ウルトラマン怪獣のピグモンとかカネゴンは、いったい何処が怖かったり、悪党だったりするのか、

というようなことを高橋源一郎がエッセイに書いていたように思いますが、

今回はひとつ、ぼくも、馬鹿げた怪獣というのを考えてみたい。


まず始めに、馬鹿デカい怪獣が考えられます。

怪獣というからには巨大な筈なのに、大抵の怪獣の身長は、変身後のウルトラマンと背丈があまり変わらない。

そこでこの怪獣は並外れて大きい。

変身したウルトラマンの100倍ぐらい身長があるわけです。

ウルトラマンは圧倒され、踏み潰される。


それから、性器だけ馬鹿デカい怪獣というのも考えられます。

教育的配慮から怪獣は性別がよくわかりませんが、多くは恐竜に似た外見ですから、そこから類推するに性別がある筈です。

この怪獣はその隠しどころを隠しようもなく巨大化させたのです。

天を突くような巨根の怪獣は、自分のその男性器を抱えてよじ登り、昇天してしまう。


怪獣というのは貪婪で飢えているものです。

そこで、自分で自分の体を貪り喰う怪獣というのが考えられます。

ウロボスの蛇とか、快楽の自虐とか、それでいて実質的危害のなさとか、いろいろ考えさせられてウルトラマンは攻撃できません。


果てしなく逃げまわる怪獣というのが考えられます。

まともにウルトラマンに立ち向かい、四つに組むから負けるわけで、逃げればいいと初めて気付いたのです。

そこでこの怪獣は、最初から対決を放棄して逃げまわります。

仕方がないのでウルトラマンは怪獣を追いかける。

そうすると、これは鬼ごっこのようになり、ウルトラマンは鬼役になっており、怪獣は象徴的勝利を収めることができるのです。


相撲取りの舞の海は技のデパートと言われていました。

考えてみると、デパートというのはそれ自体、怪獣のようです。

この怪獣はデパートなんです。

ウルトラマンの前に突然、超巨大なデパートが出現する。

しょうがないから、ウルトラマンは内部に潜入します。

店員の怪獣に薦められて、腕時計をウルトラマンは買おうとしますが、隊員の給料ではとても買えないわけです。


どう見ても近所のあのオバサンだ、という怪獣が考えられます。

しかし、巨大化しているところは怪獣なので、ウルトラマンはスペシウム光線を放とうとする。

しかし、オバサンは手に回覧板を持っている。

もし間違ったら殺人罪になってしまう。

ウルトラマンは煩悶します。

いつまでも自分を相手にしないウルトラマンにオバサンは怒り狂い、手にした回覧板で高層ビルのてっぺんをはたき落とし、町を滅茶苦茶に踏み潰します。

それでも、ウルトラマンはスペシウム光線を放てないのです。


どう見てもこれは、無限に脱皮するサラリーマンだ、という怪獣があります。

モスラというのは、サナギの段階があって、その時に退治すれば、あっという間にことは解決するのに、正義の味方というのはそういう真似を潔しとしないのです。

この怪獣はそこに目をつけ、外見は当たり前のようにサラリーマンなのですが、無限に脱皮し、ウルトラマンに攻撃の隙を与えません。

腹を立てたウルトラマンは堆く積もった脱皮したサラリーマンの皮をスペシウム光線で焼き払いますが、できるのはせいぜいそんなところです。

そして、無限に脱皮するサラリーマンは退勤時刻になり、地下鉄に乗って帰っていくわけです。


怪獣というのは、最後に爆発して死んでいくものです。

この怪獣の場合、いきなり爆発します。

ウルトラマンにやられる前に爆発してしまうわけです。

ただ、そのままだと死んでしまいますから、次の行程では爆縮するのです。

怪獣は逆スロー再生され、元の形に戻って行く。ウルトラマンはスペシウム光線を構える。

すると、また怪獣は爆発する。


猿まわしのような怪獣が考えられます。

ウルトラマンといえども、ダーウィンの進化論から免れた存在ではないのです。

つまり、人間で言えば猿にあたる存在がウルトラマンにもいるのです。

この怪獣はそういうウルトラマンの猿に芸を仕込んでウルトラマンの前で芸をさせるのです。


さて、これまでいったい何体の怪獣がウルトラマンの犠牲になったでしょうか。

怪獣が成仏できているという保証はどこにもないのです。

なかには浮かばれず幽霊怪獣となって現れる怪獣だっていたことでしょう。

これにはスペシウム光線も効かず、ウルトラマンは三日三晩悪夢に魘されたのです。


怪獣には秘密があります。

しかし、この怪獣はなかなか口を割らない怪獣なのです。

ウルトラマンは怪獣の首をふっ飛ばしました。

ゴロゴロと首が転がり、怪獣はついに口を開けます。

なかに巻物が入っていたのでウルトラマンは読んでみました。

と、たちまちウルトラマンは白髪の爺さんになってしまいましとさ。