【師のブログより】

お大師様の言葉

如来広く方便を設くることは、ただ迷人のためなり。

迷を以って悟に対し、乱を以って静に対し、恵を以って愚に対し、善を以て悪に対して皆対治す。

もし一法に住せばすなわち法に縛せられて生死をまぬがれず。

この故に無所住に住して道と相応すべし。

「一切経開題・弘法大師全集一・八五一頁」

「信仰をすると、これもしてはならぬ、あれもしてはならぬ、と禁止条項ばかり多くて、小さくちぢこまってねばならぬ。こんな窮屈な生き方には満足できない。」とおっしゃられる方がいます。

まことにその通りの一面があるように感じられます。

お大師様は一法に捉われていたら、教えに縛られているのであって、悟りにはほど遠い。っとお説きになられています。

だからこそ、悟り「心の安穏」を求めて進むものは、住する所なくして住し、時には静かに温顔を、時には慈悲の怒りを持って叱りつけ、時には与え、時には取り上げ、時と所と相手によって自由自在に処して、道と相応するのが本当の求道者の生きる道である。と教えられたのである。

参考文献
「心の糧」より引用


諸々の教えによって、心が窮屈になってしまったならば宝の持ち腐れになってしまうけれども、その諸々の教えによって人の心が豊かに大きく広くなって自身が救われたのならば、どれもが宝になることをお大師様は伝えたかったのではないだろうか.........