断熱材の不足など)の陳腐化が目立ち始め、家賃の値下げ競争に巻き込まれます。

  • 築40年以上(1981年以前の旧耐震物件): 耐震性への不安が加わり、入居者付けが極めて困難になります。

「令和6年空き家所有者実態調査」の傾向を鑑みても、貸家用の空き家であっても約70%が長期間放置されています。これは、入居者獲得のための「リノベーション費用」に対して「家賃収入による回収(費用対効果)」が見込めず、形だけ賃貸募集をかけながら実質的に放置されている「名ばかり賃貸空き家」が大量に存在していることを示しています。

2. 地域別の分析:都市部の「供給過多」と地方の「需要蒸発」

地域によって賃貸空き家が発生するメカニズムは大きく異なります。

地域特性 発生の主な要因 空室物件の傾向
三大都市圏・都市部 相続税対策等による新築の供給過多 駅から徒歩15分以上、築20年超の物件から空室化。新築との競争敗北。
地方都市・郊外 人口減少・若年層流出による需要蒸発 家賃を下げても入居者が不在。エリア全体の賃貸需要が物理的に不足。
 

都市部では「選ばれなければ空室」になる局地的な競争激化が起きている一方、地方では「そもそも借りる人がいない」という構造的な問題に直面しています。

以下のシミュレーターで、築年数と地域特性が賃貸空室率に与える影響の傾向をご確認いただけます。

 

 

分析のポイント: 地方部においては築浅であっても一定の空室リスクを抱える一方、都市部においては築年数(特に築30年以上)が空室化の強力なトリガーとなっています。

3. サブリース契約問題と当協会の見解

賃貸空き家の増加は、家主の経営課題であると同時に、地域の住環境や治安悪化に直結する社会問題です。特に近年、空き家化の背景にある構造的な問題として、以下の点に警鐘を鳴らします。

  • サブリース(一括借り上げ)契約等に潜むリスクの顕在化: 都市部や郊外を中心に、将来の空室リスクや修繕コストを軽視したままサブリース契約を前提に新築された賃貸住宅が、経年劣化による競争力低下とともに家賃減額等の契約トラブルに発展するケースが増加しています。表面的な利回りだけでなく、長期的な性能維持と市場動向に基づく健全な賃貸経営の視点が不可欠です。

  • インスペクションによる「建物の終活」判断: 家主の高齢化に伴い、建物の状態を正確に把握した上での経営判断ができなくなっているケースが散見されます。当協会が推進するホームインスペクション(住宅診断)を活用し、建物の劣化状況と必要な修繕コストを客観的に算定することが重要です。

  • 早期の「出口戦略」の決断: 投資回収が見込めない築古物件については、無計画に募集・保有を続けるのではなく、シェアハウスや福祉施設等への用途転換、あるいは入居者退去後の計画的な解体・売買など、早期に「賃貸経営の終活(出口戦略)」を決断するサポート体制が社会的に求められています。

NPO法人日本住宅性能検査協会は、今後も住宅性能の可視化と公正な契約環境の構築を通じ、賃貸住宅における空き家問題の解決に向けた社会実装を推進してまいります。

 

 

フィルム型ペロブスカイト太陽電池の「2028年度黒字化」予測について

 

積水化学工業が2026年5月21日に発表した新中期経営計画「Accelerate 2028」において示された、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の「2028年度黒字化」予測について。

 

この発表は、ペロブスカイト太陽電池が研究開発のフェーズから、いよいよ本格的な「社会実装」と「ビジネスとしての自立」の段階へ移行したことを示す非常に重要なマイルストーンです。具体的な計画の内容と、それを裏付ける背景を解説します。

 

1. 2028年度黒字化への具体的なロードマップ

製品の設計・製造・販売を一貫して担うために設立された新会社「積水ソーラーフィルム」を中心に、以下のような急ピッチな生産・販売体制の構築が計画されています。

 

2027年度: シャープ堺工場のインフラ設備などを活用し、第1ライン(生産能力100MW:メガワット)を立ち上げ。

 

2028年度: 第1ラインがフル稼働状態に到達。年間売上高250億円以上を達成し、事業単体での「黒字転換」を見込む。

 

