「あ、なんか元気みたいだな」

 

後藤は安心した顔をした

 

「心配かけてごめん」

 

 

「何言ってんだよ、俺たちは今まで理人にたくさん

助けられたんだ。昨日も皆でコーチに直談判しようって言ってたんだ」

 

 

 

「・・ありがとう、でも、大丈夫だから。

サポートのことは、もう少し考えてみるよ」

 

 

「・・・うん、分かった」

 

窓の外は青空が広がっていた

毎日見ていた風景のはずなのに

流れる川もキラキラと光っている

 

自分はどうしたいのだろう・・



 

胸のポケットがゴソゴソすると思ったら

ひろむちゃんが心配そうに俺を見ていた

 

出会ったばかりだけど、こんな顔させたくない


「池﨑くん、おはよ」


ダンス部のマネージャーだった

多分、後藤が連絡したんだろう…


「あ、おはよ」


「来週の月曜、部活動委員会があるんだって。

忘れないでよ」


いつも通りの笑顔でプリントを渡された

プリントの隅に

頑張って👍の文字があった



「池﨑先輩だぁ、おはようございまーす!」

1年生らしい女子達か電車に乗ってきた

「ダンス頑張って下さいねー♪」


「池﨑くん、相変わらずモテるよね」

マネージャーは笑っていた


ひろむちゃんが気になって、

さりげなくポケットを突いてみた


動かなない…確かにいるはずだけど、

気分でも悪いのかな


もう一度、ポンポンと叩いた


動かない…


「後藤!俺、お腹が痛い気がする!

ちょっと早退するから、あと、よろしく」


後藤は驚いた顔をして

「お、おう、任せろ」


「じゃあな、」


電車の扉が閉まる直前に駅に降りた

学校の最寄り駅のひとつ前の駅…


学校に向かう電車を見送ってから


「ひろむちゃん、?」





「あの、マネージャーの可愛い子、、

理人のこと好きだよね…」


ゆっくりとポケットから顔をだした

淋しいような切ないような不思議な表情だった


「ひろむちゃん、散歩に行こうか」


「散歩?」


「うん、デート♡」