「まさか……」
アリアナの呟きが、静かな庭園に落ちた。
リシェルは自分の胸元を見る。
そこには、淡い蒼い光を放つ星の紋章。
そしてアリアナの手の中には、同じような光を宿したペンダント。
「そのペンダント……」
リシェルが尋ねる。
アリアナは少し迷ったあと、ゆっくりと首から外した。
「これは、母から受け継いだものです」
「お母様から?」
「はい。幼い頃から、決して手放してはいけないと言われていました」
アリアナがペンダントを見つめる。
「理由は教えてもらえませんでしたけれど」
リシェルの胸の紋章が再び輝く。
すると、ペンダントから一筋の光が伸びた。
二人の間で光が重なり合う。
カイルが驚いて一歩下がる。
「これは……一体?」
誰も答えられない。
ただ、リシェルには分かった。
この光は敵意を持っていない。
むしろ――
懐かしい。
そんな感覚だった。
その時、庭園の奥から風が吹き抜ける。
花びらが舞い上がり、光の中に一瞬だけ古い紋章が浮かんだ。
星。
そして龍。
アリアナが息を呑む。
「……この紋章、母の古い書物で見たことがあります」
リシェルが振り返る。
「何と書かれていたのですか?」
アリアナは答えようとした。
しかし、その瞬間。
背後から声がした。
「その話は、ここでするべきではありません」
王宮の侍従だった。
「陛下がお呼びです」
リシェルは胸元を押さえた。
また何かが動き始めている。
そんな予感がした。