2030年に向けて: 生産能力を1GW(ギガワット)体制へと一気に拡大。売上規模を1,000億円レベルに引き上げ、製造コストを現在の主流であるシリコン型太陽電池と同等レベルまで低減させる目標を掲げています。

 

2. 「早期黒字化」を可能にする勝算と背景

通常、新しいハードウェアやエネルギー技術の量産化・黒字化には長い時間がかかりますが、積水化学がこのロードマップを描けるのには明確な理由があります。

 

・独自技術「ロール・ツー・ロール」による量産技術の確立

同社が強みとする精密化学・フィルム技術を活かし、耐久性を維持したまま「30cm幅から1メートル幅」へのスケールアップと、連続製造(ロール・ツー・ロール方式)に目処がついたことが最大の要因です。これにより、大量生産による大幅なコストダウンが早期に見込めます。

 

・巨額の国費投入(GX支援)による財務リスクの低減

総事業費約3,145億円という巨大プロジェクトに対し、国から異例の「2分の1補助」が適用されています。初期の莫大な設備投資負担が軽減されるため、量産化に伴う財務リスクを抑えつつ、早期の採算確保(黒字化)を描きやすい構造になっています。過去のシリコン型太陽電池での敗北を繰り返さず、日本発の技術で世界市場の主導権を握るという官民一体の強い意志が反映されています。

 

3. 社会実装と「新市場創造」へのインパクト

この黒字化予測の裏には、日本独自の新しいエネルギー市場の創造というグランドデザインが存在します。

 

軽量で柔軟性があり、建物の曲面や耐荷重の小さい屋根にも設置できるペロブスカイト太陽電池は、これまでのシリコン型では導入が難しかった場所(都市部のビル壁面や既存の建築物など)に新たな発電スポットを生み出します。積水化学は、自社が持つ住宅・建材事業のノウハウや、施工・インテグレーションの現場力を掛け合わせることで、単なる「電池の販売」ではなく「新しい建築・エネルギーソリューション」として市場を開拓していく戦略をとっています。

 

赤字を掘りながらの研究開発を抜け、2028年度に黒字化を達成するということは、ペロブスカイト太陽電池が次世代の社会インフラとして確実に機能し始め、経済的にも自立し得ることを証明する試金石となります。

 

 

 

令和6年「空き家所有者実態調査」に基づく空き家問題の現状と当協会の分析 

          ~増加する相続空き家と老朽化への処方箋~ 

 

発表元: NPO法人日本住宅性能検査協会

はじめに

近年、我が国の空き家問題は深刻さを増しており、総務省の直近の調査では全国の空き家数が約900万戸、空き家率は13.8%と過去最多を記録しました。倒壊の危険性、景観の悪化、防犯上の懸念など、地域社会への悪影響が各所で顕在化しています。

 

こうしたなか、国土交通省より「令和6年空き家所有者実態調査」の結果が公表されました。当協会(NPO法人日本住宅性能検査協会)は、第三者的な専門機関としての立場から本調査結果を項目別に詳細に分析し、今後の空き家対策に向けた見解をまとめましたので、ここに発表いたします。

1. 取得経緯の分析:約6割が「相続」による取得

調査結果によれば、空き家を取得した経緯の約6割が「相続」であることが明らかになりました。親や親族の死亡・施設入所などを契機に、実家を望まぬ形で引き継ぐケースが大半を占めています。

 

【当協会の分析】 事前の準備や話し合いがないまま相続が発生するため、新所有者自身も不動産の価値や維持管理の手間を正確に把握できていない傾向があります。結果として、売却・賃貸といった活用や、解体などの意思決定が先送りされ、長期的な「放置空き家」を生み出す根本的な原因となっています。

2. 建物の状態と建築時期:7割超が1980年以前の「築古・劣化」物件

空き家の建築時期に関する項目では、全体の7割超が1980年(昭和55年)以前に建てられた旧耐震基準の住宅であることが示されました。さらに、全体の7割以上において「腐朽・破損」など、目に見える物理的な劣化が存在しています。

 

