オタクボスの随想百夜
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どうなってるんだ! ウェッジ・ホールディングスは?

 士郎正宗の「アップルシード」のCGアニメ:TVシリーズを制作受諾していたウェッジ・ホールディングス(大阪証券取引所:ヘラクレスで株式公開)が、その制作費の支払いがなされていない…という理由で、支払いを求める訴訟を東京地裁に起こした。そして、それを自社のWebサイトでIRとして発表。

 

 このウェッジ・ホールディングスは僕が考えて組み上げたシステムとビジネスアイデアを経営基軸にして株式公開した会社なんだけど、まったくもって経営がなってない。

 訴えられた会社は、(株)ミコット・アンド・バサラ。映画やテレビの制作配給会社だ。

 なんで、うちうちに収められないかなあ…。

 「アップルシード:ジェネシス」は、2009年春からの放映を予定して制作が進んでいる作品。それなりに、ファンの期待度も高い。

 まあ、元々、3DCGアニメーションの制作経験がまったくないウェッジ・ホールディングス、その系列会社ラディックスが、この作品の制作受諾を受けた時から先行きは怪しかった。

 同社の取締役にしても、ひとりとして3Dアニメーションの知識がある経営者はいないと思われる。

 執行役員にはアニメ関係者がいるけれど、3Dアニメーションの経験はない。

 ハードウェアやアプリケーションの評価、制作管理システムなどで適正なジャッジをするには、かなりの知識不足であろう。…というか、もとより制作受諾が無理だった…としかコメントできない。

 (株)ミコット・アンド・バサラが、そのまま別のチームを立てて制作を完了する…とすれば、結局、(株)ウェッジ・ホールディングスと(株)ラディックスの何らかに問題があって、制作チームから下ろされた…という結果だけが残る。

 そんな状況で、いきなりの訴訟…とは、業界の常識からは、かなり逸脱してる。

 そこで、敵対行動をし、それを公表することが、果たして得策なのか…大いに疑問、である。

 映像産業における日本的な始末の仕方…としては、協議の継続と交渉条件の出し合いによる取引の繰り返しだろうに。プロジェクトの組成不備とか経済的な障害について、なるべく表沙汰にしないで始末する…のが、業界の常だろうに。

 事実がどうであれ、こういうアグレッシブな姿勢を取る会社…だと知られれば、他の映像産業の面々も仕事の依頼において腰が引けてしまう…のは、間違いない。

 

 この程度の事で訴訟をしていては、アニメや映画産業では毎年訴訟しなければならない…位、トラブルが多いのが、この業界な訳で、それをどう回避し始末するか…までが経営能力な訳ですよ。

 (株)ウェッジ・ホールディングスの経営陣は、映像事業を縮小したいんだろうか…。理解に苦しむ。

 

  http://animeanime.jp/biz/archives/2008/10/post_458.html  

 

 もう少し、ちゃんとして欲しいと思う。

関西のオトナが、まったくダメダメな件について。

大阪のオトナは、一体何をしているのだ。

 今年の秋に大阪で開かれる『アニミックス2008大阪』というイベントに、少々関わっている。東京国際アニメフェアの新人育成支援プログラム、やら、海外広報やらをお手伝いしている関係で、昨年アドバイザーみたいな事を頼まれた。

 東京国際アニメフェアとゲームショーと同人誌即売会を足して2割程度の規模にしたようなイベント。 ま、大阪で海外向けの見本市やっても誰も来ないから、ファンや若手クリエーター向け、さらにキャラクタービジネスに興味がある異業種との交流がメインのイベントだ。
 
 …ところが…。

 このイベント、11月1日~3日の開催なのに、全然広報告知がされていない。
 なんちゅうことだ。あと1ヶ月しかないのに…。ありえない。

 どうやら主催者側の予算確定が遅かったことが、スタートのタイミングを失した原因。
 見本市協会というところが主導権を持ってディレクションするはず…だったんだけど。

 とりあえず初年度は6~7千万円程度に圧縮した予算編成で、来年度への『予告編』的な開催となる見込み。

 ちなみに、東京国際アニメフェアの開催費用は、4億円弱。
 その1/6規模ですら、大阪では見込めないということらしい。
 
 集客が見えないから実行予算が組めない。
 実行予算が確定しないから集客に効果のある内容が作れない。
 …という堂々巡りを半年もやっているようだ。まったく素人仕事に驚いた。

