─こちらヒューストン。アポロ11号聞こえるか?
─こっちは真っ赤だ。とても赤い。燃えるような赤だ。…
─こちらヒューストン、応答せよ。
─インディゴブルーはおあずけだな。やつらはとても大きい。
─何かいるのか? アポロ、聞こえるか?
─波打ち際の屍、ささくれだった故郷。例えば、おれの錦のテキサスも日が暮れるだろう。…
─こちらヒューストン。応答せよ。アポロ11号、聞こえたら返事をしてくれ。
─赤いんだ、とても赤い。ジャックデンプシーはいなくなったよ。
─コマンダーのことか?
─まあ、せいぜいにぎやかにやっている。
─なんのことだ? 様子を伝えろ。
─あたまが胴体みたいで、むこうの方にいるよ。
─何がいるんだ、アポロ11号?
─やつらはとても大きい、庭石みたいにゴロゴロして。でも怖くはない。
─何かいるんだな? こちらヒューストン、応答せよ。
─ジャックデンプシーはいなくなった。毛むくじゃらのやつらに…
─コマンダーのことか?
─そんなのはここではたいしたことじゃない。蚊に刺されたのと同じだ。刺される前に叩いちまえばいい。
─なにを言っているんだ、聞こえるか? こちらヒューストン…
─やつらが近づいて来る。
─何かいるんだな?
─「花嫁さん」は小さい、一方「郵便屋」はピザ屋のバイクに乗ってるみたいだ。彼らはとても大きな目をしているよ。赤い目だ。…
─何がいる? 伝えろ。こちらヒューストン。
─(鼻歌)カントリーロード、テイクミーホーム…
─おい! アポロ11号! 状況を伝えろ!
─やつらはとても大きい、庭石みたいだよ。…おれは試しにテキサスの歌を歌ってみることにする。どうなるかわからない。
─アポロ11号、応答せよ。こちらヒューストン。応答せよ。
─ロードオーシュはオーバーロードとは少し違う。平均的に体内摩擦度が上がるようだ。その時「庭石」には若干こぶができる。
─なにを言っているのか聞こえない。アポロ11号、状況を報告しろ。
─ジャッ…デンプシーはむこうに連れていかれた。だ…、…んな…とはもうどうでもいい。
─コマンダーのことか? こちらヒューストン、応答しろ。
─(鼻歌)金色~銀色、桃色吐息…
─おい! 月面の状況を報告しろ。こちらヒューストン。
─すごい速度だよ。オービターは裏側に着陸させた。
─オービターを裏側に着陸させた?
11号、作戦の確認を頼む。
─松葉カニみたいなもんだ。忘れた頃にやって来て、自分の家に帰るんだ。手荒な真似はいっさいしなかった。
─11号、なぜ裏側に着陸させた。作戦任務の確認を急ぐ。
─燃え始めたぞ。真っ赤だな、真っ赤だな。オービターも燃えている。
─アポロ11号、状況を確認せよ。
─「シンジケート」は「庭石」に弱く、「庭石」は「郵便屋」に弱く、「郵便屋」は「七面鳥」に弱い。そこでおれは「七面鳥」を「シンジケート」と戦わせることにした。どうなるかはわからない。
─なにを言ってるんだ? アポロ11号、こちらヒューストン。応答せよ、こちらヒューストン。