【当協会の分析】 長期間放置された築古物件は、耐震性や断熱性といった現代の住宅性能基準を大きく下回っており、そのままの状態で中古市場に流通させることは極めて困難です。利活用するためには大規模な改修工事(リノベーション)が必要となり、多額の費用負担が発生します。費用対効果が見合わないため、結果的に「直すことも壊すこともできない」まま放置が進行している実態が浮き彫りになりました。また、近年頻発する自然災害において、これら老朽空き家が倒壊し、避難経路を塞ぐなどの二次被害をもたらすリスクが強く懸念されます。

3. 所有者の今後の意向と課題:「問題の先送り」と高い心理的ハードル

空き家の今後の利用意向については、半数近くの所有者が「当面そのままにしておく」「物置(セカンドハウス等)として利用する」と回答しており、抜本的な解決に踏み出せていません。具体的な行動を起こさない理由として、「解体費用などの資金不足」「家財道具の片付けが負担」「親族間の合意形成が困難」といった課題が上位に挙げられています。

 

【当協会の分析】 とくに「家財道具の残置」は、売却や解体を進める上での大きなボトルネックとなっています。また、更地にすることで固定資産税の住宅用地特例の対象から外れ、税負担が跳ね上がることへの警戒感も依然として強く、所有者の「とりあえず放置する」という心理的バイアスを強固なものにしています。改正空家法による「管理不全空き家」への指定リスクといった最新の制度変更が、所有者に十分に認知されていないことも先送りの一因と考えられます。

4. 当協会の見解と今後の提言

本調査結果の分析を通じ、空き家問題の解決には「適切な状況把握」と「所有者の背中を押す専門的なサポート」が急務であると当協会は考えます。以下の3点を強力に推進してまいります。

  • 建物の客観的な性能評価の徹底: 空き家を「活かせるのか」「解体すべきなのか」を所有者自身で判断することは困難です。当協会が推進するホームインスペクション(住宅診断)等の客観的な性能評価を活用することで、建物の正確な状態や修繕コストを把握し、合理的な意思決定を促すことが重要です。

  • 「家の終活」の早期啓発: 相続発生後では手遅れになるケースが多いため、所有者が元気なうちから家族で建物の将来像を話し合い、不要な家財の整理を段階的に進める「家の終活」を社会的に啓発していく必要があります。

  • 専門家連携によるワンストップ支援: 不動産、建築、法律、税務など、空き家問題は多岐にわたる専門知識を要します。当協会は各種専門家とのネットワークを活かし、所有者がどこに相談すべきか迷わないワンストップの相談窓口機能の強化を提言します。

おわりに

「令和6年空き家所有者実態調査」は、老朽化した相続空き家が限界を迎えつつある日本の現状に強い警鐘を鳴らしています。NPO法人日本住宅性能検査協会は、今後も公正中立な立場から住宅の性能や状態を可視化し、安全で豊かな住環境の実現と空き家問題の解決に向け、社会的な責任を果たしてまいります。

ペロブスカイト太陽電池、2030年に向けて何が起きてる?第30回:フロントランナーの「28年度黒字化」予測。そこから読み解く、日本独自の「新市場創造」グランドデザイン

皆様、こんにちは。 合同会社ヘキサゴンブリッジ 代表 CEO 新規事業おじさん® ペロブスカイト太陽電池アドバイザー アート森でございます。

合同会社ヘキサゴンブリッジ 代表 CEO 新規事業おじさん® シニア機会クリエイター® 森慶一郎

 

先週の主要メーカー5社による業界団体「JPSC」の設立に続いて、またもや、びっくりするニュースが飛び込んできました。

国内で開発を力強く牽引する積水化学工業の新中期経営計画の中で、積水ソーラーフィルムの上脇太社長が、

 

「第1ライン(100メガワット)は27年度に立ち上がり、フル稼働するのは28年となるだろう。28年度に黒字転換できる見込みだ」

 

 

 