 東京国際アニメフェアの主催は実行委員会形式(任意団体)ではある。
 だが初めの五年間は東京都庁が産業支援として年間2億円を提供し、予算収支を保証した。(今は日本動画協会が主催団体として保証している。)

 ま、かなりアバウトな『関西仕事』っぽいスタートだったので、どうかな…とは思っていました。

 にも関わらず、新人支援プログラムとかで意見を聞かれると答えざるを得ない。
 今まで自前自腹で現地下見にも行っているし、何人か関西方面の友人も紹介した。
 それは、関西に埋まっている若い才能と出会えるチャンスだから、だ。

 気がつけば、僕は関西出身のクリエーターと多く仕事をしている。

 ゼネラルプロダクツが東京に進出して作ったガイナックスにも発起人で参加しているし、今、パートナーシップを組んでいる映画監督:北村龍平も大阪出身だ。

 Webやネットサーバ関係も、関西系が多い。

 でも、彼らの多くは関西から東京に進学したり、就職したり。
 優秀な才能は、皆、東京へ出てくる。
 これから東京で活躍する才能を、いち早く見つけるための機関として、こういうイベントは都合がいいと思っている。これは本音。

 で、お題目としては、関西:特に大阪で活躍するクリエーターをもっと支援しよう…というのが、建て前。ネットとリニア新幹線でもっと関東と関西の距離感が縮まる将来、もっと大阪にはコンテンツのメッカ、クリエーターのアジトがあってもいい…というのが、僕の政治的なアナウンスメント。

 これは決して嘘じゃないんだけど、それを実現化するのは僕ら東京モンではなくて、大阪のオトナ達である。そういうオトナ達が若い世代と交流するチャンスの場として、アニミックス大阪を位置づけた。

 だが…。

 関西在の若手クリエーターのためのコンテンツショーケースや映像新人賞 も、
 オリジナルキャラクターとライセンシーメーカーとの出会いの場 も、
 キャラクタービジネスに参入したい異業種企業のためのセミナー も、
 関西のコンテンツ企業を集めての若手の育成カンファレンス も、
 クリエーターのための独立開業ガイダンス講座 も、
 
 どれも、予算や後援=スポンサーシップが見えないので、今年はやれそうもない…という。大阪府庁も、橋下知事が乗り気じゃないので…とコンテンツ系は腰が引けているらしい。近畿経済産業省も、すでに小さなコンテスト系イベントをやっているから…と興味薄。
 関西財界の集まりとか、商工会議所、青年会議所とかにも声掛けしたらしいが、儲けに繋がらない…と、ノリが悪いらしい。

 そんな関西のオトナ達の反応に比べると、

 「アニメは東京ならではの産業だから行政が支援しよう」

 と、2001年に鶴の一声で東京国際アニメフェア開催を決めた石原都知事は、凄いなあ…と、心底思うよ。毎年、2億円を助成してきてるんだぜ。
 
 結局、えいやっとばかりに東京へ出てくる覚悟あるものだけがコンテンツ業界で働ける…ということなんだろうか…?

 でもなあ、東京一極集中でなくてもいいと思うのよ。ホントは。

 京都アニメーションの成功だってあるし、ゲーム系では関西勢は強いでしょ。
 任天堂、コナミ、カプコンの他、アダルトゲームとかも多いと聞くし。

 戦後の日本マンガを牽引した漫画家の多くだって関西から出ている。

 手塚治虫(宝塚)、横山光輝(神戸)、吉田竜夫(京都)、辰己ヨシヒロ(大阪)、さいとうたかお(堺)、桑田次郎(吹田・育ちは北海道)…。

 まあマンガ黎明期の作家には、東京よりも地方の出身が多いんだけど。
 藤子不二雄(富山)、石ノ森章太郎(宮城)、ちばてつや・赤塚不二夫・森田拳次(満州)、寺田ヒロオ(新潟)、水野英子(山口)、松本零士(福岡)
 
 新しい文化を支える才能は必ずしも旧世界の文化産業の中枢拠点ではなく、遠隔地で育つ…という、いい例である。

 今、アジアでは多くの都市や国家がコンテンツ産業の育成を行っている。

 韓国:ソウルはオンラインゲームとCGアニメそして映画、中国:北京はマンガ、中国:上海/杭州はアニメ、香港/広州はフィギュアや玩具、台湾:台北はモバイルゲーム、シンガポールはCGアニメ、タイ:バンコクは映画やCGという具合だ。

