ひろむside


理人はモテる。

本人だけは全然モテないと思っている

前に中高生の時もモテなかったと言ってたけど

絶対ウソだ

理人はカッコ良すぎて近寄りたいけど、誰も本気で近づけなかったに違いない

だって…多分、俺自身もそうだった

理人から告白されなけば、接点なんて無かったと思う…


はぁ…溜息をつく…


目の前には、さっき理人に抱きついた真っ赤な物体が理人にベッタリとくっついてる…

俺の席は奪われてテーブルを挟んだ2人の前に座って、、余裕を見せたい所だけど、超むかつく


この会の主旨は理人と真っ赤な物体との出会いだと

理人がトイレに席を立った時に聞いた

あぁ…来るんじゃなかった…

J女子大の理事長の孫で超お金持ち。雑誌のモデルで超美人…

自分の彼氏が目の前でイチャイチャされて

つらくない奴はいない、胸の奥がジン…と疼く

誰か見ても、いや他の誰よりも自分自身が

お似合いだよね…って知っている


マジで限界かも…


こっそり席を立って、後で西先輩に謝っておこう


「俺、好きな人がいるんでごめんなさい」


席を立とうとした瞬間、理人が立ち上がって

彼女に頭を下げた


「だから、付き合えない」


ハッキリとした言葉に心臓がドキリとして

一瞬、理人と目が合った気がして顔が熱くなっていく…


「うん、わかった、

友達には、なってくれる?」


赤い物体こと、れなちゃんは

少し淋しげに微笑んだ


理人は真面目な顔できちんと頷いた


「よーし!りなちゃんの未来に乾杯だ!」


西先輩の機転で皆んなの雰囲気も盛り上がった


「俺がりなちゃんの彼氏に立候補しよっかなぁ、

理人より笑いのセンスはあるからさ」


後藤が皆を笑わせると、


「お芝居の練習の序でにひろむくんを口説いてたのに本気にしてくれませ〜ん」


泣き真似する芽衣さん。

これも芝居だって、皆んな分かってる


「あ、知ってます」と俺


「ほらねー、ひど〜い」


皆んなで笑って、りなちゃんも理人も笑ってた


全員で連絡先を交換して、また皆んなで会おうと約束して解散した



「ひろむくん、実家に帰らなくていいの?」


そういえば、スーツ着たままだ


「来週、帰るかな」


帰る方向が理人と同じだからと、皆んなと別れて

2人で歩いた

なんとなく、無言のまま駅に着いてしまった

まだ、色々と決まってから理人に伝えたかったけど

やっぱり…



「あのさ、理人に聞いてほしいことがある」


「俺も…、」