と発言したというではありませんか。

いや~。これには驚きました。

── 製造業の常識を覆す「スピード黒字化」の謎

だって、普通の半導体とか液晶の工場なら、何千億円もかけて巨大なクリーンルームを建てて、何年もかけてやっとこさ投資を回収するのが当たり前じゃないですか。それが大勝負の量産開始からわずか2〜3年で黒字化なんて、製造業の常識からしたら「えっ!?」ってなりますよね。

幕開け直後のスモールスタートであっても、なぜこれほど早い段階での「黒字化」の絵が描けるのでしょうか。ここには、ペロブスカイトならではの「身軽さ」と、ちょっとした「国策マジック」があるようなんです。

 秘密その1:政府の「補助金マジック」

先日の官民協議会でも発表があった、政府の「グリーンイノベーション基金(1,051億円)」です。国が投資の半分近くを実質的に補助してくれるおかげで、毎年の重い固定費になる「減価償却費」が劇的にスリムになるんですね。

秘密その2:足腰の軽い「印刷プロセス」

おまけに、ペロブスカイトはフィルムにインクを塗る「印刷プロセス」ですから、超高温や超高真空をキープし続けるシリコン製造に比べて、日々のランニングコストも格段に安く済みます。

国がガッチリ下支えしてくれて、なおかつ足腰が軽い。この2つが掛け合わさるからこそ、「2028年度に黒字化」という、超特急のロードマップが描けるのかな?と想像します。

── 「正直、ず~っと不安です」── その先に見えた打ち手

さて、ここからが今回の本当の本番です。

世界に目を向けると、既存のシリコンの基盤を持った海外のメガプレイヤーたちが、「タンデム型(次世代ハイブリッド電池)」という、ものすごい物量戦を仕掛けてきています。圧倒的なコストと効率を武器にした海外製のタンデムパネルは、これからの時代、日本の市場にも否応なしに大量に入ってくるでしょう。それはもう、避けられない現実なんですね。

じゃあ、日本のペロブスカイトは負けちゃうの?

はい。正直に申します。私はず~っと不安です。 でも、何か、打ち手はないか。いや、あるはずだと思って、活動を続けている者です。

 

「設置場所が広がる? だけど、どれだけ発電できるの?」

 

 

 

という冷めた問いかけを何度も受けます。皆様も同じ経験をしていませんか? 私自身、これに対する答が見出せず、「うっ」となってを繰り返してきました。

 

たとえば、これまでの広大な平地にある野立てのシリコンパネルは、時間をかけて海外勢の強力なタンデム型に置き換わっていくのでしょう。じゃあ、そこに日本のフィルム型が真っ向勝負で入り込んでいくのか?というと、「それはちょっと違うんじゃない?」と思う方が大多数だと思うのですね。

── 技術の比較じゃない。「新たな発電スポット」の創造へ

そこで私は、単に「設置場所が広がる」という言葉ではなくて、

「新たな発電スポットが生まれる」

ということなのかな?と言い換えてみました。 ちょっと、見え方が変わりませんか?

官民協議会、JPSCのルール形成の狙いはそこにあると思えてきます。

東京都の2GW、愛知県の1.2GW、国交省の率先導入(道路・鉄道・空港)といった巨大な需要は、既存の市場での価格競争ではなく、この「新たな発電スポット」を最速で満たすために創出されているわけですね。

日本が最も得意とする「精密化学」と「現場のきめ細かいインテグレーション(施工・建材・PPA技術)」によって、「新たな発電スポット」を社会実装する。今回の「2028年度黒字化」という具体的な数字の裏には、そんな新次元の勝利の方程式が描かれているように思えてなりません。

── 結び:全員で仕掛ける、新市場の社会実装

これって、モジュールを作る側(メーカー)だけの話ではないですよね。

そのチャンスをものにするには、

  • 施工事業者

  • 建材メーカー

  • 再エネデベロッパー

  • その他、これまでは関係ないと思われていた、様々な関係者

たちがかかわりあって、社会実装を進めていく。こういうことなのかな?と思います。

当社 ヘキサゴンブリッジ「6つの橋を架ける」ことを目指して、活動しております。本連載を通じて、また、日々の活動を通じて、この新たなマーケットを創造するために「6つの橋を架ける」ことに微力を尽くして参りたいと思うものであります。