 それぞれの地域で若いクリエーターが集まり、メッカやアジトを作っている。
 
 大阪・関西も彼らに負けないコンテンツ都市に成長すればいいのに…と思う。
 ま、アジアのトップは東京に譲るとして、せめて三番位になって欲しいよ。

 おそらく、今は若手クリエーターの数や支援体制では、アジアで5、6番手じゃないかなぁ。

 関西のオトナが若い世代の夢を育む姿勢が薄いから、若手はどんどん、東京に出てきちゃうんだ。ま、おじさん達も、どこか諦めてるんだろうなぁ。

 でも、大阪にも事情都合で東京には出なかったけど、優秀な人材が埋まってる…気もするんだよね。そこから、もっと新しいコンテンツやキャラクターが生まれそうな…。

 どうなんだろうか…。

峰打ち文化とカミカゼ精神

峰打ち文化 日本の伝統

 知り合いのフランス人から「みねうち」についての質問。

 彼は大の日本贔屓で「暴れん坊将軍」とかテレビ時代劇が大好きなんですね。
 で、テレビを見ているうちにクライマックスの剣戟場面で、斬り合いになる寸前、将軍吉宗が刀を逆に握り替え、刃を裏側にしていることに気づきました。

 そう「峰打ち」ですね。
 刃ではなく峰で打つから実際には斬っていないのです。
 
 にも関わらず悪い家老や代官の家来はバタバタと倒れます。
 もちろん数キログラムはある鉄の棒で殴られているんですから当たれば痛い。

 いくら主人が悪くても家来に罪はない。
 でも彼らは主君から命じられれば命令に従わざるをえない。実は主君に非があると気づいていても。

 そんな彼らを斬り捨てるのは忍びない…と、わざわざ刀の返し(峰面握り)を見せて、峰打ち宣言するのが、暴れん坊将軍の優しさ、なのです。

 家来にしても峰打ちとわかれば、さっさと相手に飛び込み打たれてしまえば、主君の命令にも反しないし、自分も相手も命を損なわずにすむんですね。

 そういう理由で、テレビ時代劇の剣戟シーンは都合良く見えるほど、主人公の剣捌きの前に迂闊に飛び込んでバタバタと倒されていくのです。でも、斬られても死んでもいません。
 
 武士道と剣劇の優れたお約束です。

 (これって、意外と知られてないんですよね。)

 「峰打ち文化」

 その日本的な優しさ、本音と建て前の使い分け、相手も自分も守る巧い負け方、に、フランス人のおっさんは驚いてました。

 負けるが勝ち、ですよ。
 
 戦う相手に本当の正義があれば、怖れることなく負けることができる。
 戦う相手が正義を信じるならば、負けたものをさらに打つ事はしない。


 或る意味、この逆が「神風精神」です。

 カミカゼアタックとして米英兵に怖れられた「神風特別攻撃隊」の本当の意味も、悲しいかな戦後の日本には、ちゃんとは伝わっていないのです。
 
 「神風特別攻撃隊」に志願した航空兵は、高等教育を受け科学的な判断ができる優秀なパイロットです。

 あの時点で、戦局の好転とか反撃なんて夢幻を信じて彼らは散ったわけじゃない。
 すでに日本の敗北はとっくに覚悟していたのです。

 それでも彼らは特攻を志願します。
 それは集団心理でも上司の命令に逆らえなかったことでもない。自分の意志で。

 やがて日本が敗北した後、占領された祖国が征服者によって蹂躙されることがないように、日本人のメンタリティ、その誇りと覚悟を見せておこう…という気持ちです。

 追いつめられれば、国民全員がここまでやるんだと精神性を見せるため、征服者が横暴な事をすれば、残りの日本人が全員一丸となって極限まで戦うぞ…という敗北者側の覚悟。

 実際、日本に来た進駐軍が最も怖れたのは、軍と国民の再蜂起だったといいます。
 全国土で、ゲリラ戦が展開すれば、より多くの犠牲者が出る事は間違いないので。
 
 (イラクの現状を見れば、それは明らかですね)
 
 戦後日本の平和は「峰打ち文化」と「神風精神」が、随分と影響したんじゃないかなあ。